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血管炎

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なかなか治らない指先のごく小さな皮膚潰瘍の方がおられましたが、膠原病内科でクリオグロブリン血症性血管炎あるいは強皮症(膠原病の一種)の疑いと診断されました。
一般的な内臓疾患に比べ血管炎やまれな膠原病の診断名を思いつくのは難しいです。
2月14日に第3回倉敷リウマチフォーラムで倉敷中央病院の内分泌代謝・リウマチ内科の西村啓佑先生の「不明熱に潜むリウマチ・膠原病疾患」の講演会がありました。急速に肺病変が進行して致死的になる膠原病(抗MDA5抗体陽性の無筋症性皮膚筋炎)や失明などの重大な状態になってしまう血管炎(巨細胞性動脈炎)などの注意すべき疾患の解説を分かりやすくして頂きました。結核症などの感染症に伴う血管炎や筋炎もあるとのことで血管炎・膠原病を疑っても感染症による病変の除外が必要である事を強調されていました。
血管炎や膠原病は皮膚症状を含む多彩な症状や所見が見られますが、発熱や風邪様症状のみが続いていて典型的な症状が揃わない時期に疑うのは、経験がないとなかなか困難と思われます。逆に様々な症状・所見が多く有り過ぎて多種類の疾患を考えてしまうこともあります。最近では膠原病に特異的な自己抗体の検査ができるようになっていますが、それらが陽性になる疾患を知っていてその疾患を思い浮かべることが出来なければ役立ちません。
日々の診療の中で、原因のはっきりしない発熱や風邪様症状が続く方の診断がつかないまま本当の原因を見逃している可能性もあります。一般内科では血管炎の患者さんや頻度の少ない膠原病の患者さんに出会う事が稀なので、講演会や症例集などで多くの疑似体験を得たく思っています。

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犬・猫に咬まれた傷

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今年は戌年ですね。「戌」の意味は植物などが枯れて休息をとる時期を表し、命を繋ぐ縁起の良い年を意味しているそうです。方角や時刻を意味する「戌」の読みがイヌなので、同じ読みの犬を宛てて「犬年」とすることも多いですね。さて、犬と言えば我が家では5歳の柴犬を飼っていて毎日癒されて暮らしています。しかし、柴犬に咬まれてしまう事例が、夏井 睦先生が主催されているサイトの「新しい創傷治療」の治療症例として度々登場しています。犬や猫に咬まれた時の傷の手当てについて夏井先生が工夫されている方法を以下に紹介します。

咬傷の傷口は普通小さく奥が深い傾向があります。犬や猫(ヒトもそうですが)の口の中には雑菌が多くいて、咬まれた傷は必ずそれらの菌で汚染されています。傷口が塞がってしまうと傷内部で菌の繁殖が進み治りにくい感染を成立させてしまいます。場合によっては血液中に菌が侵入して命を失うこともあります。

治療の原則は傷の中の浸出液を外へ出してしまうことです。洗浄し縫合して抗生物質で感染予防をしたくなりますが、適切な方法ではありません。傷口を閉じないようにし、且つ中の液体を外に出す(ドレナージと言います)ようにする必要があります。

傷の中に異物(ゴミやかけら)があれば取り出し洗浄(水道水で十分です)します。そして縫合用のナイロン糸を2本~数本束ねて折り曲げ「Uの字」の下の方を傷の中に入れます。糸の両端がほつれない様にテープで束ねておき、傷口の近くで糸の束を皮膚に貼り付けます。この時に絆創膏などで直接貼り付けると糸が抜けてしまう事が多いので、次の方法で貼り付けます。まず傷口のすぐ近くに、1×2cm位の大きさに切ったハイドロコロイド包帯を貼り付けます。そして糸の束をもう一枚のハイドロコロイド包帯で挟むように貼り付けます。こうすると1週間以上糸は抜けずに固定できます。もっともこのナイロン糸ドレナージを必要とするのは3日~数日間です。炎症が治まって感染徴候(腫れ・発赤・痛み)が無ければ糸を抜き取ります。ガーゼをリボン状にしたものを傷内に入れておくドレナージ方法もありますが、傷口部分が乾いて蓋になっている場合が多いので不適切です。傷口は浸出液を吸い取りかつ傷に固着しない被覆材(プラスモイストなど)で密封しないように被います。

