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2020年に流行が懸念される感染症

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7月13日に倉敷中央病院で、国立国際医療研究センター・国際感染症センターの忽那賢志(くつな さとし)先生の「2020年に向けたグローバル時代の感染対策」という教育講演がありました。日本から海外への1年間の観光客数は過去20年間1800万人弱で不変だが、海外から日本を訪れる観光客は最近5年で急増し2017年には年間2900万人弱になっている。人の移動が増えて海外からの感染症が日本に持ち込まれることが多くなっているとのことです。
注意すべき新興感染症について概説がありました。そして2020年東京オリンピック(7月24日開幕~8月9日閉会)に流行が懸念される感染症として、
蚊が媒介する感染症:デング熱 チクングニア熱 ジカ熱など、髄膜炎菌感染症、麻疹・風疹・おたふくかぜ・水痘、インフルエンザ(熱帯・亜熱帯地域からの持ち込み)、感染性腸炎(ノロウイルス、サルモネラ、病原性大腸菌O157)が挙げられるとのことです。他に注意すべき新興感染症としては、
結核 MERS(中東呼吸器症候群) SFTS 鳥インフルエンザ スーパー耐性菌による感染症(海外での入院治療歴でリスク増大)が紹介されました。
海外との往来で新興感染症に遭遇する機会は増えており、特定の医療機関以外でも新興感染症を診る可能性があり、第一線の診療所でも海外渡航歴は医師が確認すべき事柄であり患者さんからの申し出を待っていてはいけないと注意されました。
いつも感じていることですが、介護施設など集団生活の場では集団感染を防ぐため、発端になる人の発見に留意しなければならないと肝に銘じています。講演会で挙げられた疾患のうち、日常的に可能性の高い集団感染に結核症があります。
常々疑問に思っている「結核を否定するのにどの程度の検査をすればよいか」を質問しました。忽那先生の回答は、「診断と感染対策に分けて考える。 診断については完全に否定することは非常に困難。感染対策については個室管理 N95マスクが基本」というものでした。 結核を一応否定する最低限の検査項目・回数について尋ねましたが、単純明解な回答はありませんでした。
結核に関する検査の内容・頻度と結核症を否定できる可能性の割合についての研究論文を調べてみなければならないと感じました。

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ロコモティブシンドローム到来を遅らせるぞ!

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6月16日に宮島弥山の頂上(標高535m)まで行って来ました。登りましたと言いたいのですが途中まではロープウェイなので「行って来ました。」です。ロープウェイの終点獅子岩駅(標高433m)から一旦山を下りそれから上がって行くので140mを登ったことになります。それでも途中で何度か息が切れました。
山頂手前の「消えずの霊火堂」で家内安全を祈願し、「くぐり岩」を通り山頂に到着しました。山頂には巨石群があります。展望台から四方360度の視界が開けています。鹿はいませんでしたが人に慣れた烏が来訪者からの食べ物を狙って近寄って来ます。

しばらく休憩してから、下りは徒歩のみで厳島神社まで「下山」しました。段差の大きな石段が続く坂道が殆どで、かなり足に負担がかかりました。つま先が小さな石や木の根に何度となく引っ掛かりそうになり、足を引きずるような歩き方になっていたと反省しています。
宮島へは幼稚園の頃から遠足などでよく訪れていましたが、弥山山頂まで行ったのは初めてです。天候に恵まれ幸運でした。
本年秋に古希を迎えますので来年の夏には富士山の山頂を目指す計画です。学生時代に8合目まで登りましたが、下から吹き上げる激しい風雨となり山頂を断念した経緯があります。
それにしても加齢による足腰の衰えを自覚するようになりトレーニングの必要性を痛感しています。私の祖父は105歳まで生き、102歳ころまで独りで出歩いていました。

その祖父は70歳を契機に独自の柔軟体操(今で言うストレッチ)を始めていました。「晴耕雨読」をモットーに植林地の枝払いなど山を歩き回っていたのを覚えています。祖父を見習い私もストレッチ・筋肉トレーニングを行い、ロコモティブシンドロームになるのを避けることは不可能でしょうが、できるだけ遅くなるよう心がけたいと思っています。

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湿布剤による光線過敏症  市販薬にも注意!

