カテゴリー別アーカイブ: 平成南町クリニック

変わらないが幸せ

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心地よい10月の風のはずが、閉塞感のある毎日
心から開放された季節が来るのが待ち遠しい
以前訪れた倉吉の街角で見かけた「ひとまちいぬ」の銅像が気になる我が家の愛犬「ジュテ」
10月1日生まれで(末娘と同じ誕生日)満8歳(これは異なります)

朝晩の散歩は私の役目 どんな豪雨の日も欠かさず散歩
晩酌(私の故郷の町にある旭酒造の酒粕「獺祭焼酎」)をすると目ざとく寄ってきてチーズのおねだり
よしなが小百合 よしつね よしだしげる よしむら教授 まだ食べられません
よし・・・もと君 おっとお手付き  いけませんね 「よし!」やっと食べれます 可愛いですね
言葉を判っていると勝手に思い込んでいます 心が通じ会っているはず
変わらない毎日が、本当は一番幸せです
鬱々とした気分は捨てましょう 目覚めた時に今日も同じと感じたらそれが幸せです

 

平成南町クリニック 玉田

遺伝性血管性浮腫

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蕁麻疹は表皮の下の真皮内での血管透過性亢進によって表皮が膨れ上がる境界明瞭な浮腫ですが、血管性浮腫は真皮深層や皮下組織深部での血管透過性亢進でおこる境界不明瞭な浮腫です。心不全などで起こる浮腫は指で押さえると跡を残す圧痕性浮腫ですが、血管性浮腫は圧痕を残しません。

一般的な対処法である抗ヒスタミン薬やステロイド剤では効果のないタイプの血管性浮腫に、遺伝性血管性浮腫があります。免疫反応(抗原抗体反応)の進行に必要な補体の中のC1を制御するC1-インヒビターが欠損しているか活性が低下しているために血管性浮腫が生じてしまうのです。10歳代から20歳代に多く発症しますが高年齢になって発症する場合もあります。浮腫が体のどこに起こるかは一定せず、首の回り・喉頭に起こると窒息の危険があります。消化管に生じると原因不明の急な腹痛で開腹術に至ることもあります。数時間かけて症状が進行して24時間後にピークとなり、3日~数日で治まっていきます。週単位から年単位で再発作が生じます。きっかけとして精神的ストレス、抜歯や怪我・過労・寒冷環境などの肉体的ストレス、妊娠・月経、誘因薬剤などがあります。5万人に1人程度の発症があるとされます。(未診断の方が多いと言われています)
同じくC1-インヒビターの欠損や活性低下でおこる後天性血管性浮腫もあります。40歳以降50歳代から60歳代にかけて発症することが多いとされています。リンパ増殖性疾患やSLEなどの自己免疫疾患、あるいは男性の性機能低下が原因になります。
遺伝性ないし後天性血管性浮腫は次の場合に疑います。蕁麻疹を伴わず抗ヒスタミン薬やステロイド剤が無効の浮腫で、再発が多い・家族歴がある・再発性の腹痛発作がある、上気道の浮腫をきたす場合など。
血管性浮腫の原因にはその他に薬剤誘発性、アレルギー性、好酸球性などもありますが、その人がC1-インヒビターの異常を持っている場合には特に薬剤性血管性浮腫の症状が重篤になり易いので要注意です。
薬剤性血管性浮腫の原因薬剤には、降圧薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬)、血糖降下薬(DPP4-阻害薬)、鎮痛薬(NSAIDs)、血管造影剤、筋弛緩薬、エストロゲン製剤などがあります。
C1-インヒビターの欠損や活性低下の血管性浮腫を疑った場合には、補体のC4を調べます。浮腫が生じている場合が適していますが、浮腫が改善した後でもC4が低下していることが多いとされています。C4の低下がなければ、遺伝性/後天性血管性浮腫ではないとして良いようです。 C4の低下があればC1-インヒビターの活性を調べます。(これらの検査は保険適応があります) これらの結果とC1-インヒビター蛋白量(保険適応なし)が低値かどうか、家族歴があるかどうか、発症年齢などで確定診断を行います。

