カテゴリー別アーカイブ: 倉敷ニューロモデュレーションセンター

東京女子医科大学脳神経外科 助教 堀澤士朗先生が倉敷ニューロモデュレーションセンターを視察され、手術見学と意見交換がなされました

11月7日(水)、日本で最も機能的脳神経外科手術が実施されていると推測される(2017年度年間手術件数が191件:ホームページより)、東京女子医大脳神経外科より、助教の堀澤史朗先生が、当院倉敷ニューロモデュレーションセンターを訪問され、上利崇センター長と篠山英道副院長(脳神経外科)が行う、DBS手術(パーキンソン病に対する脳深部刺激療法)とSCS手術(脊髄刺激療法)を見学されました。

当院では、DBSを全身麻酔、レコーディング無しで実施しております。このことにより手術時間が短縮され侵襲性の低下と、脳のずれが生じにくいため手術精度の向上が期待されます。2017年、上利医師はスウェーデンウメオ大学を視察し、その際に全身麻酔・レコーディング無しの手法を学び、以後当院で実施しています。

堀澤先生からは、「全身麻酔、レコーディング無しで、DBS手術が1時間半で完了するのは、実際に立ち会うまで信じ難いことでしたが、安全性にも配慮されており大変感服いたしました。」とのコメントをいただきました。
堀澤先生は、国際定位機能神経外科学会(WSSFN)においてBoard member(役員)を務められておられる方です。
堀澤先生、身に余るほどのお言葉をありがとうございます。今後ともご指導の程宜しくお願い申し上げます。

ニューロモデュレーションセンター スタッフ

 

倉敷ニューロモデュレーションセンターにおける理学療法士の役割

11月に入り、寒さがより一層体に応えるようになりました。皆様、体調崩されたりしていませんか?今年は暑かったり、寒かったりと、季候に悩まされる年だったように思います。これから寒さも本格的になると思います。皆様、体調管理には十分注意してお過ごしください。

倉敷ニューロモデュレーションセンターでは、パーキンソン病や本態性振戦、ジストニア、慢性疼痛などの病気、症状に悩まれている患者様に対して、DBS(脳深部刺激療法)、SCS(脊髄刺激療法)、さらに今年は、脳卒中後疼痛の麻痺患者に対してバクロフェン療法(筋の痙性を軽減させ、除痛を図る手術)などの様々な治療を実施しています。その中で、私たち理学療法士は、状態の経過を評価、リハビリテーションにて身体機能の維持または向上を図る役目を担っています。
倉敷ニューロモデュレーションセンターが開設されて、早2年が経とうとしています。この約2年の間で、様々な患者様が手術を受けられ、私たちも様々な患者様に関わらせて頂きました。皆様リハビリも大変意欲的に取り組んでくださるため、私たちセラピスト一同とてもやりがいを感じていますし、日々奮闘しています。同じ病気や症状で悩まれている患者様が多いですが、実は患者様一人一人でニーズが違ったり、今後の展望について不安を感じていたり、希望を持たれていたりと、多種多様のように思います。そんな中、まずは患者様のニーズ、困っていること聴取・理解し、信頼関係の形成を大切にしています。

手術前は症状が強くて歩くことさえ困難だった患者様が、退院時には歩けるようになったり、痛みが強くて常に苦痛表情を浮かべていた患者様が、退院時には痛みが軽減し笑顔がみられるようになったりと、様々な患者様をみてきました。形は違いますが、それぞれの患者様のニーズに沿ったリハビリを提供出来た時が、何より最高な瞬間です。
今後も、さらに患者様の笑顔を増やすため、ニューロモデュレーションにおけるリハビリを多くの人に知って頂けるため、日々研鑽を積んでいこうと思います。

 

