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「血液検査だけでは診断できない」不明熱  

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帝京大学ちば総合医療センター第三内科(血液・リウマチ)講師の萩野 昇先生の教育講演が10月3日にありました。演題名は「不明熱・不明炎症へのアプローチ~リウマチ科医の視点から~」です。

不明熱とは、大雑把に言うと原因がなかなか判らない発熱と言うことです(最終的には原因が明らかになる場合が殆どなのですが)。以下の内容が記憶に残りました。

「血液検査だけでは診断できない」不明熱には次のような疾患があるとのことです。
血管炎(結節性多発動脈炎、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎)、リウマチ性多発筋痛症、成人Still病、再発性多発軟骨炎、ベーチェット病、炎症性腸疾患、サルコイドーシス、周期性発熱症候群、IgG4関連疾患。

また発熱患者さんの炎症反応は陽性であることが多いのですが、「炎症反応陰性」の不明熱もあり、(先生の)個人的リストは以下のとおりです。
未確認の自己炎症症候群、ベーチェット病(の一部)、Q熱、ライム病、ある種の結合織病(エーレス-ダンロス症候群の一部)。

さらに不明熱の原因疾患に、リンパ腫と気付けないリンパ腫があることを知りました。
そのリンパ腫の特徴は、
・リンパ節腫脹がない
・リンパ節の検査をしても腫瘍細胞が認められない
・リンパ節腫脹が自然経過や治療修飾で退縮してしまう
であり、肝臓や脾臓の組織検査で初めて診断がつくそうです。

発熱患者さんの発熱の原因を毎回「正しく」診断できているかと言うと、自信がありません。症状の経過 身体所見 血液・尿検査 画像検査などで原因を絞り込んでいくのですが、上記のような疾患を想起できなければ真の原因を見逃す可能性があります。たとえ抗生物質を使って熱が下がったとしても、抗生物質が効果のある細菌性感染症だとは言い切れません。

講演会で挙げられた不明熱の原因疾患は経験することが稀な疾患が多いので、疾患の全体像を常に繰り返し学習しておく必要があります。

平成南町クリニック  玉田


一般外来で気付くためのヒント
(参考 萩野 昇著 ロジックで進めるリウマチ・膠原病診療、岩田健太郎編集 診断のゲシュタルトとデギュスタシオン1、2  など)
○結節性多発動脈炎=発熱+中型血管の虚血症状(四肢末端疼痛・睾丸痛・筋肉痛・間欠的で激しい腹痛)
○高安動脈炎=若い女性で持続する微熱・倦怠感+頚部・鎖骨下血管雑音、
○巨細胞性動脈炎=高齢者初発頭痛(頭皮痛・側頭動脈圧痛)+顎跛行・一過性黒内障
○リウマチ性多発筋痛症=60歳以降の急性~亜急性の全身の痛み(筋肉痛ではなく滑液包炎の痛み)
○成人Still病=若い女性でかなりの高熱でも割合元気 有熱時のサーモンピンクの痒くない皮疹
○再発多発軟骨炎=軟骨(鼻・耳介・喉頭・気管など)の変化に伴う所見や症状がある
○ベーチェット病=再発する口腔アフタ性潰瘍・外陰部潰瘍・膿胞性丘疹(針反応)・眼の症状
○炎症性腸疾患=クローン病:下痢・腹痛+肛門潰瘍・周囲膿瘍、潰瘍性大腸炎:下痢血便+アフタ性口内炎
○サルコイドーシス=眼のかすみ眩しさ・皮膚紅斑・不整脈・神経系異常など(診断きっかけは胸部写真異常)
○周期性発熱症候群=半日~数週間続く発熱が6~12ヶ月の間に3回以上繰り返し、無熱時に無症状
○IgG4関連疾患=唾液腺、肺、膵臓などに病変がある
○自己炎症症候群=周期的な発熱を繰り返す 他の疾患では説明できない症状・所見
○Q熱=1ヶ月以内に動物と接触歴のある人が肺炎・肝炎を発症
○ライム病=マダニに咬まれた、咬まれるような環境の人が全身の症状を来す
○ある種の結合織病(エーラス-ダンロス症候群の一部)=過伸展できる脆弱な皮膚で血腫生じ易い

脈拍・心拍

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当院新患の高齢者の方で、動悸は自覚しないのに脈が130の人がおられました。脈拍は整で心電図ではP波が不明で狭いQRS波でしたが、心拍数130でした。RR間隔は一定であり、心房粗動の2対1伝導を考えました。頻拍を改善させる薬剤の注射をして経過をみるべきなのですが、当院の医療体制では実施困難ですので病院の循環器科の先生に御紹介しました。頻拍抑制薬の注射で頻拍は改善し、心電図では心房細動が出現し抗凝固薬が開始されました。心房細動は左房内の血栓を生じ易く脳梗塞の原因になりますので、危険性を評価して有益性があれば抗凝固薬を開始することが多いです。以前に、軽度の動悸を訴えて受診された中年男性で不整な頻脈があり心電図で心房細動が確定できた方がおられました。カテーテルアブレーション治療の適応があるので専門医に紹介しましたところ、精査にて冠動脈疾患が判明しました。