治療や予防にはステロイドや抗ヒスタミン薬ではなく、トラネキサム酸(止血剤としてや咽喉頭炎時の消炎などによく用いる薬剤です)やC1-インヒビター製剤(静注する血液製剤です)を用います。その他にブラジキニンB2受容体拮抗薬のイカチバント(商品名フィラジル 自己皮下注射も可能です)があります。それ以外にも日本では未承認の新しい薬剤もあります。

誘因が特になく数時間かけて増強し数日で軽快した両大腿部浮腫の方がおられました。軽快中に来院されましたが、C4の低下はなく遺伝性/後天性血管性浮腫ではないと判断しました。(原因は今のところ不明です)

遺伝性/後天性血管性浮腫に当てはまる浮腫の経験のある方や家族歴のある方は、確定診断をつけて予防しておくことが重要です。(遺伝性血管性浮腫の診療を、岡山県では川崎医科大学皮膚科でされています。)

平成南町クリニック 玉田

臨海学校コーチの思い出

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高校2年生の時(54年前)に、1年生の臨海学校のコーチをするように言われ、男女6名ずつのコーチの一人として参加しました。顔を水につけれるけれども泳げないクラス(男子15人)の担当でした。
山口県光市室積海岸で1週間の臨海学校です。宿舎は室積小学校の教室です。コーチ群は臨海学校日程の前に学校のプールで古式泳法を習得しました。陣笠飛び込み、立ち泳ぎ(巻き足、踏み足)、抜き手、横泳ぎなど今でもできます。泳げなかった1年生達が最終日に2時間の遠泳が出来るようになったのを見届けた時は感動したものです。

大学生になってから室積海岸のスケッチをし、後日油絵にしました。スケッチ画はクリニックに飾っています。

今は、新型コロナウイルス感染を防ぐために海水浴はできない状況です。倉敷に住みはじめてからは毎年、渋川海水浴場に泳ぎに行っていましたが今年は断念しています。
訪問診療を行っている高齢者向け住宅に入居されている方々や配置医として診療している特養に入所されている方々は、現在面会禁止となっています。職員や診療医は間近に接しているのですから、ご家族は感染予防対策を行えば面会可能と考えます。

指定感染症ゆえの対応ですが、来年1月末には指定感染症の期間が終了するので、その後は一般的な感染対策は続けるとしても面会禁止などの対応は不要になっていると思います。