倉敷ニューロモデュレーションセンター 病院PT Y

※許可を得て写真を掲載しています。

11月11日(日)パーキンソン病についての勉強会が開催されます

このたび、「知っておくべきパーキンソン病の基礎知識」と題して当院高尾芳樹院長が座長をつとめ、倉敷紀念病院 安田雄先生・倉敷ニューロモデュレーションセンター 上利崇先生が講演をされます。
また、当院理学療法士科長山下昌彦が、パーキンソン病体操をご紹介いたします。
講演の後には、個別相談会も予定されております。お悩みの方がおられましたら、是非この機会にご来場ください。参加は無料で、お申し込みは 電話03-3344-2041(朝日カルチャーセンター・プロジェクト事業本部)までとなっております。

秘書広報課

第8回中四国臨床工学会参加報告

9月29日(土)に徳島市のアスティ徳島にて「第8回中四国臨床工学会」が開催されました。当院からは臨床工学技士2名が参加し、2演題発表を行いました。
1つ目の演題は「臨床工学技士初入職から2年経過するにあたり-臨床工学課と倉敷ニューロモデュレーションセンター立上げを経験して-」です。当院の臨床工学技士は2016年9月に初入職しました。それまでは不在であったので、臨床工学課の体制作りや医療機器安全管理責任者としての活動報告を行ないました。さらに倉敷ニューロモデュレーションセンターでの業務内容や手術実績、学会発表等の院外活動、今後の目標について発表を行ないました。
もう1つの演題は「重症下肢虚血に対し脊髄刺激療法を施行した一例」です。四肢の動脈の閉塞または狭窄による血流障害による動脈疾患が重症化した病態を重症下肢虚血といいます。安静時疼痛を伴い、組織の壊死をひどくなれば下肢切断を余儀なくされます。当院で脊髄刺激療法を行い、疼痛緩和と血流改善にて良好な結果を得ることができました。この治療について症例提示、脊髄刺激療法施行手順、検査結果について発表を行ないました。この治療についてはまだ知られていないため、興味を持った方もいました。
当日は台風24号の影響があり、30日(日)は中止となってしまいました。1日間のみ開催となりましたが、臨床工学技士の仕事は多岐に亘っており、幅広い発表を聞くことが出来ました。
当院の臨床工学課はまだ2年とまだ若い部署です。これからも学会発表を通じて、当院の臨床工学技士と倉敷ニューロモデュレーションセンターを知っていただける活動をしていきたいです。

臨床工学課 T

脊髄刺激療法(SCS)における臨床工学技士の関わり

倉敷ニューロモデュレーションセンターが平成29年4月に開設し、今年で2年目になります。

神経障害性疼痛(脊椎術後疼痛、帯状疱疹後神経痛、脊柱官狭窄症)や末梢血流障害(閉塞性動脈硬化症、バージャー病)における慢性疼痛に対して脊髄刺激療法(SCS)を行っています。センターでの臨床工学技士の仕事や役割について紹介します。臨床工学技士?どのような仕事をしているのか?資格名を知っている方も少ないと思いますが、臨床工学技士は病院における医療機器の操作や保守点検を医師の指示の下で行っています。SCSにおいて、手術前に疼痛部位や症状について患者さん病態を把握し、手術中は医師の指示の下、SCS専用の機器を操作している。手術後は病室にうかがい刺激調整を行っていますが、入院期間中にも継続して刺激調整を行うことで痛みを少しでも緩和できるように努めています。その他、患者さん用にお渡しする機器もあるため操作方法を説明しています。

「機器操作が苦手で不安です」と患者さんからお聞きする事がありますが、簡易マニュアルを作成し手順を追って丁寧に説明を行うことで、不安を解消し操作に慣れていただいています。退院後については外来で刺激調整を行っているほか、刺激が正常に行えているか機器に異常がないかチェックをしています。
倉敷ニューロモデュレーションセンターでは、臨床工学技士以外に沢山の専門職(看護師、理学療法士、作業療法士、言語療法士、臨床心理士、医療秘書)の方が協力しDBS・SCSの治療に携わっています。今後も日々努力し、患者さんのために貢献できるような活動をしていきたいと思います。

