栄養科通信vol.113「ノロウイルスに注意」

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冬場になると流行するノロウイルス。感染すると、激しい下痢や嘔吐、発熱などの症状が表れます。感染する主な経路として

①感染者の糞便や吐物からの二次感染

②カキなどの2枚貝を生または加熱不十分で食べること

などが挙げられます。「ノロウイルスといえばカキ」というイメージをもたれている方も多いのではないでしょうか。しかし実際の感染はほとんどがヒトからヒトへの感染のようです。ノロウイルスに感染した人の糞便や吐物の処理をするときは、必ず使い捨て手袋やマスクを着用し、処理後は石鹸で念入りに手洗いをして二次感染を防ぎましょう。ノロウイルスは乾燥すると、空気中に舞い上がり、口に入って感染することがあるため乾燥する前に処理してしまうことが大切です。通常のアルコール消毒では効果がないため、便、吐物の処理後は市販されている塩素系消毒剤(ハイター、ブリーチなど)を0.1%の濃度に薄めて消毒します。

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また、ノロウイルスはカキやその他の2枚貝の中腸線という黒っぽく見える器官に取り込まれています。そもそも、なぜ2枚貝がノロウイルスを体内に取り込んでしまうのでしょうか。

①ノロウイルスに感染している人間の糞便や吐物がトイレから下水処理場へ流れる。

②下水処理場で完全に除去しきれなかったノロウイルスが海に流れ出る。

③2枚貝が餌のプランクトンと一緒に、ノロウイルスも吸い込んでしまう。

そしてその汚染された2枚貝を加熱不十分で食べると感染する恐れがあります。サザエなどの巻貝やアワビなどの1枚貝の生食で感染がほとんど起きないのは、プランクトンではなく海藻を餌としているため、海水を大量に吸い込むことがないためです。

ノロウイルスは熱に弱いので、食べる際は中心温度が85~90℃90秒以上で加熱すれば死滅すると言われています。生食用のカキは、保健所の指定したきれいな海域で育てられていますが、ノロウイルスが全くいないということではありませんのでご注意を。海のミルクと呼ばれるカキにはビタミン、ミネラル、アミノ酸が多く含まれています。十分加熱して冬の味覚を楽しみましょう。気温の低い日が続きますので、こまめに手洗いうがいをして、ノロウイルスや風邪から身を守りましょう。万が一症状が出た場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。

栄養科 A.T