この間、できれば抗生剤を内服します。どのような抗生剤を使用するかは、侵入したであろう菌の種類を考えて決めますが、咬傷の場合は嫌気性菌にも効果のあるラクタマーゼ阻害剤とペニシリン剤の合剤を使用することが多いです。免疫低下があると考えられる受傷者にはマクロライド系抗生剤を併用することもあります。

咬傷で問題とすべき細菌は以下のものがあります。

○コリネバクテリウム・ウルセランス  猫が多い 犬もある ジフテリアに近似(ジフテリア菌=コリネバクテリウム・ジフテリア) 抗菌薬→マクロライド系(エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン)、アミノベンジルペニシリン(つい最近の報道:屋外で野良猫に餌を与えていた60代女性で救急搬送3日後に死亡)

○パスツレラ・マルトシーダ  猫に多い 犬もある 抗菌薬→オーグメンチン(臨床検討例:70代女性。入院2日前に下腿打撲部を犬が舐めた。1日前に発熱・打撲部色調変化・水疱。入院翌日死亡)

○パスツレラ・カニス 犬に多い 抗菌薬→オーグメンチン

○エイケレナ・コロデンス ヒトに多い  抗菌薬→オーグメンチン

○バルトネラ・ヘンゼレ  猫に多い 猫ひっかき病の原因菌のひとつ  抗菌薬→アジスロマイシン

○カプノサイトファーガ・カニモルサス 犬・猫  「昨日元気で今日ショック」の場合の病原体の1つ 抗菌薬→オーグメンチン

○他のカプノサイトファーガ属菌 6種 内5種はヒト口腔内に存在 抗菌薬→オーグメンチン

 

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インフルエンザでないなら、その発熱の原因は?

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インフルエンザ流行の季節になりました。インフルエンザウイルス感染の有無は臨床所見(咽頭後壁のイクラ状リンパ濾胞が特徴的)とインフルエンザウイルス抗原迅速検査で判断しますが、発熱があるのにどちらも陰性の場合には、見逃してはいけない原因がないかどうか苦慮します。

発熱疾患は多岐にわたります。発熱と症状の経過で、感染症か非感染症かを完全には困難ですが区別します。38℃以上の高熱の時は比較的徐脈※がないかどうか確認します。感染症と考えるならSTSTA※※評価して病原体が何か、細菌性か真菌かウイルス・原虫かを推定します。
皮膚病変あればウイルス性全身感染症や蜂窩織炎、頭痛が強ければ髄膜炎、前額部や頬部の痛みや叩打痛があれば急性副鼻腔炎、耳痛があれば中耳炎、喉の痛みが強ければ咽頭炎扁桃炎や喉頭蓋炎、胸痛あれば肺炎胸膜炎、腹痛あれば腹膜炎・胸膜炎や泌尿器婦人科疾患、排尿痛あれば尿路感染・前立腺炎など様々な状況を見て推定診断します。

感染症ではないと考えるなら、腫瘍や循環器疾患(心筋梗塞・肺塞栓、深部静脈血栓など)、外傷、膠原病や自己炎症性疾患などを考えますが、緊急性の高い疾患は外傷や循環器疾患です。
薬剤性の発熱も除外する必要があります。アレルギー、悪性症候群・セロトニン症候群、体温調節変調などが原因になります。薬剤熱は一般的に全身状態が良好ですが、悪寒・筋肉痛・頭痛などの感染症を思わせる症状を伴うことがあります。

高熱だけで他に自覚症状や身体所見がない場合は身体診察だけでは診断困難で、敗血症・感染性心内膜炎・悪性腫瘍熱などを区別しなければならず、所見がある場合よりも心配です。