倉敷ニューロモデュレーションセンター ME T

倉敷ニューロモデュレーションセンターでの外来看護師の役割

ニューロモデュレーションセンターの外来では、DBS(脳深部刺激療法)を受けた患者様に対して診察前に看護師が神経刺激装置のチェックを行っています。
まず、患者様に体の状態を聞き、急激な症状の悪化がないか問診を行います。そして、患者様の体内に植込まれた神経刺激装置に服の上から機械をあてて神経刺激装置のチェックを行います。DBSが作動しているかどうか、電池の残量の確認、抵抗値をチェックして断線の有無がないかを調べています。
植込まれた神経刺激装置の電池がなくなった時には神経刺激装置の交換をしなくてはなりません。神経刺激装置を交換する際は、脳に植込まれているリード(電極)はそのままで、電池のなくなった神経刺激装置のみを局所麻酔下で新しい装置に取り替えます。
植込まれた神経刺激装置の電池寿命は、一般的な刺激条件で使用した場合、約3年~5年使用できると想定されています。(非充電式の神経刺激装置の場合)
この電池寿命は、刺激条件やリードの植込まれた位置、一日の使用時間によって変化します。
外来診察の前の時間を利用して、神経刺激装置の状態をチェックすると共に、DBSを受けた患者様の体調の変化や不安に気づけるような場を設けています。外来受診時は、看護師に日頃の疑問や体調について気軽にご相談下さい。

外来看護師 T

第26回九州山口機能神経外科セミナー参加報告

8月25日(土)・26日(日)の2日間、ホテル夢家にて「第26回九州山口機能神経外科セミナー」が開催されました。1991年から続く歴史のあるセミナーです。当院から臨床工学技士が参加し、「脊髄刺激療法(SCS)トライアルにおける高頻度刺激(1000Hz)およびバーストDR刺激の有効性」について当院での治療実績や症例提示、今後について発表をしました。機能外科専門医の中で発表することはとても緊張しましたが、大変参考になりましたと話していただきました。
発表後は倉敷ニューロモデュレーションセンターの取り組みについて興味を持つ医師や看護師、臨床工学技士と交流しました。当院の取り組みは先進的でとても参考になると話されていました。セミナーではヨーロッパでの脳深部刺激療法(DBS)の多職種連携やDBS・SCSの最新治療の話題について勉強しました。以前より交流のある宮崎県潤和会記念病院ペインクリニック宇野武司先生と立山真吾先生も参加され、SCS治療における情報交換を行うことができました。
今後も学会やセミナーに参加して、倉敷ニューロモデュレーションセンターを知ってもらう活動を継続していきたいです。

 

倉敷ニューロモデュレーションセンター ME T

倉敷ニューロモデュレーションセンターにおける臨床心理士の役割

倉敷ニューロモデュレーションセンターが平成29年4月に開設し、あっという間に1年が過ぎました。倉敷ニューロモデュレーションセンターでは、パーキンソン病、本態性振戦、ジストニアなどに対する脳深部刺激療法(DBS)、慢性疼痛に対する脊髄刺激療法(SCS)を行っております。当院のセンターは本年度より日本定位・機能神経外科学会の技術認定施設となりました。
今回は臨床心理士のセンターでの役割・仕事について述べたいと思います。臨床心理士と聞くと「何をする人?」と思われる方も多いかもしれません。当センターにおいて臨床心理士は【検査、手術後の心理療法(カウンセリングなど)】を主に行っています。
臨床心理士はリハビリテーション専門職(理学療法士、作業療法士、言語療法士)と協力して手術前後の患者さんの検査を実施しています。手術前の患者さんの認知機能や精神面の検査を行い、DBSやSCSの手術適応や治療効果、手術のリスクについて検討します。また、手術後においても認知機能や精神面の検査を行い、手術の効果、副作用の出現などをチェックしています。
また、SCSを受ける患者さんに対してはうつ・不安などの精神症状を合併しやすい方が多いため精神面の検査も行っています。
手術後においては、入院のストレスが強くなる方、せん妄や認知機能低下が出現する方、精神症状(うつ、意欲低下)の増悪を伴う方に対して個別に話をしたり、気分転換になる活動の提供、脳トレ(脳活性)などを行っています。
この1年間でも医療機器は進化しており、DBSでは細かい刺激調整が可能になり、SCSでは刺激方法が増えました。今まで以上に、治療効果は高くなっているように感じています。日々アップデートしている環境の中で遅れないように勉強を行い、患者様に喜んでいただけるようなセンターを目指したいと思います。