平成南町クリニック 玉田

電話 086-434-1122

相対的副腎不全

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梅雨の長雨が続き、また新型コロナ感染症流行のため自由な行動も自粛を求められ気分の落ち込むことが多いこの頃です。
だるい、疲れやすい症状は誰にでもありますが、非常に強い場合や長く続く時には身体的な疾患を考える必要も出てきます。低拍出症候群や心筋梗塞などの心疾患、起立性調節障害、血液疾患、感染症、血管炎、低血糖などありとあらゆる疾患を区別しなければなりません。甲状腺疾患や副腎不全などの内分泌疾が「異常な疲れ」をきっかけにして見つかることもあります。
副腎不全は以下のような時に疑います。体重減少・疲労感・脱力・食欲不振・悪心嘔吐・腹痛・便秘・関節痛・発熱・低血圧などの症状が続く時です。いずれも誰にでもよく起こる症状です。特徴的な症状としては「不自然な痛み(通常であれば痛みとして感じない程度の刺激などでも痛む)」があります。
一般的な検査所見では、白血球の好酸球増加やリンパ球増加・血性ナトリウムの低下・血性カルシウムの上昇・低血糖・低コレステロール血症などです。
診断するにはコルチゾール(副腎皮質ホルモン)、アルドステロン(副腎皮質ホルモン)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)などの値を調べます。
早朝安静時のコルチゾール値で判断することが多いのですが、正常基準値は検査方法でやや異なり、例えば「F臨床検査」では4.5~21.1μg/dLです。一般的には4.1μg/dL未満であれば副腎不全が疑われ、18μg/dL以上であれば副腎不全は除外できます。問題なのは基準値内であっても4~18μg/dLの場合です。色々な負荷試験で判定することになります。ACTH(臓器抽出の天然の副腎皮質刺激ホルモン)やコートロシン(合成されたACTH作用を持つペプチドの商品名)を静脈注射して血中コルトゾールの増加の程度で評価します。
緊急時にこのような負荷試験が必要になることがあります。ショック状態や敗血症時に全身状態の改善がなかなか得られない時には「相対的副腎不全」が原因のことがあるからです。輸液や昇圧剤などでもショック状態が改善されない時に副腎皮質ホルモンの投与で状態改善したとの報告が多くあります。但し、感染症を重篤化させる危険性もあるので全ての場合に有益という訳でもないようです。
ショック状態でない場合でも「相対的副腎不全」が問題になることがあるのでしょうか。正式な病名にはなっていませんが「副腎疲労」という概念が相当するように思われます。
副腎機能の状況を次の4段階に分けてあります。
ステージ1:警告反応(闘争と逃走反応)、ステージ2:抵抗反応、ステージ3:副腎疲労、ステージ4:副腎不全
副腎不全の場合以外は、副腎皮質ホルモンを薬剤として補充するのは不適切です。食生活改善(糖質を減らしつつ腸内細菌環境を改善させる、ビタミン不足のないようにするなど)や、生活スタイルの改善(嫌な事をしない、会いたくない人には会わない、適度な有酸素運動を行うなど)で対応するのが良いとされています。
こんな生活ができれば快適ですね。

平成南町クリニック 玉田

標準体重改め目標体重

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標準体重は、職域健診の異常所見の合計数が最も少なくなるBMI(体格指数)22に基づいて算出されています。(適応範囲は30歳~59歳とされていますが)標準体重=「身長(メートル)×身長×BMI22」kgです。

2020年版の日本人の食事摂取基準(厚生労働省)によれば、目標体重を、男女の区別なく年令で区切って以下のように提唱しています。
18歳~49歳 身長(m)×身長×(18.5~24.9)kg 身長1.6mなら47.4kg~63.7kg
50歳~64歳 身長(m)×身長×(20.0~24.9)kg
65歳~74歳 身長(m)×身長×(21.5~24.9)kg   身長1.6mなら55.0kg~63.7kg
75歳以上  身長(m)×身長×(21.5~24.9)kg

総死亡率が最も低かったBMIの範囲から上記の目標を定めているのですが、65歳以上では総死亡率の最も低かった体重の範囲は以下のようでした。
65歳~74歳 身長(m)×身長×(22.5~27.4)kg 身長1.6mなら57.6kg~70.1kg
75歳以上  身長(m)×身長×(22.5~27.4)kg

目標体重をこれに合わせなかったのはフレイルの予防及び生活習慣病の発症予防の両者に配慮する必要を踏まえてとしてありますが、なかなか理解し難いです。
いずれにしても「標準体重」より重くても「目標体重」になるので、余計な心配が少し減ります。
患者さんの体重評価に今後は「目標体重」を用いることにしました。
体重管理に最も影響を与えるのは糖質摂取量ですが、糖質に関して「2020年版の日本人の食事摂取基準(厚生労働省)」では次のように述べてあります。
~糖質の役割は(中略)通常はぶどう糖(グルコース)しかエネルギー源として利用できない組織にぶどう糖を供給することである。~
注釈:ぶどう糖が必須なのは網膜と赤血球のみであり、脳はケトン体をエネルギー源にでき空腹時には主にケトン体を利用しています。
~炭水化物については推定平均必要量(及び推奨量)も耐容上限量も設定しない。同様の理由により目安量も設定しなかった。~
注釈:必須糖質は存在しないので上記の記述は妥当です。しかし炭水化物の目標量は次のように記載してあります。(糖質と食物繊維を合わせたものが炭水化物です。)
~蛋白質と脂質の目標量の下の値に対応する炭水化物の目標量(上限)を65%エネルギーとする。炭水化物の目標量(下限)は蛋白質と脂質の目標量の上の値(20% 30%)に対応させる。~
注釈:炭水化物の目標量を50%~65%エネルギーとするとしていますが、血糖値を上げないようにする観点からはこの目標値は高めと思われ40%以下が良いと考えます。蛋白質と脂質のエネルギー比を増やせば糖質のエネルギー比率はもっと下げられます。ちなみに糖尿病患者さん用の経管栄養食の糖質エネルギー比は32~33%ですし、肺気腫など高炭酸ガス血症を来しやすい患者さん用の経管栄養食の糖質エネルギー比はさらに少なく28.4%になっています。高品質の脂質を多く含むため糖質量を減らしても必要なカロリーが確保できています。