高齢者の方の場合は、高熱だけの訴えで受診されても肺炎・腎盂腎炎や蜂窩織炎のことがあります。
インフルエンザ抗原迅速検査が陰性の時は、ではその発熱の原因は? と常に悩まなければなりません。

※比較的徐脈
通常、体温が1度上昇するごとに1分間の脈拍数は8~10増加しますが、38℃以上の発熱にもかかわらず 脈拍増加8以下の時に「比較的徐脈」と考えます。薬剤熱や中枢神経疾患のことが多く、感染症ではレジオネラ症、クミドフィラ症(クラミジア症)、チフス(渡航歴なくてもありうる)、ブルセラ症、髄膜炎菌感染などを考えます。逆に体温1度上昇ごとの脈拍数増加が20以上あれば細菌感染症を強く疑います。平常時の脈拍数を知っておく必要があります。2度以上の房室ブロックのある人やβ遮断薬・カルシウム拮抗薬(降圧薬・狭心症薬)を服用している人には当てはまりません。

※※STSTA 感染源のチェックリストです。病気(感染症)の人との接触、結核患者さんとの接触、性的接触、旅行歴、動物接触 の代表的5項目です。

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胃酸抑制の功罪

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「胃薬を飲んでいるのに食欲がない・食べられない」と訴えられる方が少なからずおられます。その胃薬が実は胃酸分泌を強力に抑制するPPIプロトンポンプ阻害薬のことがあり、中止すると食欲が戻ることが多いです。
胃粘膜には3種類の細胞があります。①壁細胞 胃酸分泌(強酸→細菌死滅・蛋白質が変性し分解され易くなる) ②主細胞 ペプシノーゲン分泌(胃酸で活性型のペプシンに変化して蛋白質を分解する)③G細胞 ガストリン分泌(主細胞のペプシノーゲン分泌を促進、壁細胞の胃酸分泌を促進)
胃酸の分泌過剰や食道への逆流によって胃潰瘍・十二指腸潰瘍や逆流性食道炎がおこることがあり、治療として胃酸分泌抑制薬が使用されます。
胃酸分泌のシグナルに、ヒスタミン、アセチルコリン、ガストリンがあります。これらの刺激を受けて壁細胞のプロトンポンプが働き、分泌管内に水素イオン(H+)が分泌されカリウムイオンK+が取り込まれます。そして他の経路で分泌されたクロールイオンCl-と結合して塩酸HClになります。胃酸とは塩酸のことです。
胃酸分泌を抑制する目的の薬剤には、H2ブロッカーとPPI(プロトンポンプ阻害薬)の2種類があります。
H2ブロッカーはヒスタミン刺激を阻害します。PPI(プロトンポンプ阻害薬)は壁細胞のプロトンポンプ輸送体の働きを阻害してヒスタミン以外の刺激による胃酸分泌も抑制します。そして、酸で活性化するプロドラッグ型のもの(血中濃度が最高レベルに達して効果が出るまで3~4日必要)と、酸による活性化を必要としないカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB:すぐに効果発現するのでオンデマンド療法に適している)に分けられます。前者の中の一つのラベプラゾールは酵素CYP2C19による代謝関与が少なく効果発現に遺伝的な差が出にくいですが、それ以外のものは、酵素CYP2C19に代謝速度の異なる3種類の遺伝子多型があるので、人により効果が異なります。(迅速代謝型:35%の人が相当しPPIの効果が出にくい、中間代謝型;50%の人、乏代謝型:15%の人 の3パターン) 後者のP-CAB(ボノプラザンフマル酸塩:強塩基性)は、主に酵素CYP3A4で代謝されるため効果の遺伝的な差は少ないです。
これらの薬剤による胃酸抑制で消化管潰瘍や逆流性食道炎は改善することが多いのですが、本来胃酸は必要があって存在しているのですから、それを抑え続けると望ましくない状況が出てきます。
胃酸抑制の結果、消化不良や下痢をおこしえます。ジギタリス、テトラサイクリン、キノロン、フェニトインなどの薬剤や鉄、マグネシウム、ビタミンB12などの栄養素の吸収を低下させます。
PPIについては下記のような副作用が報告されています。
小腸炎症の増強(胃酸の殺菌効果を抑制するので腸内細菌叢が変化する) カンピロバクター感染症発症リスク上昇、Clostridium difficile感染症(偽膜性腸炎)発症リスク上昇、膠原線維性大腸炎、劇症肝炎、肝障害、腹水を有する肝硬変患者での特発性細菌性腹膜炎のリスク上昇、市中肺炎発症リスク上昇、低Na血症、アナフィラキシー、血小板減少、溶血性貧血、横紋筋融解症、視力障害、血管浮腫、慢性腎不全発症リスク上昇、骨折リスク上昇、認知症発症リスク上昇、死亡リスク上昇(30日使用では差はないが1~2年長期使用ではH2ブロッカーと比較して死亡率50%上昇) P-CABは従来のPPI以上に胃酸を抑制するので、より注意が必要です。
胃酸抑制がどうしても必要な状況が続けば治療継続ですが、上記のことを知っておいて使用し、できれば減量や中止する方が安心・安全です。

