倉敷ニューロモデュレーションセンターでの便秘対策

パーキンソン病の患者さんには便秘が多いと言われています。
便秘は運動機能が低下することによる運動不足や、食事、薬の関係からも起こります。実際、パーキンソン病の患者さんの6~7割の人が便秘を自覚しているという報告もあります

パーキンソン病に多い便秘の原因として、

〇自律神経のはたらきの低下
パーキンソン病になると脳から体へ指令する神経の伝達速度の遅れに加えて、腸の動きを管理する自律神経のはたらきも低下させてしまうため大腸の蠕動運動が低下して便秘につながります。

〇食事量の減少
食欲がなく、普段より食事量が減ると便の量も少なくなり、腸の蠕動運動に働きかけることが減り、合わせて水分摂取量も減ると便が硬く、出しにくくなり便秘につながります。

〇身体を動かさなくなり、運動量の低下
動作が緩慢になったり、筋肉が硬直したりするため、体の筋肉を維持することが難しくなります。筋力が落ちると腸の蠕動運動を助ける腹筋も弱まり、排便する力が落ちるので便秘につながります。また、動きが遅くなることで尿意や便意をもよおしたときにトイレに駆け込むのが難しくなることで排便習慣が乱れやすくなります。

〇肛門括約筋の亢進
外肛門括約筋の衰えにより、スムーズな排便ができなかったり、排便のサインを送るセンサーの機能低下により肛門括約筋が締まったままになり便秘につながります。

〇抗パーキンソン病薬の副作用
パーキンソン病の治療薬には抗コリン薬の成分もあり、その副作用として大腸の蠕動運動が抑えられ、便秘につながります。

便秘になると、食事として摂取した食べ物に含まれる栄養素をスムーズに吸収することが出来なくなります。栄養素を吸収できないので痩せてしまったり、薬の吸収も悪くなり、効果も薄くなっているのではないかとも言われており、便秘といえどもあなどれません。
本来なら速やかに排出されるべき便が、便秘になり長く腸内にとどまっていると悪玉菌が増殖してしまいます。腸内環境を安定させて消化吸収を促進する働きをもつ善玉菌を、悪玉菌に負けないくらい増やしておかなければなりません。常に善玉菌が多い腸内環境にしておくには、善玉菌が好む栄養をとる必要があります。

そんなわけで、当院では便秘対策の一環として食事や内服薬の調整に合わせてオリゴ糖を利用し始めています。オリゴ糖は善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌のえさになり、善玉菌を増やします。善玉菌の多い腸内環境では、栄養や薬の吸収も良くなり免疫力もアップすることが期待できます。何より便秘解消すると気持ちもスッキリするのではないでしょうか。その効果がどのように出てくるのか、経過を見ながら進めていきたいと思っています。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 管理栄養士 A