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5月なのに真夏日になった日もあります。紫外線がますます増えてきていますので光線過敏症に過敏にならざるを得ません。2016年6月17日の本ブログで薬剤部からの「湿布の適正使用」でも記載されていますが、湿布剤での光線過敏症についてまとめてみます。湿布剤によるものは外因性光線過敏症のうち光アレルギー性皮膚炎に分類されます。ケトプロフェン以外にジクロフェナクを含む湿布剤にも光線過敏症の注意が記載されており、どちらも市販薬があり要注意です。

ケトプロフェン・ジクロフェナク(非ステロイド性消炎鎮痛剤の1種)含有湿布剤の 添付書(薬会社の薬説明書)や市販薬使用上の注意 の記載事項
《禁忌(使用してはいけない人・状況)》①本剤への過敏症の既往のある患者 ②アスピリン喘息またはその既往のある患者 ③以下の薬剤や成分を含む製品に過敏症の既往のある患者 ★チアプロフェン酸(内服薬 光線過敏症起こしうる) ★スプロフェン(チアプロフェン酸の異性体):外用塗布剤(軟膏・クリーム剤) ★フェノフィブラート:高脂血症治療薬 ★オキシベンゾン:日焼け止め剤や化粧品に含有 光線過敏症・発癌性環境ホルモン作用のリスクあり ★オクトクレリン:耐水性日焼け止め製品に含有 ケトプロフェン併用で光線過敏症のリスク増加 ④光線過敏症の既往歴のある患者 ⑤妊娠後期の女性
《注意》 重篤な接触皮膚炎・光線過敏症が発現することがある 重度の全身性発疹に進展する例の報告がある 損傷部位に使用しない
《副作用》 光線過敏症:使用後数日から数か月を経過してから発現することがある

湿布剤を使用してから数か月後に皮膚炎を発症することがあるので、夏になり半袖・半ズボンで直接日光を浴びて気付くこともあります。処方する際に注意点を説明はしていますが、毎回は説明していないかもしれません。市販薬にも光線過敏症の頻度が高い湿布薬がありますので、成分表や使用上の注意(いずれも小さい字で書かれています)をよく見るようにしましょう。

平成南町クリニック  玉田

《補足》 外因性光線過敏症の分類
光毒性皮膚炎(日焼け症状)  初回曝露でも発症(アレルギー無関係)
ソラレン コールタール サイアザイド薬 テトラサイクリン
光アレルギー性皮膚炎(紅斑・水疱) 初回曝露では発症しない 全身に発症する可能性がある
貼付剤・外用薬(光アレルギー性接触皮膚炎) ケトプロフェンは頻度多い  ジクロフェナク
内服薬 クロルプロマジン サイアザイド薬 テトラサイクリン シプロフロキサシン その他多種あり

模倣の名人 Great Imitator

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出席はできませんでしたが本年3月3日の岡山胸部疾患研究会講演会のテーマは「結核」と「肺癌」でした。
岡山県医師会報 平成30年4月10日発行1475号に要旨が載せてあります。岡山県保健福祉部健康推進課 感染症対策班の佐藤友季氏の情報提供の要約は以下のとおりです。
岡山県で平成28年度に新たに結核症として登録された患者数は208人で人口10万人あたり10.9(結核罹患率)であり、全国の13.9より少なく、また全国と同じく減少傾向にある。岡山県の結核患者は70歳以上の高齢者が約7割(全国は6割)で、次のような理由で6人に1人の割合で受診や診断の遅れがある。
(注釈:症状出現から受診・診断を経て結核登録までが3ヶ月以上を遅れとする)
高齢者結核の特徴:咳などの典型的な結核の症状が少ない、合併症が多く症状が複雑、空洞形成割合が少なくなど画像が非典型的、認知症・寝たきりなどで症状を訴えられない
かかりつけ医を受診される高齢者の結核早期発見のために、症状がなくても年1回は胸部X線写真検査を(患者さんに)勧めて頂きたい。
岡山県として結核医療相談・技術支援センターを南岡山医療センターと岡山県健康づくり財団附属病院に委託設置しているので積極的に活用して頂きたい。(引用終わり)

