カテゴリー別アーカイブ: 認知症疾患医療センター

はじめまして

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R3年3月より、認知症疾患医療センターの新しい一員として、異動して参りました、精神保健福祉士(PSW)のKと申します。
簡単ではありますが、自己紹介をさせていただきます。

このたび異動してきたとお伝えしましたが、元々は同グループである介護保険施設にて、社会福祉士として相談員を務めておりました。
介護保険サービスの一つとして、ご利用の方に安心し、信頼してご利用いただけるように、ご家族様やケアマネージャー、施設職員の方々と、密に連携を図りサービス提供をさせていただきました。

当センターの精神保健福祉士の役割の一つとして、もの忘れ外来の初診の患者さんに対して、ご連絡にて事前問診をさせていただいております。診察当日、検査から先生の診察終了まで、約3時間のお時間を要します。その為、診察がスムーズに進行するように、事前に困っていることやご本人様の最近の様子などお伺いをさせていただいております。

実際に事前問診をさせていただく中で、様々な症状でお困りなケースを伺います。
出来る限り事細かく、患者さんについて伺うことで、その方の人間像を把握し、今抱えている問題に寄り添い対応していきたいと私自身思っております。
お話の聞き取り方や伺い方に不慣れで至らぬこともあるかと思いますが、お答えいただければ幸いです。

今回異動し、改めて入職してきた当時の初々しい気持ちを思い出しました。
その気持ちを忘れず、身を引き締め今後とも日々の業務に務めていきたいと思います。

ほんの些細なお困り事でも、お気軽に認知症疾患センターまでご連絡いただければと思います。
よろしくお願いいたします。

認知症疾患センター 精神保健福祉士 K

ある日の診察室から

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Cさん:(診察室に入ると,Wの顔を見て立ち止まり丁寧にお辞儀)
W:(その姿を見て,キーボードにおいた手を離して,正面をむいてお辞儀)
Cさん:(杖をついてゆっくり慎重に歩いて)お世話になります.この丸い椅子に座らせていただいてよろしいでしょうか.
W:はいどうぞ.ご丁寧にありがとうございます.

Cさん:Cと申します.
W:Cさん,この病院は初めていらっしゃいましたか?
Cさん:はい,そのように存じ上げます.

W:(名札を見せながら)それでは私も自己紹介です.
Cさん:Wですか.珍しいお名前ですね.
W:悪い事はできません.
Cさん:いえいえ,先生はそのような方ではありません.ボケたとはいえそれぐらいはわかります.
W:それわそれは.お眼鏡にかなうよう頑張ります.ところで今日はどうしてこの病院にいらっしゃったんですか?
Cさん:実はこの二人から,ボケたボケたと言われます.
W:この二人と言いますと?
Cさん:妻と娘です.

W:ボケにも色々ありますが,どんなボケですか?
Cさん:恐らくボケたんだと思います.しょっちゅう忘れます.

W:なるほど.それはご心配です.ちなみにそれは小ボケですか,大ボケですか?
Cさん:私は小ボケだと思っておりますが,この二人はどうか...
Cさん妻:その間だと思いますよ.

W:それはそれは.だとしたらそれはいいボケですか,わるいボケですか?
Cさん:そう言われても私にはわかりません.

W:例えばニコニコボケですか,プンプンボケですか?
Cさん:どうですかなあ.
Cさん妻:心配ボケです(と合いの手).
W:あらあらそうですか
Cさん妻:自分で「ボケたボケた」と言って何もせずジーーっとしているんです.それに,急にぼーっとすることもあります.
Cさん:そんな事はございませんよ(眉間にシワが寄る)

W:それはそうと,お年にしては目も耳もいいですね.
Cさん:いえいえ,目は両方白内障の手術をしましたし,耳も遠くなってきました.テレビの音が大きいと叱られます.
W:でも,私の声は聞こえますよね.
Cさん:先生のお声は何とか耳を澄ませて聞いております.この年になるといけません.

W:この年と言われますと,お幾つでしたっけ.
Cさん:82歳です.

W:もう数ヶ月で83歳ですね.持病もなしですか?
Cさん:血圧のことと腰が悪くて歩きがいけません.
W:わかりました.それでは,簡単に診察させていただきますね.