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腎性貧血

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「NHKスペシャル 人体-神秘の巨大ネットワーク第1集“腎臓“が寿命を決める」が放映されました。

腎臓の持つ様々な機能についてCGを用いて作られていました。赤血球産生にかかわるエポ(エリスロポエチン)、血圧調節にかかわるレニン(傍糸球体細胞が分泌)、電解質調節―特にリン濃度調節などについて語られています。腎臓は全身臓器のネットワークの要であるので、腎臓機能が寿命を決め、腎臓を守ることで生命を救うというメッセージでした。腎機能指標の一つに糸球体濾過量GFRがあります。通常は血液中のクレアチニン濃度から計算するeGFRを用います。このeGFRが60mL/分未満の状態を慢性腎臓病として捉え注意を喚起することが重要とされています。年齢と共にGFRは低下することが多く、当院を受診される慢性腎臓病の方も多くおられます。そして腎性貧血の方も次第に多く経験するようになりました。

腎性貧血は糸球体濾過量GFR60mL/分 未満でその頻度が有意に増加すると言われています。鉄剤の補給では貧血が改善しません。腎性貧血の原因は多くありますが代表的なものがエリスロポエチン不足です。

慢性腎不全になると腎臓の尿細管間質細胞(京都大学腎臓内科学教室の研究によれば尿細管の間質を形成する神経堤由来の線維芽細胞)で産生されるエリスロポエチンが十分に分泌されなくなり造血障害を起こします。(赤芽球系前駆細胞の増殖・分化が抑制されて前赤芽球が増加しなくなります)

エリスロポエチンの血漿中濃度は貧血の進行(ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少)に伴い上昇します。貧血がない時は4.2(7.4)~23.7(29.8)mIU/mLであり殆どは10mIU/mL以下ですが、ヘマトクリット30%の貧血では100mIU/mL程度に上昇すると言われています。貧血にも拘らずエリスロポエチン濃度が正常範囲の時には、エリスロポエチンの相対的不足があると考えられます。但し、腎性貧血の原因はエリスロポエチンの不足以外に、赤血球寿命の短縮・骨髄赤血球造血の抑制・鉄代謝障害・造血に必要な栄養素(亜鉛、銅、ビタミンB12 葉酸など)の不足などがありますので、それらの除外も必要です。

エリスロポエチン不足はエリスロポエチン製剤の皮下注射で治療します。最近は血中半減期の長い製剤を使用することが多く、2週間ないし1ヶ月に1回の注射で維持できることが多いです。

改善するまでの投与量や改善してからの維持量は同等の腎機能低下でも個人差があります。おそらくエリスロポエチン不足以外の要因に左右されると思われます。また、治療による貧血改善と共に栄養素不足が生じてくることもありそれらの補充が必要となることもあります。

