ストレスによる首こりの鍼灸治験

カテゴリー: ヘイセイ鍼灸治療院 | 投稿日: | 投稿者:

首周りのこり、頭重感を訴えて40歳代の男性が来院されました。
2週間前の夜から首や顎のあたりの筋肉が硬くなり、頭重感などが現れるようになりました。
話を聞いていくと、約1年前にストレスを強く感じることがあり、動悸や精神不安、腹痛、下痢などが起こりやすくなっていました。
今回の症状が現れる1週間前から食欲もなくなり、嘔吐もあり体重が4kgほど減っており、体力を維持できず今は療養のため休職しています。また、その頃からあくびをするだけで首の筋肉が引きつることも多くなっていたそうです。
この患者さんの既往歴で3年前に頚椎椎間板ヘルニアがあり、現在は治癒しています。

心療内科に通って安定剤などを服用していますが治らず、平成病院の脳ドック検診の際に鍼灸を受けていたのを思い出して、こちらの鍼灸院に来られました。

患者さんの腹部を触るとガス音が強く張っていて、舌診では舌質は大きく、歯痕があり、舌面には白い苔が厚くあり、脈は浮いているが左脈は弱い。
これらのことから、体質は肝脾不和、痰湿停滞と考えました。

中医学の理論では、肝の機能には気をのびやかに巡行させる働き(疏泄機能)や精神活動を安定させる働きなどがあります。
精神的なストレスを受けて、肝気が鬱滞し、気が滞ることで血液の循環が悪くなることがあります。また、肝の疏泄機能は脾胃の消化吸収機能を助けており、脾胃は気血の生成に関与しています。
この患者さんの場合、長期的なストレスで、肝の疏泄機能、さらに脾胃の機能を低下させ、精神不安や食欲不振、下痢などの症状が現れ、筋肉は血で養われるので血行不良や血の生成が不足することで養われず、今回のような首こりを起こしたと考えました。

これに対して、治療は気の循環を促し、脾胃の機能を向上させる方針で行いました。
肝経の太衝、期門、脾経の地機、三陰交、血海(けっかい)、胃経の足三里、衝陽(しょうよう)など、胃腸に関係する中脘、曲池、合谷、下廉(げれん)、首周りを巡る経絡の後谿(こうけい)、攅竹(さんちく)、風池などのツボを使って鍼灸を行いました。

1回目の治療した後から食欲が戻り、2回目の後には首のこりも軽減し、舌苔も少なくなっていました。4回目のころには首や胃腸の症状は気にならなくなり、仕事に復帰しますと教えてくれました。この患者さんはストレスは長く受けていましたが、しっかり休養もできたことに合わせて、鍼灸治療で非常に早くいい効果が得られたと思います。

鍼灸院 MK