W:体の方も,神経の方も,腰の悪さから来る症状以外,はっきりした異常はありませんね.血液検査も.びっくりするぐらいいいですねえ.栄養のバランスもバッチリです.奥様に感謝ですねえ.ごちそうさまは言われますか?
Cさん:それぐらいは言います.

W:ついでに「ありがとう」もつけますか?
Cさん妻:それはほとんどないです(と合いの手)

W:なるほど,ちなみに記憶の検査は一応合格点でした.何でもかんでも
忘れるわけではなさそうですよ.頭のMRIでは,何といわゆる「隠れ脳出血」が数カ所見つかりました.幸い手足の動きや感覚には影響のないところでしたが,この大きさだとふらつきがあったり視野が狭くなった感じがしたかもしれません.何か急な変化に気づいた事はありませんでしたか.
Cさん:ありません.
Cさん妻:ありませんよ.でも,ぼーっとするのは最近増えました.

W:その時はどんな感じですか?
Cさん妻:下を向いて何か考え込むような感じになって,左手をゴソゴソ動かすこともあります.数十秒くらいですが.
Cさん:自分ではわからんのです.
W:そうですか.
Cさん妻:その話をすると,わからんわからんばっかり言うんです.

W:娘さんはその様子を見たことがありますか?
Cさん娘:別居なので見た事はありません.母からは何度か電話がかかってきました.先生,これって認知症じゃなくて,「てんかん」じゃないんですか?
Cさん:いえいえ娘はそう言いますが,決してそんな大それた病気ではないんです.
W:ウ〜〜ム....
Cさん娘:私がそれを言うと最後には喧嘩になるんです.

W:Cさん「老いたら」,何と言いますか?
Cさん:「子に従え」ですなあ.
W:最近では「老いたら子と仲良く」って言うらしいですよ!
Cさん:なるほどなあ.

W:Cさん,今回の事は娘さんにしっかり感謝しないといけないですねえ.今日お聞きしたお話や検査所見からは,「てんかん」の一種である可能性が高いと思います.
Cさん:「てんかん」は子どもの病気で治らないと思っていました.

W:ところが歳を取るとまた増えてくるんです.Cさんのように,「隠れ脳出血」がある人にまれに起こることがあります.
Cさん:血圧には気をつけていたんですが.

W:気をつけてなかったらもっと大きな脳出血になっていたと思いますよ.なのでそれは素晴らしいことです.
Cさん:治らないんですよね.

W:「隠れ脳出血」は,残念ながらもう傷痕なので治ると言う事はありません.でも,お薬がうまく合えば「てんかん」の発作が無くなったりかなり頻度が減ったりします.
Cさん:それを聞いて少し安心しました.これからどうしたらいいですか?
W:早めに詳細な脳波検査をして,その後お薬を始めていきましょう.
Cさん:わかりました.

W:Cさん「老いたら」?
Cさん:「子と仲良く」ですね.

W:「ごちそうさま」のあとは?
Cさん:たまにはありがとうも言います(笑顔)

W:その2つを覚えているならボケてるとは言えないし,たとえボケても大丈夫です!奥さんもあまりご本人に言いすぎると「思いやり」が「重い槍」(ジェスチャー付き)になりますよ(注:Wが好きな表現).
Cさん妻:わかりました

W:それではCさん今日はお疲れ様でした.大変でしたね.今日はお昼ご飯をお二人にご馳走してあげてくださいね.
Cさん:あいにく慌てて出てきたので持ち合わせがあまりありません.

W:それではお気持ちだけでも! また,お会いしましょう.
Cさん:ありがとうございました.

W:それにしても娘さんお詳しいですねえ.
Cさん娘:あ,私,看護師をしています.

W:あっ,え〜〜と,ありゃ事前問診にも書いてありますね.私の方がボケてますね.
Cさん娘:先生のはいいボケだと思いますよ(笑)

W:ニコニコボケで行きたいと思います.
Cさん娘:ありがとうございました.

Cさんは,奥様の観察と娘さんの知識のおかげであっという間に正しい診断に至りました.
脳波では,やはりてんかんと診断できる所見がありました.幸いお薬の効果もあり,ぼんやり発作もほとんどなくなりました.