リハビリテーション部ST課CP

倉敷ニューロモデュレーションセンター上利センター長が山陽こども記者から取材を受けました

7月26日(木)山陽新聞が主催する、山陽こども新聞記者のK君が、倉敷ニューロモデュレーションセンター上利センター長を取材に来院されました。
K君は中学1年生で、医療の分野に興味を持たれているそうで、今回「ニューロモデュレーションセンター」の取材に来院されました。
まず、上利センター長から、ニューロモデュレーション療法の説明、DBS(脳深部刺激療法)を中心に治療法や対象、治療前と後との改善点等の説明がスライドを使ってなされました。
難しい医療用語についてもK君は常にノートにメモを取りながら、しっかりと自分のものにしている集中力に驚きました。

概要の後は、実際の器具を用いての説明や、手術室見学がなされました。手術室見学では、午後から予定されているニューロモデュレーションの手術についての具体的な説明等がなされました。麻酔機器や術中レントゲンの機器、また放射線防護用エプロン等を実際に着用してみるなどされていました。
質疑応答タイムでは、治療法については勿論のこと、上利センター長が医師を目指した動機、また医師を志す者に必要だと思うものや、将来AIが医療の現場で活用される時代が到来したら…等、多岐にわたる話題であっという間の2時間でした。
当院からは臨床工学技士なども同席しておりましたが、中学生の真剣な眼差しと姿勢に大変感銘を受けておりました。「山陽こども新聞」は9月に発行予定とのことです。どのような記事になるのか楽しみです。

秘書広報課 M

※許可を得て写真を掲載しています

【外国人患者に対応。医療向け翻訳サービス試行導入】

 当院では、今年3月より、NTTドコモ社が提供する翻訳サービスの医療版アプリケーション(開発中のアプリ)を試用導入しております。
この導入きっかけは、当院倉敷ニューロモデュレーションセンターで中国人国籍の患者さんが長期入院となることを受けての看護部からの相談でした。当院は倉敷美観地区から至近距離であることからも、近年、外国人患者の受診が増加傾向にあり、それに伴い外国人患者の入院も増加しています。
これまでは、当院中国人スタッフや語学の堪能なスタッフが対応を行っていましたが、より良い医療サービスの提供に繋がればとの期待から導入しました。この翻訳サービスアプリを導入したタブレット端末を2台導入しています。専門用語の文例をあらかじめ登録することにより、医学用語にも対応しております。
音声とテキストでの翻訳を可能にしています。試用した頂いた病棟スタッフや患者様からの評判も良く、担当者としては嬉しく思っています。また、このアプリケーションの試用許可についてご尽 力頂いたドコモの関係者の方々にも大変感謝しております。
開発中のアプリケーションと云うことで、まだまだ改善余地のあるシステムですが、当院が商用開発の一端を担うことが出来たのは嬉しく思いますし、より良いアプリケーションになるよう協力できればと思います。

業務サービス部 施設管理課 課長S

※この翻訳サービスは、ニューロモデュレーションセンターの患者さんだけでなく、全ての診療科の患者さんに対応しています。