平成南町クリニック玉田

 

大声出さなくても判ります

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聴力低下のある患者さんの診察時にはどうしても大声で話すことになります。しかし大きな声を出そうとすると、ついつい強い口調になってしまいがちです。悪くすると怒った感じになってしまいます。そうなるのを避けるために聞こえが良い側の耳元で話かけますが、やはり大きな声になり、また目線が合わせられませんので顔の表情が読み取れず、理解できているかどうかがわかりません。補聴器をつけておられても聞こえていない場合があります。

患者さんはよく聞こえていないので生返事をしてしまうことが多く、 また同伴の家族がおられる時には、「聞いといてや」と無関心な場面が多くみられます。今の状況下ではマスクをしていますが、いずれにしても唾液を飛ばす危険もあり、大声を出したり耳元で話しかけることは躊躇われます。
 そこで、連休明けから「拡声器」を使用しています。(写真左下にある黒い器具がそうです。ネット注文送料込みで3980円) ハンズフリーで普通の大きさ・普通の口調で話しても「聞こえています。」と言っていただけます。
それでも聴こえにくい時には装置を手に持って耳元に近づけます。こうすると目線をそらさずに、内容を伝えることができ、患者さんは会話に無関心でなくなり、聞こえにくかった時に比べ顔の表情が良いのを実感します。当方にとりましても大声出さなくてもよいので穏やかに話せますし、疲れません。
SARS-Cov-2感染症(新型コロナウイルス感染症)への対応がまだ必要ですが、その一環としての「拡声器」により思わぬ効果を得ることができました。