 

認知症疾患医療センター 医師 W

 

 

視覚から得られる脳活性化

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記憶の重要な役割の一つに、五感から得た外界の情報と頭の中の情報を照合することがあります。特に情報のかなりの部分が目で見ることによって人間の脳に伝えられるため、「視覚」は大事な情報源です。

暖かくなって、桜や菜の花や多種多様のお花の色彩を見ることも、視覚の刺激により脳活性化を図れると思います。是非、ゆっくりとご家族で春の散歩をしながら、脳活性化につなげて下さい。また、お花の花びらで、組色作品など作ってみると、更に、言語力、洞察力、理解力、想像力、コミュニケーション力等も活性化されると思います。

季節を利用しながら、この春の時間を楽しく過ごしてリフレッシュし脳活性化を図って下さい。

医療秘書 U

コロナフレイルを防ぐには?

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フレイル:(活動量の低下による心身の虚弱)

新型コロナウイルスの影響もあり、診察場でデイサービスの利用が出来ていないという声を度々聞くことがあります。
ご家族やご本人様もデイサービスを利用したり、人の集まる所に外出をすることによって新型コロナウイルス感染のリスクが高まり、持病がある方はその心配は当然のことだと思います。

しかし、家に引きこもることはあまりよくありません。心も体も弱まっていくだけでなく認知機能も衰えやすくなります。
デイサービスの利点は、身体介助やリハビリ、自宅では少し難しい他者との交流が得られることです。
デイサービスでも感染対策には細心の注意を払って運営していますが、少しまだ不安な思いのある方は転倒などに注意しながら、家の中で歩く距離を伸ばしたり体操をしてみてください。
体を動かす事で活動量の低下を防ぐことができます。

また、趣味があれば、編み物や塗り絵、創作活動や趣味がない人は趣味探しをしていくことも脳の活性化にいいと言われています。
新型コロナウイルスに負けないように、規則正しい生活を送り一日一日を大切にしましょう。
何か不安や心配事があれば、気軽に相談してください。
スタッフ一同お待ちしております。

            認知症疾患センター 外来看護師 F

コロナ疲れしていませんか?

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まだまだ寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
先日、倉敷もの忘れ事例検討会が開催され、参加してきました。これまでは、現地開催となっておりましたが、今回はオンラインでの開催となりました。普段であると、参加が難しかった方もオンラインでの開催によって「参加できました」といった声も聞かれていました。

今回の事例検討のテーマは、「認知機能が低下した高齢者に向けて(工夫した点・うまくいったこと)」でした。緊急事態宣言の発令によって、県外にお住いのご家族が帰ってこられなくなったり、不要不急の外出を控えるといったところから、必要な受診の拒否につながってしまったり、困ったなといった点が多くあげられました。実際、当認知症疾患医療センターにおいても、外出自粛によって日々の生活の刺激がなくなり、もの忘れがみられるようになってきたといったご相談であったり、これまでと同様の生活が送れなくなった(外出時にはマスクをしなければならない、毎日していた外出を控えなければならない)ことがストレスになったり混乱につながっているといった声が聞かれています。

みなさんは、日々の生活を振り返ってこんな症状はありませんか?疲れやすくて何もやる気がおきない、イライラして落ち着かない、もの忘れが気になる、集中できない、楽しいと感じない・・・。長期間の自粛生活からこころが疲れてきているのかもしれません。そんなときはストレスをなくそうとするのではなく、上手く付き合い自分を労わりましょう。ストレスが積み重なってきたら、疲れたときは休んだり、気分転換を図りましょう。生活リズムを整えるように意識しましょう。人との交流を大切にし、ささいなことでも自分だけで抱え込まず、周りの人に相談しましょう。

一方で、緊急事態宣言の発令は大変なことではありますが、“逆に良かったな”といったこともあるのかもという話にもなりました。お家で過ごす時間が長くなったことによって、家族の知らない様子を改めて知ることができた、いいところを発見できた、新たな趣味を発見できた、オンラインの普及によって多くの研修会に参加できたなど、よかった点もあげられました。また、家族の絆や地域の方々との絆を改めて感じることのできる機会になったといった声も多く聞かれました。
めまぐるしい毎日の中で、目の前の大変なことへついつい目が行ってしまいがちですが、よかったポイントへ目を向けることも大切なのかもしれません。