なんと言っても腎機能を低下させないような生活、注意が肝腎です。禁煙や高血圧・糖尿病の予防・適切なコントロールが重要です。また薬剤による腎機能低下も多くみられます。薬局で購入できる鎮痛薬でGFRが低下することもあります。必要な治療薬であっても腎機能の低下に応じて減薬や中止を考慮しなければなりません。冒頭のNHKスペシャルでも、腎疾患以外の治療でも腎機能に目を配り、腎障害が高度なのでそれまでの治療薬剤を一時中断して生命を救った事例の紹介がありました。

どのような治療を行う時でも腎機能に注意して薬剤の量や種類を考慮しなければと考えています。

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新事実 「炭水化物多いと死亡率高くなる」 

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1ランセット誌オンライン版2017/8/29に以下の研究結果が掲載されました。
カナダ・マックマスター大学Mahshid Dehghan氏調査
18か国 13万5千人以上 5.3年~9.3年(中央値7.4年) 追跡調査
結論
炭水化物摂取量が多いほど全死亡リスクが上昇する
脂質は総脂質および脂質種類別にみても摂取量が多いほど全死亡リスクは低下する
総脂質・脂質種類別の摂取量は、心血管疾患、心筋梗塞、心血管疾患死と関連しない
飽和脂質摂取量が多いほど脳卒中のリスクが少なかった

これを踏まえて正しい栄養指導を行うことが重要です。
江部医師の指摘する「栄養士の7つの誤解」を要約します。
1) 脳はブドウ糖しか使えない 糖質不足で体調不良になる
正しくは→脳はケトン体も使う  糖質制限時の体調不良はカロリー不足が原因

2) 脂肪は悪玉であり避けるべきである。脂質の摂りすぎで肥満になる。
正しくは→太りすぎの原因は糖質摂りすぎによる余剰血糖が中性脂肪に変換するから

3) 卵は1日1個までにし、多く食べてはいけない。
正しくは→コレステロール摂取制限は撤廃され1日に食べる卵の個数に制限はない

4) 糖質は人間にとって必須栄養素である。
正しくは→赤血球はブドウ糖のみをエネルギー源とするが、アミノ酸や乳酸などからブドウ糖を作り出すので糖質は必須ではない(一部の代謝障害で困難なことがある)

5) 糖質だけ減らしてもあまり意味がなく蛋白質や脂質でも血糖値が上がる。
正しくは→直接血糖値を上げるのは糖質のみ

6) 蛋白質を摂りすぎると腎臓に悪影響がある。
正しくは→腎機能正常者での蛋白質摂取上限なし。腎機能低下者でも低蛋白食で腎機能改善効果・悪化防止効果はない。

7) 日本の栄養学は科学的に正しい。
正しくは→古い常識を信じて疑わないので正しくない食事指導が続いている

以上 ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」とブログ「新しい創傷治療」 から抜粋しました。
栄養指導の問題点は、私も同感です。

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高アンモニア血症

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糖質制限食は高血糖を防ぐのみでなく様々なメリットがありますが、高蛋白食になる場合が多いので注意も必要です。肉などの高蛋白質食品を摂った後で、頭痛・嘔気・だるさや軽度の意識障害などの体調不良が繰り返し起こる時には、稀な疾患ですが尿素サイクル異常症も考えられます。蛋白質代謝産物であるアンモニアが尿素に変換されずに高アンモニア血症になっているかもしれないのです。先天的な酵素障害が原因ですが、成人になるまで症状が出ないこともあるようです。大多数の人にとっては、蛋白質を多く摂ることは望ましい状況であり、糖質の摂り過ぎで食後のだるさや頭痛が起こることが多いのですが、そうでない事もあると知っておきましょう。