当院では、ピースガーデン倉敷特養に入所されている方やグランドガーデン南町に入居されていて当院を受診されている方に年1回は胸部写真を撮影しています。また住民検診や人間ドックなどを受けておられない高齢の受診者の皆様にも症状はなくても年1回の胸部写真をお勧めしています。咳が1ヶ月以上長く続いていた方には肺結核症を除外するために胸部写真を撮っています。
私たち医師としましては、診断の遅れ(受診から結核登録までが1ヶ月以上)をなくすために常に「結核」を疑うことが必要です。結核は「模倣の名人」と呼ばれるように、リウマチやSLEなどの自己免疫疾患やベーチェット病などの自己炎症性疾患の症状・所見を示したり、また一般の細菌性肺炎の画像所見だったりすることがあるので常に疑っておかないと診断ができません。開放性肺結核の診断が遅れると集団生活の場や医療・福祉施設では集団感染となってしまうので細心の注意が必要です。
補足:肺結核や喉頭結核は、空気感染(気流にのり長時間浮遊する飛沫核に含まれる病原体による感染)をおこす疾患です。空気感染を起こす疾患には麻疹(はしか)、水痘(水疱瘡)、播種性帯状疱疹のウイルス感染症もあります。本年3月下旬に確認された沖縄での麻疹が拡大しており、さらに他県への拡大が懸念されています。

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感染予防抗体価

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4月に医療関連の学校や大学校・大学に入学される方々が、麻疹や風疹ワクチン接種のために当院を受診されています。医療機関での実習や研修の予定がある場合、感染予防できる抗体量を持っている必要があります。一般的には発症予防に充分な抗体価(抗体価陽性)があれば良いです。しかし医療関係者は各自が麻疹などを発症してなくても、ウイルスに感染してしまうと患者さんや利用者さんに麻疹などを感染させてしまう危険性が生じます。そこで感染予防に必要な抗体量(発症予防の抗体量よりも多い)を持っていることが望まれます。
2014年9月に「医療関係者のためのワクチンガイドライン第2版」が日本環境感染学会から出されました。
対象となるウイルスは、B型肝炎・麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘の各ウイルスです。
B型肝炎ウイルスについては、患者さんに接触したり血液や体液に接触する可能性がある場合を除いて特に注意書きのない教育機関が多いようです。
麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘の各ウイルスについては図1のフローチャートに基づいて免疫状態証明書の提出を求めています。感染予防に必要な抗体価は「基準を満たす抗体価」で示されています。(表1)
これらの疾患に罹ったことがあると終生免疫が生じると考えられていましたが、実際には抗体価は時間と共に低下していくことが判っています。終生免疫があると思われていたのは、実は時々ウイルスに曝露されて抗体価が再上昇していたからなのです。疾患自体が殆ど流行しなくなるとウイルス曝露がなくなり抗体価が維持されなくなる可能性は十分あります。まだまだ水痘や流行性耳下腺炎の流行はあります。風疹も地域的に流行は起こっています。麻疹はまだ根絶されてはいませんが流行はかなり減っています。
ワクチンを2回接種すれば感染防止抗体量ありと判定して抗体量測定は必須とされていませんが、実際に2回接種してもどうしても抗体陽性にならない人も存在します。また、陽性になっても数年以上経過すると抗体価は減少して、発症予防抗体価は維持できていても感染予防抗体価に達していない場合があることが判明してきています。「MRワクチン2回接種後(第2期、第3期)の血清抗体持続に関する検討  小児感染免疫 第29巻 No1、2017年」 本論文は6年後の検査結果の検討ですが、論文筆者はさらに長期間の検討を要すること、MRワクチンの3回目接種の検討も必要と結んでいます。
当院を受診された方の中に麻疹ワクチン2回接種後11年後でしたが、上記の内容を説明して麻疹抗体価を測定してみるようお勧めした方がおられます。抗体価は陽性でしたが基準に達していなかったので麻疹ワクチンを1回追加接種としました。ワクチン接種歴によらず全ての抗体価を検査するよう求めている医療関連教育機関もありました。
私見としましては、罹患歴やワクチン接種歴に関係なく抗体価を測定して、感染防止抗体価(基準を満たす抗体価)がない場合に、ワクチン接種歴に応じて追加ワクチンを1回ないし2回接種するのが合理的だと考えています。それらの費用は現在全て実習予定者本人負担ですが、実習生自身の発症を防ぐ目的以上に患者さんや利用者さんへの感染を防ぐことが第一の目的なのですから、教育機関が負担したり補助したりすべきではないでしょうか。