また、相手への「ありがとう」の感謝の気持ちを伝えること。このことも、感謝を伝える心の余裕をもつことでストレスの緩衝材となるのかもしれません。
日々の感謝を忘れず、今年も頑張っていこうと思います。

認知症疾患医療センター 公認心理師 H

“あなた”へ送りたい本です

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こんにちは。今回は認知症疾患医療センターにあります『認知症になっても人生は終わらない―認知症の私が、認知症のあなたへ贈る言葉―』(著:認知症の私たち2017)という貸出本をご紹介いたします。

この本は認知症と診断されたご本人によって作られている本になります。本の中には『届け、私たちの声!』と題し、直筆で書かれたものが掲載されています。続いて『認知症の私から認知症のあなたへ』との題で、認知症と診断されたご本人が贈りたい温かいメッセージが書かれています。最後に『私のホンネ』とのことでご本人の素直な気持ちが書かれています。

相手の立場になって考えるというのは難しいことです。実際に経験していないとなると、なおさら難しいですよね。認知症という現代の医学では治すことができない病気の診断を受けたご本人が、その日、その時期を乗り越えて、贈りたい言葉が多く書かれています。
『認知症のあなたへ贈る』とのことですが、これはご本人だけではなく、ご本人に関わる方にもぜひお読みいただきたい1冊です。というのが、先述したとおり、相手の立場になって考えるというのは難しいことです。この本からご本人と関わる上で、こう思っているのかもしれない、考えているのかもしれない、と気づけるヒントが書かれているかもしれないからです。また、悩んでいるご本人の手助けとなる1冊になるもしれないからです。100ページほどの本ですが、比較的文字も大きく読みやすいのでお時間があるときにぜひお手に取ってみてください。

最後に、私が印象に残った言葉をご紹介します。それは『認知症の私から認知症のあなたへ』の中で書かれています、『まだ出来る。そんな思いで生きている。』です。“病気になったから出来ない”と決めつけてしまってはいませんか?決めつけていなくても、ご本人を助ける意味で自然と決めつけているようになってはいませんか?何かが難しくなったときには、少し視点を変えて物事を見ると、今まで見えていなかったものが見えるかもしれません。
まだ出来ると思えなくても、“まだ出来るかもしれない“と視点を変えて、何かに取り組んでみるのはいかがでしょうか。

認知症疾患医療センターには他にもご本人が書かれた本があります。お時間がありますときに、ぜひ覗いてお好きな本を探してみてください。

精神保健福祉士 A

 

「よぼよぼ予防」のため○○に通いましょう!お願いしま~す!!

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Cさん:先生こんにちは〜〜 さむなったなあ
私:Cさん,こんにちは.今日は元気がいいねえ.
Cさん:この歳になって,元気なわけねえがあ
私:この歳って言うけど,なん歳になったんじゃったけ
Cさん:そりゃ,85じゃが
ご家族:91歳よ〜!
Cさん:ここまでなったらおんなじゃが.なあ,先生
ご家族:マスク外さないで!!
Cさん:もう,マスクマスクって!先生に顔色見てもらわんといけんが.
私:お〜〜,口紅バッチリじゃねえ〜
Cさん:そりゃ,外出るときはぬるぐらいはするよ
私:まゆも描いてるなあ(笑)
Cさん:もう!,先生! 年寄りばかにしたらいけん
私:似合ってるよ
Cさん:もう!,先生! 年寄りばかにせんでな
私:乙女心が残っとるってことだなあ
Cさん:もう!,先生! 年寄りばかにして
私:でも,とってもいいよ.ところで,ご飯ちゃんと食べてる?体重がちょっと減っとるよ
Cさん:この人がしてくれるから食べんといけんが
私:失礼だけど,出るもんもでとる?
Cさん:そりゃでんと困るが
私:いいのが出とる?
Cさん:まあまあじゃ
私:(ご家族に視線を送りながら)ちゃんと出てるかなあ.
ご家族:2〜3日に一回だと思います.
私:便秘気味かなあ
Cさん:若い時からそんなんじゃ
私:ほんじゃ,今日も通じ薬をちょっと出しとくね
Cさん:ありがと
私:そういえばちゃんとリハビリにも行ってる?
Cさん:リハビリってなんじゃ
ご家族:デイサービスよ
Cさん:デイサービスってなんじゃ
ご家族:〇〇のことよ
Cさん:ああ,あそこか
私:楽しいですか?
Cさん:まあまあじゃ
ご家族:行きたがらないんですよ.お昼ご飯も半分ぐらいみたいです
私:好き嫌いってあったっけ
Cさん:出されたもんは食べんといけんが
私:(結膜を見ながら)ちょっといつもより白いかなあ
Cさん:大丈夫じゃ