高アンモニア血症の原因として最も多いのは肝臓障害ですが、非肝臓性として上述の尿素サイクル異常症の他に、ウレアーゼ産生菌による尿路感染症や薬剤の影響があります。各種てんかん・躁状態の治療や片頭痛の予防に使われるバルプロ酸ナトリウム(デパケンなど)では、約半数に無症候性の高アンモニア血症が起こっているとの指摘もあります。肝性脳症などを考えた時には測定するアンモニア濃度ですが、測定対象を広げた方が良さそうです。なお、アンモニア測定時には、アンモニア濃度に影響する食後や運動後を避けてアンモニア専用容器に採血し採血後すぐに上清を分離しなければなりません。

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食後の眠気について

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寝苦しい熱帯夜で睡眠不足になり易いこの頃です。それにしても食べた後にはよく眠くなりますね 特に昼食後に眠くなる人は多いのではないでしょうか。どうしてでしょうか
生化学(デブリン生化学 7版p900)の本には次のように説明してあるそうです
(ブログ ドクター江部の糖尿病徒然日記2017/7/14)
糖質(炭水化物)摂取で血糖値上昇するのでインスリンが分泌(糖質量多ければインスリンもより多量分泌)され、インスリンの作用でアミノ酸が骨格筋へ取り込まれ蛋白質合成が促進され血中アミノ酸濃度が低下する。しかし、トリプトファン(アミノ酸の一種)だけは骨格筋へ取り込まれないので血液中のトリプトファン濃度が相対的に上昇する。その後次のような連鎖で眠気が出てくる。血液脳関門を通過するトリプトファン増加→脳内トリプトファン量増加→セロトニン増加→メラトニン増加→眠気出現
食後だから眠くなるのではなく、糖質を摂ってインスリン分泌が増えるから眠くなる理屈です。
糖質制限食だと眠気が少なくなるので、あるタクシー会社では勤務中の運転手の食事を糖質制限食にして眠気による事故を予防しているそうです。職業ドライバーに限らず一般のドライバーでも運転前の食事は糖質制限食が望まれます。また、江部ドクターによれば、血糖値の変動が少ないと心理的に安定するので、安全運転につながります。
昼食後に眠くて仕方がない人は、昼食を糖質制限食にしてみましょう。

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亜鉛欠乏症の薬「ノベルジン」

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これまで亜鉛欠乏症(低亜鉛血症)に対する保険適応の薬はなく、亜鉛を含む胃潰瘍の薬を使わざるをえませんでした。本年3月に「ノベルジン」が低亜鉛血症の適応となりました。ノベルジンは、銅の排泄障害で起こる先天性銅過剰症のウィルソン病(肝レンズ核変性症)の治療薬としてのみ認められていました。

亜鉛Znが不足すると味覚障害・皮膚炎・脱毛・口内炎・性腺機能障害などがおこります。小球性~正球性貧血や亜鉛欠乏性溶血(赤血球膜が脆くなり、ランニング中の足底圧力や人工透析による機械的な溶血性貧血)が起こることがあります。

ノベルジンを低亜鉛血症に用いる場合には、食事等による亜鉛摂取で十分な効果が期待できない場合に使用することとなっています。服用量は体重30kg未満の小児では、開始量25mg1日1回、最大量25mg1日3回。それ以外の場合は、開始時25~50mg1日2回、最大量50mg3回です。

タンニンや多量の食物繊維を摂ると亜鉛・鉄・銅などの吸収が低下します。また、薬剤によっては亜鉛過剰排泄をおこすものがあり、多量の汗・尿による過剰排泄もあります。このような事がなければ、亜鉛欠乏を起こすことは稀とされていますが、亜鉛を含む食品の摂取が非常に少なければ亜鉛欠乏になるかもしれません。

