睡眠導入剤について

カテゴリー: 薬剤部 | 投稿日: | 投稿者:

残すところ2020年もあと2か月を切りました。最近は鬼と闘うアニメ映画が大ヒットしていますね。物語の中で薬学に精通している剣士が登場したときは、薬剤師として少し嬉しくなりました。映画の中では夢の中へ人間を連れていく鬼が登場しますが、皆さんはしっかりと睡眠を確保できていますでしょうか?

薬の中には眠りをよくするための睡眠導入剤がありますが、作用の仕方で大きく2種類に分けられます。

①脳の興奮を抑えてくれる薬
GABAという神経間で情報を伝えている物質の働きを強めることで、神経の細胞の興奮を弱め、催眠作用をもたらします。最近では、せん妄状態になるリスクを高めることや、力が入りにくくなり夜間の転倒のリスクを高めてしまうことが報告されており、入院患者様にはあまり使われなくなってきております。
例:ベンゾジアゼピン系(ブロチゾラム・エチゾラム等)、非ベンゾジアゼピン系(ゾルピデム・ゾピクロン・エスゾピクロン等)

②自然な眠気を強くする薬
睡眠に関係する体内物質(メラトニン・オレキシン)の働きを整えることで催眠作用をもたらします。メラトニンは夜間に分泌され睡眠を安定させ、オレキシンは覚醒の維持に関わります。
例:メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)、オレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント)

高齢の方は体の中の薬を分解する力が落ちてしまい、薬が効きすぎてしまうことがあります。睡眠薬を飲んで効きすぎてしまい、日中も眠気が強いことがある場合は医師や薬剤師に相談してください。また睡眠薬を服用された際は、夜間目が覚めてトイレまで歩く時、転倒にはしっかり注意が必要ですよ!

ここまで睡眠導入剤のお話をしてきましたが、薬を飲まなくても睡眠をとれることが一番です。眠れない際はぜひ、寝る前に温かい飲み物を飲んでみたり、好きな香りを香ってみたりなど、様々なリラックス方法を試していただけたらと思います。

これからますます寒くなり、様々な感染症が流行する時期がやって来ます。よもやよもやの事態を考えながら、しっかりと睡眠をとって体調を整え、ウイルスを予防していきましょう。

薬剤部 MK