 

(図1)

(表1)

 

 

 

 

 

 

 

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血管炎

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なかなか治らない指先のごく小さな皮膚潰瘍の方がおられましたが、膠原病内科でクリオグロブリン血症性血管炎あるいは強皮症(膠原病の一種)の疑いと診断されました。
一般的な内臓疾患に比べ血管炎やまれな膠原病の診断名を思いつくのは難しいです。
2月14日に第3回倉敷リウマチフォーラムで倉敷中央病院の内分泌代謝・リウマチ内科の西村啓佑先生の「不明熱に潜むリウマチ・膠原病疾患」の講演会がありました。急速に肺病変が進行して致死的になる膠原病(抗MDA5抗体陽性の無筋症性皮膚筋炎)や失明などの重大な状態になってしまう血管炎(巨細胞性動脈炎)などの注意すべき疾患の解説を分かりやすくして頂きました。結核症などの感染症に伴う血管炎や筋炎もあるとのことで血管炎・膠原病を疑っても感染症による病変の除外が必要である事を強調されていました。
血管炎や膠原病は皮膚症状を含む多彩な症状や所見が見られますが、発熱や風邪様症状のみが続いていて典型的な症状が揃わない時期に疑うのは、経験がないとなかなか困難と思われます。逆に様々な症状・所見が多く有り過ぎて多種類の疾患を考えてしまうこともあります。最近では膠原病に特異的な自己抗体の検査ができるようになっていますが、それらが陽性になる疾患を知っていてその疾患を思い浮かべることが出来なければ役立ちません。
日々の診療の中で、原因のはっきりしない発熱や風邪様症状が続く方の診断がつかないまま本当の原因を見逃している可能性もあります。一般内科では血管炎の患者さんや頻度の少ない膠原病の患者さんに出会う事が稀なので、講演会や症例集などで多くの疑似体験を得たく思っています。

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犬・猫に咬まれた傷

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今年は戌年ですね。「戌」の意味は植物などが枯れて休息をとる時期を表し、命を繋ぐ縁起の良い年を意味しているそうです。方角や時刻を意味する「戌」の読みがイヌなので、同じ読みの犬を宛てて「犬年」とすることも多いですね。さて、犬と言えば我が家では5歳の柴犬を飼っていて毎日癒されて暮らしています。しかし、柴犬に咬まれてしまう事例が、夏井 睦先生が主催されているサイトの「新しい創傷治療」の治療症例として度々登場しています。犬や猫に咬まれた時の傷の手当てについて夏井先生が工夫されている方法を以下に紹介します。

咬傷の傷口は普通小さく奥が深い傾向があります。犬や猫(ヒトもそうですが)の口の中には雑菌が多くいて、咬まれた傷は必ずそれらの菌で汚染されています。傷口が塞がってしまうと傷内部で菌の繁殖が進み治りにくい感染を成立させてしまいます。場合によっては血液中に菌が侵入して命を失うこともあります。

治療の原則は傷の中の浸出液を外へ出してしまうことです。洗浄し縫合して抗生物質で感染予防をしたくなりますが、適切な方法ではありません。傷口を閉じないようにし、且つ中の液体を外に出す(ドレナージと言います)ようにする必要があります。

傷の中に異物(ゴミやかけら)があれば取り出し洗浄(水道水で十分です)します。そして縫合用のナイロン糸を2本~数本束ねて折り曲げ「Uの字」の下の方を傷の中に入れます。糸の両端がほつれない様にテープで束ねておき、傷口の近くで糸の束を皮膚に貼り付けます。この時に絆創膏などで直接貼り付けると糸が抜けてしまう事が多いので、次の方法で貼り付けます。まず傷口のすぐ近くに、1×2cm位の大きさに切ったハイドロコロイド包帯を貼り付けます。そして糸の束をもう一枚のハイドロコロイド包帯で挟むように貼り付けます。こうすると1週間以上糸は抜けずに固定できます。もっともこのナイロン糸ドレナージを必要とするのは3日~数日間です。炎症が治まって感染徴候(腫れ・発赤・痛み)が無ければ糸を抜き取ります。ガーゼをリボン状にしたものを傷内に入れておくドレナージ方法もありますが、傷口部分が乾いて蓋になっている場合が多いので不適切です。傷口は浸出液を吸い取りかつ傷に固着しない被覆材(プラスモイストなど)で密封しないように被います。