平成南町クリニック 玉田

新型コロナウイルス感染症への、私の「感染予防の考え方」

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、発症2~3日前から発症直後が感染力のピークであるとされています。(ブログ 感染症診療の原則 青木 眞 2020年4月16日)症状がないままの感染者もおられます。
症状の無い段階の人からウイルスを受け取るかもしれないと言うことは、私たちは全ての人からウイルスを受け取る可能性があり、また自らが知らぬ間に他の人にウイルスを渡してしまっているかもしれない訳です。
今は、「自分を含めて全ての人が感染しているかもしれない」と想定して行動する必要があります。感染予防にできることをまとめてみました。
(1) 他の人へウイルスを渡さない
咳エチケットを守る(自分から他の人への直接飛沫を減らす為に)
マスクを着用する(自分から他の人への直接飛沫を減らす為に)
受付カウンターの透明仕切り設置(当院では4月20日から開始します)
咳・発熱がある場合は受診前に連絡し、車で来院して待機
待合では他の人と距離を置いて坐っておく
エアゾルを発生させる処置(鼻咽頭などからの検体採取やネブライザー噴霧や鼻をかむなど)は行わない
聴診器や体温計は毎回アルコール消毒する
診察前に手洗いをする(洗剤洗浄を原則とする 間に合わない時はアルコール消毒)
(2)環境へウイルスを広げない
建物に入る直前に手洗いをする(手洗いできなければアルコール消毒をする)
自分の眼・鼻・口を手で触ったら、その手で周囲の物を触らない(非常に困難なので「触らない」努力を)
床に直に持ち物を置かず物置籠に置く(物置籠に紙シーツを置き取り替える)
エアゾルを発生させる処置(鼻咽頭などからの検体採取やネブライザー噴霧や鼻をかむなど)は行わない
どうしても必要で鼻をかんだ時は、ティッシュペーパーをすぐに決められたゴミ箱へ入れる
定期的に診察室・待合室の換気を行う
(3)他の人からウイルスを受け取らない
眼鏡(伊達眼鏡やゴーグル)をかけておく
マスクを着用する(吸入するウイルス量を少しでも減らす為に)
受付カウンターの透明仕切り設置(少しでも直接飛沫吸入を減らす為に)
待合では他の人と距離を置いて坐っておく
口腔内診察時にはフェイスシールドマスクを装着する
エアゾルを発生させる処置(鼻咽頭などからの検体採取やネブライザー噴霧など)を行わない
(4)環境からウイルスを受け取らない
床に落ちた持ち物は表面を拭き取るかポリフィルムなどの耐水袋に入れる
自分の眼・鼻・口を触らない。触る時には直前に手洗い※をする
※「手洗い」についての私の考え方
目的は、手(特に指)についたウイルス量を減らすことです。付着ウイルス量を0にする必要はなく100分の1に減らせば自分への感染防御になり、そのためには水洗いのみや濡れタオルで拭うだけでも良いとされています。(京大ウイルス・再生研 宮沢孝幸 氏) 皮膚の傷からもウイルスを受け取る事があると考えると、アルコール消毒や洗剤での手指洗浄を頻回に行って皮膚の荒れ(即ち小さな傷)を作るよりは、こまめに水洗いをすることの方が目的に適っていると考えます。

※※初診(最終受診後3ヶ月以上経過を含む)の方以外では電話再診による処方ができる場合があります。電話でお問い合わせ下さい。当院から連絡先へ電話して確認させて頂きます。

平成南町クリニック 玉田

その皮膚移植は本当に必須ですか?

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本年3月11日のブログ「新しい創傷治療」 (なついキズとやけどのクリニック院長 夏井 睦 主宰)に、手背の全層皮膚欠損の症例が紹介されています。
患者は2歳1ヶ月女児。小児科での○年1月5日に左手背からの点滴が漏れて壊死を生じ、1月6日に同院の形成外科を紹介された。石鹸でよく洗いゲーベンクリーム塗布となった。その後、手背全層皮膚欠損となり1月24日に皮膚移植をしないと治らないと説明を受けた。
女児は○年1月25日に「なついキズとやけどのクリニック」を受診。白色壊死を伴う手背全層皮膚欠損あり健常皮膚との境界部に浮腫状肥厚を認めていた。夏井医師は、湿潤療法※を開始し、受診から35日後に上皮化が終了し、平坦な健常皮膚が再生した。予想を上回る速さで治癒しています。

当院でも、5年前に他院小児科での点滴漏れによる右手背の全層皮膚欠損の9ヶ月女児の経験があります。同院形成外科で、点滴漏れの壊死に対しフィブラストスプレーとアズノール軟膏の塗布、ガーゼ交換の治療が行われていました。しかし壊死は進行し手背の半分弱の大きさの全層皮膚欠損となり皮膚移植が必要と言われています。点滴漏れから11日後の1月5日に当院を受診されました。湿潤療法※で経過をみましたが壊死組織は自己融解し肉芽の増生が得られ、その後欠損創の周辺から健常皮膚が再生し始め、当院初診68日後にはほぼ上皮化しました。(腸疾患のため静脈栄養のみで経過していた生後7ヶ月の女児です。)
前記の「なついキズとやけどのクリニック」での足底全層皮膚欠損の患者さんの経過紹介もあります。

