日別アーカイブ: 2016年11月8日(火曜日)

栄養科通信vol.111「ユニバーサルデザインフードを上手に活用しましょう」

カテゴリー: 栄養科 | 投稿日: | 投稿者:

ある日、高齢の患者さんのご家族から、「食べ物を噛むことや飲み込むことが難しく、食事が進みにくいため、在宅で食事をさせるのが不安です。」という相談を受けました。このような在宅で介護をされる方はまず、かかりつけの病院を受診して、嚥下の状態を診察してもらい、適した食事の形態を知ることが一番重要となります。しかし、嚥下しやすい食材の調理方法や介護食の作り方などがインターネットで簡単に手に入るようになったとはいえ、毎日手作りで適した固さや形状の介護食を作るのは大変だと思われる方も多いのではないでしょうか。そういった方が手軽に利用できる市販品の介護食として「ユニバーサルデザインフード」があります。ドラッグストアやスーパーマーケットで購入でき、高齢者や病気療養中の患者さんなど「噛む力」「飲み込む力」が弱っている方に向けた調理済み食品です。「硬さ」や「粘度」の規格により4区分に分け表示し、食べやすさに配慮しています。
そもそもユニバーサルデザインとは、文化・言語・国籍の違いや老若男女といった差異、障害の有無を超えて多くの人にとって使いやすい施設・製品・情報の設計のことをいいます。食事の分野でも、介護用加工食品として、日本介護食品協会が「ユニバーサルデザインフード」を作成しました。
規格は、軟らかさや滑らかさによって「区分1:容易に噛める」「区分2:歯ぐきでつぶせる」「区分3:舌でつぶせる」「区分4:噛まなくてよい」の4つに区分され、数字が大きいほど軟らかくなります。各商品のパッケージには、ユニバーサルデザインフードのロゴマークと区分数値、区分形状が表示されています。この他にも飲み物や食べ物に加え混ぜるだけで簡単に適度なとろみをつけることが出来る、とろみ調整食品もあります。

●区分1 容易に噛める
噛む力の目安:かたいものや大きいものはやや食べづらい
飲み込む力の目安:普通に飲み込める

●区分2 歯ぐきでつぶせる
噛む力の目安:かたいものや大きいものは食べづらい
飲み込む力の目安:ものによっては飲み込みづらいことがある

●区分3 舌でつぶせる
噛む力の目安は:細かくてやわらかければ食べられる
飲み込む力の目安:水やお茶が飲み込みづらいことがある

●区分4 噛まなくてよい
噛む力の目安:固形物は小さくても食べづらい
飲み込む力の目安:水やお茶が飲み込みづらい

このように噛む力や飲み込む力によって区分されており、形状が分かりやすくなっています。咀しゃくや嚥下状態にあったユニバーサルデザインフードをみつけて、毎日の食事が楽しくなるように活用してみるのもいいですね。何を選んだらよいかわかりにくい、低栄養や食事が進まないなど、お困りの際は当院管理栄養士までお気軽にご相談ください。

栄養科 管理栄養士 K.M