人食いバクテリアとは?

カテゴリー: 臨床検査部 | 投稿日: | 投稿者:

最近、ニュースで見かける「人食いバクテリア」、手足の壊死や意識障害を起こして死に至ることもある「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」が、今年は患者数が過去最多となっているそうです。
名前だけ聞くとこわい名前で、インパクトがかなり強いですが、実際、「人食いバクテリア」とは何者なのでしょう?
人食いバクテリアと呼ばれる菌には、本来いくつかの種類がありますが、最も有名なのは「A型溶血性レンサ球菌」という細菌です。 この「A型溶血性レンサ球菌」は特別な細菌ではなく、扁桃炎やとびひ、皮膚炎などを起こす一般的な細菌です。皮膚の常在菌(=常に在る菌)と呼ばれる仲間でもあり、特に病気を引き起こすことなく人の皮膚に住み着いている菌でもあります。 ですが、小さな傷や水虫などからこの細菌が体に入ると劇症化する場合があり、これが「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」です。
皮膚や筋肉などに感染すると、細胞が死んでしまい真っ黒になるため、あたかもバクテリアに「食べられた」ような印象があるため「人食いバクテリア」と名付けられたのかもしれません。kega_surikidu
初期症状は、手足の痛みや腫れ、38度以上の発熱、傷とそのまわりを押すと強い痛みを感じるなどですが、進行は速く、筋肉や筋膜を壊死させたり、血流に乗って全身に回り多臓器不全などを引き起こしたりします。発症して、数十時間以内にショック状態で死に至ることもあり、致死率は約30%にのぼるといわれています。

普段は重症化しないこの細菌ですが、何がきっかけで重症化するのかは不明な点が多く、まだ詳しく分かっていません。なので、けがをした場合には、水道の流水で汚れをしっかり洗い流し、きちんと消毒して病原菌が入らないようにすることが大切です。それでも、我慢できないような患部の強い痛みがある、患部の赤みや腫れに加えて高熱や強いだるさなどの症状がある場合は、すぐに医療機関に受診するようにしましょう。

臨床検査部R.A