脳深部刺激療法(DBS)におけるCT検査の役割 技術編

カテゴリー: 放射線部 | 投稿日: | 投稿者:

先月(開発編)に引き続き倉敷ニューロモデュレーションセンターで行われている脳深部刺激療法(以下、DBS)におけるCT検査の役割についてお話しします。

前回は3分割になった指向性のあるディレクショナル電極の方向を知るための概要を述べましたが、今回は、実際の画像と方向の求め方をご紹介します。

このディレクショナル電極の方向を知るにはCT検査で「コ」の字の形をしたディレクショナルマーカーを精密に撮影し、高精細に画像化する事がポイントになります。
当院では2社の製品を扱っていて、撮影してみるとマーカーの形が少し違うのがわかり、方向を計測するのに別々の視点から判別しなければなりませんでした。

まずA社から、

左図から前・右横・上の方向から見ています。
電極を前から見ると「I」の形に見え、右横から見ると「コ」の字に見え、この2画目にあたる縦の線が電極の前にあたります。そして上から見ると卵形に見え細くなっている方が電極の前に当たります。
この上からアングルで電極の真正面を判別します。前・横からのアングルでは角が丸くなっているので判別は難しいです。

では、B社では、

左図から前・右横・上の方向から見ています。
先ほどのA社と何となく似ているのですが、決定的に違うのは上からのアングル。
卵形ではなく丸の形をしています。この上からのアングルでは電極の真正面は分かりません。
よってB社だけは電極の部分だけを更に細かくCT撮影し、マーカーの形をレントゲン画像と同じ位の角張った形を再現させ、前・横のアングルで電極正面を判別するようにしています。

あとは、脳と電極の正中線との角度を求めれば電極の方向・角度が分かります。
実際の計測画像が右端の画像です。上段がA社。下段がB社となります。

この方向・角度は、脳内の特定の部位だけに効果的に刺激を与え、副作用が生じるおそれのある部位には刺激を与えることなく効果的に患者様の症状を緩和することの目的に対し役立つ事になります。

放射線部はただ検査を行い画像を提供するのでなく、診断に役立つ画像を提供する事を念頭に置いて検査を行っております。これからもよろしくお願いします。

放射線部 とんかつ