新型コロナウイルス感染症の検査法について

カテゴリー: 臨床検査部 | 投稿日: | 投稿者:

もう何か月も新型コロナウイルス感染症のニュースを見ない日はありません。感染しているかを調べる検査としては、テレビなどでもよく聞くPCR検査がありますが、他にどんな検査があるのか紹介したいと思います。

新型コロナウイルスの感染を調べる代表的な方法として、「PCR検査」「抗原検査」「抗体検査」があります。

PCR検査:新型コロナウイルスに固有の遺伝子を見つける検査です。検体には、鼻や喉の粘液、唾液などを用います。PCR法は、遺伝子本体であるDNAを増幅して検出します。遺伝情報の伝達などを担うRNAは検出できません。コロナウイルスはRNAウイルスですので、検体からRNAを抽出しDNAへ変換して検査していきます。ウイルスの遺伝子がわずかでも含まれていれば検出できる、非常に感度の高い方法です。しかし、専用の機器や熟練した技術が必要な上、結果が出るまで数時間を要するなど簡便な検査とはいえません。
また、遺伝子検査には「LAMP法」というのもあります。わが国で開発された検査法で、LAMP法はPCR法と比較して、DNAの合成や合成されたDNAの確認方法が異なり、検査結果が得られる時間が2~3時間短縮されます。PCR法の方がLAMP法より若干感度が良いと言われています。

抗原検査:PCR検査と同様に、鼻や喉の奥から拭い取った粘液を検体とし、ウイルスのタンパク質である抗原を検出するキットです。唾液の場合は、現状では有用性の検証中です。簡便な検査キットが最近開発され、専用の機器を必要とせず、かつ30分程度の短時間で判定できます。しかし、陽性結果が得られるためにはPCR検査と比べ多量のウイルスが必要となります。抗原検査が陽性なら新型コロナウイルス感染症と診断できますが、陰性であっても感染症を否定できないことになります。

抗体検査:過去に感染したかどうかが分かる検査です。新型コロナウイルスに感染していても症状が出なかったり、病院に行かないまま回復した場合を含めます。
抗体とは、体の中に侵入してきた病原体などに対応するために、免疫反応によって生体内で作られるタンパク質です。これらの抗体は発症後数週間後くらいから検出できると言われています。抗体検査が陽性であれば、過去に「感染した」と言えますが、発症早期であれば陰性であっても「感染していない」とは言い切れません。抗体がまだできていない場合があるからです。

新型コロナウイルス感染症がいつ終息するかは分からない状況ですが、自分たちにできること「手指衛生(手洗いやアルコール消毒)」「マスク着用」「3密を避ける」をしっかり実施していきましょう。

参考文献:山陽新聞 川崎学園集中講義 第3回「新型コロナウイルスの検査法」

臨床検査技師 R.A