私:(下腿を押さえて)ちょといつもよりむくんどるねえ
Cさん:大したことないで
ご家族:あら,むくんでますか?
私:念のため血液検査しておこうかねえ
Cさん:また,待たんといけんのかなあ,帰りたいが
私:まあまあそう言わずに,お願いします!(手を合わせて頼む)
看護師さん:Cさん,頑張って検査やって帰りましょう〜
Cさん:そうじゃなあ

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私:Cさん,血液検査したら,貧血になっとったよ.どうやら栄養や鉄分が足りないみたい.
Cさん:食べとるんじゃがなあ
私:多分,もうちょっとしっかり食べて,鉄分のお薬も飲んだら良くなるよ
私:(ご家族に)お通じどんなんが出てるかわかりますかねえ.
ご家族:流してしまうので分からないんです.紙パンツに時々便がついたりしてますけど,特に血はついてないような気がします.
Cさん:いつ見とるんじゃ?
私:まあまあ,(以前のレントゲンを見ながら)胃が横隔膜の上に持ち上がる,食道裂孔ヘルニアが少しあるので,食道や胃の上側が荒れてるのかもしれないねえ.Cさん,胃カメラしてみる?
Cさん:もう,そんなんせんでええ
ご家族:やってもらったら?
Cさん:もう,そんなんせんでええんじゃ
私:あと10年頑張るんじゃなかったけ
Cさん:もう80じゃからいつ死んでもええんじゃ
ご家族:91歳よ!
Cさん:よけいせんわ
私:そんじゃ,食道や胃を守る薬で様子をみてみる?
Cさん:薬もいらん
私:なんで?
Cさん:金かかるが
私:お金はこの世でしか使えんよ!それに高い薬じゃないしね
Cさん:そんじゃ飲もかな
私:ありがとうね〜〜!
Cさん:こちらこそ
私:それはそうと,〇〇にも行こうね
Cさん:たいぎいなあ
私:ヨボヨボ予防のためにもいった方がいいよ.体も脳もヨボヨボ予防がとても大事です!
Cさん:先生が言うなら仕方ないな
ご家族:私が言ってもなかなか聞いてくれないんですよ
Cさん:そりゃ,キツく言われたらなあ,イヤにもなるわ
私:まあまあCさん,実は〇〇に行くのは私の指令なんです
Cさん:そんなら行かんとな
私:ぜひこれからもお願いします!!(手を合わせて頼む)
Cさん:わかりましたがな.そんでももう疲れたから,帰らせて
私:ほんとだね.早く帰っておいしいご飯を食べましょう
Cさん:あんまり腹が空かんのじゃ...

幸いCさんは,鉄剤やビタミン剤を飲んで貧血も良くなりました.貧血が良くなったら,少し元気になって食欲も以前よりは出てきて,美味しそうに食べているようです.胃カメラは結局できませんでしたが,腫瘍マーカーや腹部CT(断層写真)では,大きな異常はありませんでした.
でもやっぱりデイサービスは気が進まないようです.標語をプリントして,時々お家でもみてもらっています.そうすると重い腰も少しは軽くなるし,ご家族も大きな声で言わなくても済むようです.

倉敷平成病院 脳神経内科 W

秋に楽しむ脳トレ

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食欲の秋に楽しむ脳トレをご紹介します。
11月は、「実りの秋」「食欲の秋」等、おいしい旬の食べ物がいっぱいです。俳句では、「柿」「栗」等の季語もたくさんありますね。

今回は、「季節の食材で、食べ物なぞなぞ」というテーマで脳トレを少ししてみましょう。
問題1;柔道、剣道、空手が得意な果物はなんでしょう?
ヒント…「武道」が得意な果物です

問題2;膝の上にあるジューシーな果物はなんでしょう?
ヒント…自分の膝の上を見てね

問題3;肘から木が生えてきたよ。なんでしょう?
ヒント…真っ黒の海藻だよ

みなさん、ちょっと脳トレできましたでしょうか?家族や友人等、外出できない今、クイズをするのも楽しい時間ですね。

 

 

さて答えです。
問題1(ぶどう)、問題2(もも)、問題3(ヒジキ)
まだまだ、たくさん楽しい問題がありますので、インターネット等で探してみてくださいね。

医療秘書 U

「よい聞こえ」が認知症予防につながる?

