栄養科通信vol.179「食欲と色について」

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人間には、「視覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」「聴覚」の五感というものが備わっています。それらの中で、料理を一目見た時に「美味しそうだな!」と判断するのに一番影響しているのは「視覚」です。「視覚」は87%というほとんどの情報を占めているので、料理の色合いが変わるだけで美味しそうに思えたり不味そうに思えたりするのです。

◎食欲が増幅する色
赤やオレンジ、黄色などの鮮やかで明るい色を見ると、血圧や脈拍数が上昇し、体温も上がって食欲増進につながります。また、単に赤色に染めるのではなく、他の色との組み合わせによって食欲増進効果をよりアップさせることもできます。色相環で反対の位置にある色を補色、反対の色の隣近辺の色を反対色といいます。グリーンサラダにトマト、まぐろの刺身に大葉を添えるなどは、同系色の盛り付けに対し補色を組み合わせた例です。単調で平凡になりやすい同系色の組み合わせに対して、5~10%の補色を使うとアクセントとなり、全体の印象にメリハリを付けやすくなり、食欲増幅につながります。

◎食欲が減退する色
「青」や「青緑」「紫」などを見ると、暖色系とは逆に体温や血圧が下がります。そうなると血流も悪くなり、内臓の働きも鈍るので食欲は減退してしまうという結果を招きます。
また、青が「自然界に存在しない色」であることも食欲が落ちる理由です。人間の脳が青い色を食べ物として認識しないようにできているため、青は食欲を想起させないという仕組みになっているのです。

料理の色だけでなく、お皿やランチョンマットの色を変えるだけで美味しそうに見せることができます。食欲が減退しやすいこれからの季節、暖色系の食材を使用したり、メリハリのある盛り付けをしたり、暖色系のお皿やランチョンマットを使用することで、見た目から食欲増進をはかっていくのもいいですね。

参考
日本メディカル心理セラピー協会 https://www.domap.net/
臨床栄養 第140巻 第7号(通巻964号)医歯薬出版株式会社

管理栄養士 Y.N