この間、できれば抗生剤を内服します。どのような抗生剤を使用するかは、侵入したであろう菌の種類を考えて決めますが、咬傷の場合は嫌気性菌にも効果のあるラクタマーゼ阻害剤とペニシリン剤の合剤を使用することが多いです。免疫低下があると考えられる受傷者にはマクロライド系抗生剤を併用することもあります。

咬傷で問題とすべき細菌は以下のものがあります。

○コリネバクテリウム・ウルセランス  猫が多い 犬もある ジフテリアに近似(ジフテリア菌=コリネバクテリウム・ジフテリア) 抗菌薬→マクロライド系(エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン)、アミノベンジルペニシリン(つい最近の報道:屋外で野良猫に餌を与えていた60代女性で救急搬送3日後に死亡)

○パスツレラ・マルトシーダ  猫に多い 犬もある 抗菌薬→オーグメンチン(臨床検討例:70代女性。入院2日前に下腿打撲部を犬が舐めた。1日前に発熱・打撲部色調変化・水疱。入院翌日死亡)

○パスツレラ・カニス 犬に多い 抗菌薬→オーグメンチン

○エイケレナ・コロデンス ヒトに多い  抗菌薬→オーグメンチン

○バルトネラ・ヘンゼレ  猫に多い 猫ひっかき病の原因菌のひとつ  抗菌薬→アジスロマイシン

○カプノサイトファーガ・カニモルサス 犬・猫  「昨日元気で今日ショック」の場合の病原体の1つ 抗菌薬→オーグメンチン

○他のカプノサイトファーガ属菌 6種 内5種はヒト口腔内に存在 抗菌薬→オーグメンチン

 

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インフルエンザでないなら、その発熱の原因は?

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インフルエンザ流行の季節になりました。インフルエンザウイルス感染の有無は臨床所見(咽頭後壁のイクラ状リンパ濾胞が特徴的)とインフルエンザウイルス抗原迅速検査で判断しますが、発熱があるのにどちらも陰性の場合には、見逃してはいけない原因がないかどうか苦慮します。

発熱疾患は多岐にわたります。発熱と症状の経過で、感染症か非感染症かを完全には困難ですが区別します。38℃以上の高熱の時は比較的徐脈※がないかどうか確認します。感染症と考えるならSTSTA※※評価して病原体が何か、細菌性か真菌かウイルス・原虫かを推定します。
皮膚病変あればウイルス性全身感染症や蜂窩織炎、頭痛が強ければ髄膜炎、前額部や頬部の痛みや叩打痛があれば急性副鼻腔炎、耳痛があれば中耳炎、喉の痛みが強ければ咽頭炎扁桃炎や喉頭蓋炎、胸痛あれば肺炎胸膜炎、腹痛あれば腹膜炎・胸膜炎や泌尿器婦人科疾患、排尿痛あれば尿路感染・前立腺炎など様々な状況を見て推定診断します。

感染症ではないと考えるなら、腫瘍や循環器疾患(心筋梗塞・肺塞栓、深部静脈血栓など)、外傷、膠原病や自己炎症性疾患などを考えますが、緊急性の高い疾患は外傷や循環器疾患です。
薬剤性の発熱も除外する必要があります。アレルギー、悪性症候群・セロトニン症候群、体温調節変調などが原因になります。薬剤熱は一般的に全身状態が良好ですが、悪寒・筋肉痛・頭痛などの感染症を思わせる症状を伴うことがあります。

高熱だけで他に自覚症状や身体所見がない場合は身体診察だけでは診断困難で、敗血症・感染性心内膜炎・悪性腫瘍熱などを区別しなければならず、所見がある場合よりも心配です。

高齢者の方の場合は、高熱だけの訴えで受診されても肺炎・腎盂腎炎や蜂窩織炎のことがあります。
インフルエンザ抗原迅速検査が陰性の時は、ではその発熱の原因は? と常に悩まなければなりません。