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今年は厳しい暑さに加えて、コロナウイルスによる感染対策に追われ疲れが出てきている頃だと思いますがいかがお過ごしでしょうか?
今日は、認知症の予防について少しご紹介させていただきます。

「難聴」は「高血圧」「肥満」「糖尿病」などとともに認知症の9つの危険因子の一つに挙げられており、「予防できる要因の中で、難聴は認知症の最も大きな危険因子である」と指摘されています。
国内外の研究によって、難聴のために、音の刺激や脳に伝えられる情報量が少ない状態にさらされてしまうと、脳の萎縮や、神経細胞の弱まりが進み、それが認知症の発症に大きく影響することが明らかになってきました。
また、難聴のためにコミュニケーションがうまくいかなくなると、人との会話をつい避けるようになってしまいます。そうすると、次第に抑うつ状態に陥ったり、社会的に孤立してしまう危険もあります。実はそれらもまた、認知症の危険因子として考えられています。だから、「難聴が最も大きな危険因子」だと言われているのです。
「よい聞こえ」が認知症予防につながるのです!
補聴器をつけたり聴力補助具を使ったりなどして難聴に正しく対処し、適切な「聞こえ」を維持して脳を活性化し、家族や友人とのコミュニケーションを楽しんでいれば、認知症を予防したり、発症を遅らせる可能性が高いというわけです。

         補聴器                   補聴器補助具

聴力の低下を感じたり、何度も聞き返すことが増えたなどあれば、放置せずきちんと耳の状態や聴力を評価してなるべく早く対処しましょう。「よい聞こえ」はQOL(生活の質)を高めるだけでなく、認知症の予防にもつながります。健康的でいるためのいわばアンチエイジングツールなのです。
当院の認知症疾患医療センターでは認知症予防のためにも、早いうちから耳鼻科にて耳のチェック(耳垢等)、聴力の評価をし、早めの補聴器使用もお勧めしています。

認知症疾患医療センター 看護師 A

『わくわくカフェ』と『家族教室』の紹介

カテゴリー: 認知症疾患医療センター | 投稿日: | 投稿者:

連日、猛暑が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?
ウェザーニュースの予報では、西日本では9月になっても平年より気温は高く、お彼岸頃まではこの暑さが続くことが予想されるようです。
今年は厳しい残暑に加え、コロナウイルスによる感染対策に追われるといった今までとは違った生活様式になりました。

当院の認知症疾患医療センターでは、毎年“わくわくカフェ”や“家族教室”を開催していましたが、6月に予定していたわくわくカフェ、5月から開催予定であった家族教室はそれぞれ中止となり、今後については検討中となっています。ここで、両行事のことについて簡単にご紹介させていただきます。

“わくわくカフェ”とは、認知症の方の普段はみられない様子をみることが出来たり、ご家族同士が知り合える「きっかけ」の場の提供を目指して開催をしています。内容は、医師による講演や参加者みなさんで楽しめるゲームタイム、料理や創作、脳トレ、通所リハビリスタッフによる体操など様々なコーナーを設け、楽しく過ごしていただけるように多職種で案を出し合って企画しています。

“家族教室”とは、当院の認知症疾患医療センターを受診している患者さんのご家族を対象に、認知症の知識や対応方法を学ぶ機会を提供することを目的としています。内容は、各専門職(医師、看護師、栄養士、リハビリスタッフ、精神保健福祉士、心理士)による講義や、講義の内容を踏まえて参加者の皆さんと一緒に考えるグループワークを行っています。また教室には心理士や精神保健福祉士がいるため、気軽に相談していただけるのも特徴の1つです。
今年度はまだ開催できていない“わくわくカフェ”と“家族教室”ですが、いつかまたこの行事を通して、皆さんとの交流を楽しみにしています。

                              心理士 N