日日是グレードアップ

カテゴリー: 臨床検査部 | 投稿日: | 投稿者:

明けましておめでとうございます。平成元号最後の年が明けました。生前中に三通りの元号を経験できそうです。昭和の終わり近い生まれは四~五通りの元号を知る方が多いことでしょう。少しだけ、羨ましい気持ちです。尚、年明け早々、地震が発生しています。今年こそは、否、未来永劫に天災や人災が無いことを心から祈っています。しかし、これも人間があらゆる局面においてグレードアップする機会を与えられているのかもしれません。

私は例年通りの格段に変化のない年末年始を送りましたが、昨年は公私ともに慌ただしい(というよりも、精神的に不安定な)日々を悶々として過ごしてきましたので、今年はそれらを払拭できる年となるよう精神の浄化を図ろうと思います。

さて、私たちの職務は診断の補助となる各種検査を行っていますが、提供した結果が精確であって、それが本当に診断の補助として、患者のためになっているのかと時折不安になることがあります。特に検体検査の場合はどのような検査項目であっても、真値はわからないのです。ある多くの項目は標準物質というもので検量線を作成し、基準となる物質(コントロールという)を測定し、結果が一定の範囲内(この範囲が意外と広い)にあれば患者さんの検体を測定して良いとしているのです。標準物質やコントロールでさえ、メーカーによって内容が異なっています。出発点から真値はないのですから、得られた結果値が真値である筈がありません。

ましてや、患者さんの生理的変動、採血方法、遠心方法、血清や血球の状態、測定機器の精度・再現性・・・と結果値に影響を及ぼす内容は枚挙に暇がありません。そのような理由から、提供した値はその時点での患者さんの状態をなるべく精確に表現できているのだろうか?と不安になるわけです。しかしながら、このような状況でも臨床検査は成り立っているのです。

なぜならば、この世の中に『絶対』は存在しないからです。つまり、この分野のみならず、全ての事象に絶対はあり得ないからです。

昔の真実や常識であったものが、変化してきていませんか?それが証明しています(ややこじつけですが)。更に、ひとつの項目だけで確実な診断(感度・特異度が共に100%であること)へと導くことのできるものはなく、結局は理学的所見や画像検査や複数の臨床検査項目を総動員して診断へと漕ぎ着けることになるからです。ですから、ひとつの項目が少々精確な値でなかったとしても、大半は大きな問題には繋がらないと考えられることになります。

それでも、やはりこの分野に身を置くものとしては提供するデータがより精確であるために総力を挙げて取り組んでいることをご承知いただければ有難いと思いつつ、それをバネにグレードアップしていこうと考えています。どうぞよろしくお願いします。

臨床検査部  光源頭