※比較的徐脈
通常、体温が1度上昇するごとに1分間の脈拍数は8~10増加しますが、38℃以上の発熱にもかかわらず 脈拍増加8以下の時に「比較的徐脈」と考えます。薬剤熱や中枢神経疾患のことが多く、感染症ではレジオネラ症、クミドフィラ症(クラミジア症)、チフス(渡航歴なくてもありうる)、ブルセラ症、髄膜炎菌感染などを考えます。逆に体温1度上昇ごとの脈拍数増加が20以上あれば細菌感染症を強く疑います。平常時の脈拍数を知っておく必要があります。2度以上の房室ブロックのある人やβ遮断薬・カルシウム拮抗薬(降圧薬・狭心症薬)を服用している人には当てはまりません。

※※STSTA 感染源のチェックリストです。病気(感染症)の人との接触、結核患者さんとの接触、性的接触、旅行歴、動物接触 の代表的5項目です。

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胃酸抑制の功罪

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「胃薬を飲んでいるのに食欲がない・食べられない」と訴えられる方が少なからずおられます。その胃薬が実は胃酸分泌を強力に抑制するPPIプロトンポンプ阻害薬のことがあり、中止すると食欲が戻ることが多いです。
胃粘膜には3種類の細胞があります。①壁細胞 胃酸分泌(強酸→細菌死滅・蛋白質が変性し分解され易くなる) ②主細胞 ペプシノーゲン分泌(胃酸で活性型のペプシンに変化して蛋白質を分解する)③G細胞 ガストリン分泌(主細胞のペプシノーゲン分泌を促進、壁細胞の胃酸分泌を促進)
胃酸の分泌過剰や食道への逆流によって胃潰瘍・十二指腸潰瘍や逆流性食道炎がおこることがあり、治療として胃酸分泌抑制薬が使用されます。
胃酸分泌のシグナルに、ヒスタミン、アセチルコリン、ガストリンがあります。これらの刺激を受けて壁細胞のプロトンポンプが働き、分泌管内に水素イオン(H+)が分泌されカリウムイオンK+が取り込まれます。そして他の経路で分泌されたクロールイオンCl-と結合して塩酸HClになります。胃酸とは塩酸のことです。
胃酸分泌を抑制する目的の薬剤には、H2ブロッカーとPPI(プロトンポンプ阻害薬)の2種類があります。
H2ブロッカーはヒスタミン刺激を阻害します。PPI(プロトンポンプ阻害薬)は壁細胞のプロトンポンプ輸送体の働きを阻害してヒスタミン以外の刺激による胃酸分泌も抑制します。そして、酸で活性化するプロドラッグ型のもの(血中濃度が最高レベルに達して効果が出るまで3~4日必要)と、酸による活性化を必要としないカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB:すぐに効果発現するのでオンデマンド療法に適している)に分けられます。前者の中の一つのラベプラゾールは酵素CYP2C19による代謝関与が少なく効果発現に遺伝的な差が出にくいですが、それ以外のものは、酵素CYP2C19に代謝速度の異なる3種類の遺伝子多型があるので、人により効果が異なります。(迅速代謝型:35%の人が相当しPPIの効果が出にくい、中間代謝型;50%の人、乏代謝型:15%の人 の3パターン) 後者のP-CAB(ボノプラザンフマル酸塩:強塩基性)は、主に酵素CYP3A4で代謝されるため効果の遺伝的な差は少ないです。
これらの薬剤による胃酸抑制で消化管潰瘍や逆流性食道炎は改善することが多いのですが、本来胃酸は必要があって存在しているのですから、それを抑え続けると望ましくない状況が出てきます。
胃酸抑制の結果、消化不良や下痢をおこしえます。ジギタリス、テトラサイクリン、キノロン、フェニトインなどの薬剤や鉄、マグネシウム、ビタミンB12などの栄養素の吸収を低下させます。
PPIについては下記のような副作用が報告されています。
小腸炎症の増強(胃酸の殺菌効果を抑制するので腸内細菌叢が変化する) カンピロバクター感染症発症リスク上昇、Clostridium difficile感染症(偽膜性腸炎)発症リスク上昇、膠原線維性大腸炎、劇症肝炎、肝障害、腹水を有する肝硬変患者での特発性細菌性腹膜炎のリスク上昇、市中肺炎発症リスク上昇、低Na血症、アナフィラキシー、血小板減少、溶血性貧血、横紋筋融解症、視力障害、血管浮腫、慢性腎不全発症リスク上昇、骨折リスク上昇、認知症発症リスク上昇、死亡リスク上昇(30日使用では差はないが1~2年長期使用ではH2ブロッカーと比較して死亡率50%上昇) P-CABは従来のPPI以上に胃酸を抑制するので、より注意が必要です。
胃酸抑制がどうしても必要な状況が続けば治療継続ですが、上記のことを知っておいて使用し、できれば減量や中止する方が安心・安全です。