62歳女性で他院にて悪性黒色腫疑いとなり、左足底の踵部分の皮膚・皮下脂肪拡大切除を行うも、悪性所見なしだった方です。全層欠損皮膚部へ、石鹸洗浄とゲンタシン軟膏塗布、ガーゼ被覆を行い、左踵への荷重を禁止されていました。改善しないため15日後に皮膚移植(右足土踏まず全層皮膚→左踵欠損部位へ全層植皮、右大腿部分層皮膚→右土踏まずの皮膚切除部へ植皮)を受けるよう説明されています。
その4日後に「なついキズとやけどのクリニック」を受診されています。左踵部の5.5cm×4.5cmの全層皮膚欠損を認めていました。湿潤療法※が開始されています。同部への荷重は禁止せず痛みがなければ歩行を許可しています。欠損創の周辺から健常皮膚が延びてきて、70日後にはごく一部を残してほぼ上皮化しています。荷重に耐え普通に歩行して職場復帰されています。
夏井医師は、皮膚移植を行っていたら成功しても移植された皮膚は「土踏まず部の皮膚のまま」なのでグニャグニャして荷重に耐えられず知覚もなく、荷重すると皮膚潰瘍になる運命を辿ったであろうと述べています。
(以下は夏井医師の解説です) 湿潤療法で再生すると皮膚支帯も再生するので荷重に耐えられる。
足底や手掌の皮膚には、皮膚支帯という手掌・足底の真皮層から脂肪組織を貫いて深部に垂直方向へ走る多数の線維索があり荷重に耐えられるようになっている。この皮膚支帯が発達するには機械的受容器(パチニ小体やルフィニ小体)からの圧情報が必要である。全層皮膚欠損部にはパチニ小体やルフィニ小体がなく、移植皮膚には(機能する)パチニ小体やルフィニ小体がないので、生着した移植皮膚には皮膚支帯が形成されず、荷重に耐えらず日常生活に支障をきたす。
指尖部も同様です。同上のブログには、全層皮膚欠損部の指尖へ移植された鼠径部皮膚は生着してもブヨブヨで知覚もなく指先としての機能がなく日常生活に支障をきたしていた男性症例の紹介もあります。その症例では植皮された皮膚を切除して再度皮膚欠損創とし、その創を湿潤療法で皮膚再生させて知覚のある正常に近い指先皮膚を得ています。
皮膚全層欠損創は、3度熱傷、外傷・手術切除後、壊死などの原因で生じます。時間はかかりますが、湿潤療法を行うと健常な皮膚の再生が得られることが殆どです。もし「皮膚移植が必要」という説明を受けても、そのまま鵜呑みにしないようにしましょう。

平成南町クリニック  玉田

 

新型コロナウイルス感染症の入院患者対応について ブログ「楽園はこちら側」より

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神戸大学感染症内科 岩田健太郎教授が、新型コロナウイルス感染症に対峙するための有益な「私見」をブログ「楽園はこちら側」で述べておられるので、全文を掲載します。

平成南町クリニック 玉田

 

新型コロナウイルス感染症の入院患者対応について  (2020年3月18日) 岩田健太郎

各地で新型コロナウイルス感染症の入院患者が増えてきて、いろいろな問い合わせを受けています。よくある質問についてここで私見を述べます。

まず、いちばん大事なことから。新型コロナ診療でいちばん大事なのは、「医療機関のスタッフが感染しない」ことです。ここは鉄則です。もちろん、病気にならないという倫理的、社会正義的な意味もありますが、それ以上にスタッフに感染者が出ると、周辺の「濃厚接触者」は全員健康監視対象者となり、マンパワーが激減するのです。つまり、戦略的に医療者の感染は巨大なダメージなのです。だから、院内感染対策は万全を期し、院内での感染の広がりは「戦略的に」許容してはいけません。クルーズ船の失敗を繰り返してはいけないのです。大事なのは頑張ることではありません。結果を出すことです。我々はプロなのですから。