亜鉛を多く含む食品は以下のものがあります。( )内は1回の通常摂取量での亜鉛mgです。

牡蠣60g(7.9mg)、豚レバー70g(4.8mg)、牛ロース70g(3.9mg)、鶏レバー70g(2.3mg)、ほたて貝60g(1.6mg)など。

逆に、サプリメントなどで亜鉛を過剰摂取すると、亜鉛と銅の吸収輸送体が共通なので銅の吸収が少なくなり銅欠乏が生じることがあります。銅が不足すると、正~大球性低色素性貧血や亜急性連合性脊髄変性症になりえます。これはビタミンB12欠乏と同じ症状・所見です。

亜鉛の1日必要量は、男性10mg・女性8mg(妊娠中10mg、授乳中11mg)なので摂り過ぎにも注意しましょう。亜鉛欠乏がない場合、1日40~45mg以上は摂り過ぎです。

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糖尿病性網膜症

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世界的な眼科外科医の深作秀春医師の著書「視力を失わない生き方」光文社新書(2016年12月20日初版)の253頁に、糖尿病性網膜症についてこう説明してあります。

糖尿病の人は網膜の微小血管が詰まり、破けて眼底出血します。出血による酸素不足を補うためや組織修復のために、血管新生因子が出て新生血管が生えてきますが、これがまた、もろくて破けやすいのです。そして、眼底出血や硝子体出血を繰り返し、さらに進行すると、出血での炎症反応から眼球内に線維組織の増殖が進み、最終的にはこの増殖膜の牽引で、網膜が破けたり剥がれたりして、網膜剥離で失明します。

本書には糖尿病性網膜症の予防や治療について詳しく述べてありますので、糖尿病の方は是非読まれることをお勧めします。

著者の深作秀春先生が、ブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」に寄せられた文章を転載いたします。

【17/01/21 深作秀春    糖質制限への糖尿病学会の無理解 今日、1月21日での横浜パシフィコ開催の日本糖尿病学会で、「過度な糖質制限食で起こしたケトアシドーシス」なる表題の発表がありました。 演者はケトン体値が高いというだけで、とんでもない悪さで重体と結論つけているのです。アシドーシスの方の検査値は出ていません。   私は眼科外科医ですが、糖尿病性網膜症を多く診ることもあり、糖尿病学会の会員でもあります。 今までの経験から、糖尿病専門医による治療が開始すると、糖尿病性網膜症が悪化することが多くて困り果てていました。 この経験をもって、江部先生の糖質制限食を患者に進めることができるようになってから、非常に安定した糖尿病性網膜症の治療ができるようになっています。さらに、宗田先生のケトン体の安全性とエネルギーとしての有効性は、患者だけでなく、自分自身を被験者にして実感してきています。   このような状況ですのに、地元横浜で行われた糖尿病学会では相変わらず、極端な糖質制限はケトアシドーシスを起こすので危険だ、と決めつけているのです。しかも、ケトン体値が高い事がイコールでケトアシドーシスと言っているのです。つまり、医学の基本を捻じ曲げているのです。

高ケトン値はケトアシドーシスとは別物ですが、医学部時代に刷りこまれたケトン体悪玉説に何の疑問も持たないで、科学としての医学の面を無視しているのです。   糖質制限を勧める眼科医の立場ですが、最近はますます従来の糖尿病治療で悪化して、糖尿病性網膜症が末期となり、網膜剥離を合併する患者の来院が、日本中から増えました。手術には難渋しますが、網膜復位手術後の網膜の安定化には、糖質制限が非常に有効であることを実感しております。】 以上転載終わり。

HbA1c高値の糖尿病を従来の治療法(インスリンやSU剤で血糖値をコントロールする)で開始して、血糖値が急速に改善すると、網膜症が新たに発症することや、悪化することがあります。悪化必発と言われる眼科の先生もおられます。それ故、糖尿病性網膜症がある場合はHbA1cを1ヶ月0.5~1%ずつゆっくりと下げるべきと習いました。

しかし、インスリン必要量を減らす糖質制限で高血糖が改善すれば、HbA1cの降下が速くても基本的に網膜症は悪化しないのです。ケトーシスそのものは危険ではない事も含めて、過去の常識に捉われずに、事実を真実として見つめましょう。

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