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腎性貧血

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「NHKスペシャル 人体-神秘の巨大ネットワーク第1集“腎臓“が寿命を決める」が放映されました。

腎臓の持つ様々な機能についてCGを用いて作られていました。赤血球産生にかかわるエポ(エリスロポエチン)、血圧調節にかかわるレニン(傍糸球体細胞が分泌)、電解質調節―特にリン濃度調節などについて語られています。腎臓は全身臓器のネットワークの要であるので、腎臓機能が寿命を決め、腎臓を守ることで生命を救うというメッセージでした。腎機能指標の一つに糸球体濾過量GFRがあります。通常は血液中のクレアチニン濃度から計算するeGFRを用います。このeGFRが60mL/分未満の状態を慢性腎臓病として捉え注意を喚起することが重要とされています。年齢と共にGFRは低下することが多く、当院を受診される慢性腎臓病の方も多くおられます。そして腎性貧血の方も次第に多く経験するようになりました。

腎性貧血は糸球体濾過量GFR60mL/分 未満でその頻度が有意に増加すると言われています。鉄剤の補給では貧血が改善しません。腎性貧血の原因は多くありますが代表的なものがエリスロポエチン不足です。

慢性腎不全になると腎臓の尿細管間質細胞(京都大学腎臓内科学教室の研究によれば尿細管の間質を形成する神経堤由来の線維芽細胞)で産生されるエリスロポエチンが十分に分泌されなくなり造血障害を起こします。(赤芽球系前駆細胞の増殖・分化が抑制されて前赤芽球が増加しなくなります)

エリスロポエチンの血漿中濃度は貧血の進行(ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少)に伴い上昇します。貧血がない時は4.2(7.4)~23.7(29.8)mIU/mLであり殆どは10mIU/mL以下ですが、ヘマトクリット30%の貧血では100mIU/mL程度に上昇すると言われています。貧血にも拘らずエリスロポエチン濃度が正常範囲の時には、エリスロポエチンの相対的不足があると考えられます。但し、腎性貧血の原因はエリスロポエチンの不足以外に、赤血球寿命の短縮・骨髄赤血球造血の抑制・鉄代謝障害・造血に必要な栄養素(亜鉛、銅、ビタミンB12 葉酸など)の不足などがありますので、それらの除外も必要です。

エリスロポエチン不足はエリスロポエチン製剤の皮下注射で治療します。最近は血中半減期の長い製剤を使用することが多く、2週間ないし1ヶ月に1回の注射で維持できることが多いです。

改善するまでの投与量や改善してからの維持量は同等の腎機能低下でも個人差があります。おそらくエリスロポエチン不足以外の要因に左右されると思われます。また、治療による貧血改善と共に栄養素不足が生じてくることもありそれらの補充が必要となることもあります。

なんと言っても腎機能を低下させないような生活、注意が肝腎です。禁煙や高血圧・糖尿病の予防・適切なコントロールが重要です。また薬剤による腎機能低下も多くみられます。薬局で購入できる鎮痛薬でGFRが低下することもあります。必要な治療薬であっても腎機能の低下に応じて減薬や中止を考慮しなければなりません。冒頭のNHKスペシャルでも、腎疾患以外の治療でも腎機能に目を配り、腎障害が高度なのでそれまでの治療薬剤を一時中断して生命を救った事例の紹介がありました。

どのような治療を行う時でも腎機能に注意して薬剤の量や種類を考慮しなければと考えています。

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