1.ゾーニングについて

患者が一人であれば個室管理で「いわゆる」ゾーニングは不要です。が、患者が増えて「個室」が枯渇するようになると院内ゾーニングが必要になります。  ゾーニングは感染管理のプロでも実は案外やったことがない、という方も多いのではないでしょうか。先に述べたように、結核にしても麻疹にしても病院では陰圧個室管理でやるので、「ゾーン」を作る必要がないからです。  むしろ、病院の外での感染対策の知識と経験が必要になります。途上国医療やエボラなどの進行再興感染症対策、災害後の避難所の感染対策、リハビリ病院や透析施設、保育園、療養施設、在宅などの様々な感染対策のセッティングで感染対策をしていると、ゾーニングのなんたるかは体得できるでしょう。  ゾーニングに必要なのはリソースではありません。大事なのは概念理解です。そしてゾーニングができないセッティングはありません。テントでも、野外でも、クルーズ船でも(笑)、ゾーニングはちゃんとできます。できないのは、概念理解をせずに形式だけでゾーンを作ろうとしたときです。  簡単に言えば、ゾーニングは レッドゾーンはPPEを着けるべき場所 グリーンゾーンはPPEを着けてはいけない場所  です。これだけです。そして両者の間に境界線を引きます。両者以外の「グレーゾーン」はPPEを脱ぐ場所「だけ」です。  例えば、無症状、軽症患者がどんどん集まってくると、個室管理が難しくなります。その場合、病棟の一角すべてを「レッドゾーン」に指定できます。グリーンのナースステーションとの境界は廊下の角に斜めに線を引いてもいいでしょう。その向こうに行くときは必ずPPEを着ける。手前では絶対にPPEは着ない。患者搬送時の一時的な問題は生じる可能性はありますが、飛沫感染のコロナではそれも工夫すれば大した問題にはなりません。

2.医療とPPEについて(一般病棟)

現在は危機時で、日常診療の「常識」はまず捨てる必要があります。  そもそも、新型コロナの入院患者のほとんどは、軽症患者で、よって本来は「外来」患者であり、入院は必要ありません。つまり、入院モードで診療・看護を行う必然性がないということです。  よって、通常ならば行う定期的なバイタルチェックや回診はすべて廃してもかまいません。検温は患者自身にお願いし、熱が高い、息が苦しいなどあればナースコールか携帯で呼んでもらいます。ホテルのように、「呼ばれたときだけ対応する」でいいのです。患者は外来モードの患者なのだから。  PPEの着脱云々以前に「PPEを着けなくても良い」つまりレッドゾーンに入らないのが一番堅牢な感染対策です。医療者に感染者を絶対に出さない、が大事なので。健康監視者で定期的に血圧を測る必要がある人はほぼ皆無でしょう。数週間、血圧コントロールが完璧でなくても構わないし、そもそも多くの外来患者は完璧ではないでしょう。採血も不要、画像も不要です。本来なら退院時のPCRだってやらないほうがよいのですが、、、医療者の感染リスクを軽く考えすぎですよね、国は。  PPEをどうしても着けなければいけない場合は、レッドゾーンに入る回数を減らし、入った一回で必要な仕事を全部やってしまいましょう。「通常モード」ですと、PPEは着脱を繰り返します。耐性菌対策などで。しかし、現在は非常時で、そもそもガウンなどが枯渇してきています。そして、PPEのリスクは実は脱ぐときにあるのです。PPEについているウイルスを触ってしまうからです。だから、PPEを脱ぐ回数が増えると感染リスクが増すのです。  レッドの中の患者はすべてコロナ感染者なので、Aという患者を見てから同じPPEでBという患者を見ても構いません。PPEの着脱回数を最小限にするのが大事なので。そうしてレッドでやるべきことをすべてやり、グリーンに戻るときにPPEを脱ぎます。このプロセスは最小限にすべきです。電話でできる対応はすべて電話でやりましょう。「現場に行く必要」はありません。  聴診器を使うのは止めましょう。聴診器を使わなくても、胸の動きや呼吸数、SpO2でだいたいのことは分かります。すべてのPPEには弱点があり、弱点を理解するのが大事です。多くのコロナ用PPEの弱点は首とか耳周りです。ここを汚染する最大のリスクは聴診器です。ここでも「日常診療の常識」を捨てるのが大事です。ちなみに、エボラ患者を診察するときは絶対に聴診器は使いませんでした。死亡率50%の超重症患者でもそういうことはできるのです。  レッドゾーンを広くすれば、その中を自由に患者に動いてもらっていいのです。トイレに行って、シャワーを浴びて、ストレスができるだけ少なくなるよう配慮してさしあげましょう。「入院」というよりは「健康監視」なのですから。

3.ICU患者

上と同じ理由で聴診器を使うのはやめましょう。挿管時もカプノメーターや画像でチェックできますから。お腹の音が聞こえないとか、色々あるとは思いますが、ICU患者は聴診器なしでもそれなりに管理できますし、特に「呼吸不全」が前面にでる特殊なコロナ感染者ではそうでしょう。繰り返しますが、PPEの弱点理解は大事で、それは首と耳周りです。  患者が増えたらゾーニングをどうするかよく考えます。個室でなくても「すべてコロナ」という体制にすればゾーニングで対応できます。が、エアロゾルが発生しやすいICUではゾーニングだけでは不十分です。よって、一般病棟と異なり、オープンな向かいのナースステーションをグリーンにするのは困難かもしれません。そういう場合は別室のカンファルームとかをナースステーション化するなど「非日常」体制にする必要も生じます。  上と同じ理由で異なる複数の患者をケアするときにPPEの着脱は不要です。いや、しないほうがベターです。コロナ感染者の多くは呼吸不全こそ著明ですが、他のICU患者と異なり、繰り返すデブリや血圧管理などは不要な患者が多いです。看護の省力化、治療の省力化は大事で、普段のICU患者に比べればベッドサイドに行かなくてよい場合も増えるでしょう。○対○看護体制とかもそういう視点で見直し、マンパワーの効率化も図りましょう。

4.サステイナビリティ(医療の維持)

この問題は長期化します、おそらく。よって、短距離ダッシュではなく、長距離走で走り抜く姿勢が大事です。  マンパワーの維持は難しいです。特に今は「風邪を引いたら絶対に休む」ことが医療者に求められているからです。子供も学校行けなかったりするし。よって、少ない人数でも維持できる医療ケア体制が必要です。マンパワーの充足も全国的問題であるコロナでは困難で、足し算ではなく引き算の発想が必要です。  普段の医療で省略できることはすべて省略しましょう。今あるべきは「体制の維持」であり、完全な医療の提供ではないのですから。完全にやって、途中で倒れてしまう、が最悪のシナリオです。70点、60点程度で良いので、ずっと続けられることをやりましょう。  疲れると判断ミスが起きます。ミスをすると、そのリカバリーのために膨大な業務が増えます。負の連鎖です。これを回避するため、睡眠、栄養、休養、運動はしっかりと。  カンファレンス、勉強会、会議(特に「連絡」会議)は感染リスクなのでできるだけなくしましょう。なくしても実は困らない会議のなんと多いことか。ここが最大の時間の作り場所です。会議をするときは窓を開けて、椅子と椅子の間を開けて、できるだけ短時間でやりましょう。議論がグダグダになりそうなときは議長が上手に棚上げして、もう一度頭を冷やしてメールか何かで議論継続しましょう。   他にご質問などあれば、ぜひどうぞ。

 

平成南町クリニックでのインフルエンザ迅速検査中止のお知らせ

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インフルエンザ迅速検査行う際において、新型コロナウイルス感染症の可能性もある現時点では二次感染のリスクがあるため、当院では当面の間インフルエンザ迅速検査を中止し、臨床診断にて必要時の治療薬処方をいたします。
これは、3月11日の日本医師会からの通達による対応となります。

患者の皆様には ご理解いただけますようお願い致します。

☎086-434-1122

平成南町クリニック