一方、脈の少ない徐脈も心配な不整脈です。右胸痛で受診された若い方で脈が40の人がおられました。胸痛の原因は右自然気胸でしたが、胸痛の鑑別診断のために記録した心電図でP波とQRS波が全く連動していない波形があり房室ブロックの可能性がありました。しかし房室ブロックを思わせる症状がないので何回か心電図をとり直したところ、徐脈ですが正常な洞調律の波形も見られました。日常的に激しいスポーツをしている方で、いわゆるスポーツ心臓と思われました。QRSは狭いので房室整合部性調律であり、その成因は普段の徐脈にあると考えられました。脈が40のままであれば激しい運動には耐えられませんので、運動時には脈拍は増えていると思われます。
脈拍異常の有無は触診をすれば普通はすぐ判りますが、その異常が何であるかはやはり心電図ということになります。しかし、診察だけでもある程度推定することは可能です。規則性のない不整脈は殆どが心房細動です。また、規則性があり脈拍欠損を生じている時には、心音を聴診しながら脈をみると1拍欠けている時に心音がやや小さく早めに聴こえれば大抵は上室性期外収縮です。心室性期外収縮の時は早めの心音がかなり小さく聴こえます。頻脈の時は脈の間隔の変化が感じにくくなるので診察だけでは原因追究が困難です。

頻脈でないけれども心音で心拍数を数えると頻拍という時もあります。脈拍の異常を診察で判断するには、脈の触診と心音聴診の両方を同時に行うことが有用です。
診察時には努めて脈拍と心音を同時に診るようにしています。

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レムナント様リポ蛋白コレステロール RLP―C ( Remnant-like particle cholesterol )

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葡萄、西瓜、桃、梨、無花果、もう少しすると柿などおいしい果物が出回ります。果物には果糖、ブドウ糖、ショ糖などの糖質が含まれます、(果糖>ブドウ糖>ショ糖) 果糖そのものは血糖値を殆ど上昇させませんが下記の性質があるので、より甘く品種改良された果物や果糖・ブドウ糖液を使用した飲み物などは摂り過ぎると動脈硬化の元凶となり得ます。
果糖は、蛋白質と糖が結びついて作りだされる終末糖化産物を極めて生じ易く、肝臓での脂肪合成を誘導しやすい糖質であり、多く摂ると血中の中性脂肪濃度が上昇し肥満の原因となります。おいしくて食べると幸せ感のある果物ですが、肥満・動脈硬化・高脂血症・糖尿病・高血圧の方は食べる量に注意しましょう。
さて、本年5月から脂質代謝異常の評価項目としてRLP-Cが倉敷平成病院検査室で測定できるようになりました。コレステロールが動脈硬化に関連することは以前から知られていますが、種々のコレステロールの中で真の原因物質が何であるかはまだ確定されていません。LDLコレステロールのなかで小粒子のLDLコレステロールは酸化しやすく、酸化LDLコレステロール値が動脈硬化と密接に関連するとされてきました。しかし原因ではなくて動脈硬化の結果という見方もあります。
近年、リポ蛋白(カイロミクロンや種々のコレステロールの総称)の中でカイロミクロンとVLDLコレステロールがリポ蛋白リパーゼという酵素で分解されて残った代謝産物の「レムナントリポ蛋白」が動脈硬化の原因と考えられるという研究結果が発表されています。但しこの代謝産物は速やかに血中から消失するので測定が困難であり、その代わりに「レムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)」を測定して評価します。
血液中の脂質は食後の時間と共に変化するものと変化しにくいものがありますが、このレムナント様リポ蛋白コレステロールは健常者では食後増加は少ないが、虚血性心疾患患者や糖尿病患者では食後増加しなかなか低下しないようです。(食後血糖値に似ています)
基準値は空腹時で7.5mg/dL以下です。糖尿病や冠動脈疾患の既往患者では5.2mg/dL以上は高リスクとされています。内臓脂肪蓄積群やメタボリック症候群ではLDLコレステロール値が基準内であってもRLP-Cが高値になっていたとの発表があります。「高レムナント血症」という概念も提唱されています。
レナント様リポ蛋白コレステロール値はカイロミクロンやVLDLコレステロールの代謝産物なので、これらを減らすことによって低下すると思われますが、これらは中性脂肪を多く含んでいるリポ蛋白です。利用されなかったブドウ糖がインスリン作用により肝臓に取り込まれ、また果糖はそのまま肝臓内で中性脂肪に変えられて脂肪組織に蓄積されていきます。従って過多の糖質を摂らないようにすれば、中性脂肪は減ってムナント様リポ蛋白コレステロール値が低下すると考えられます。

平成南町クリニック  玉田 電話086-434-1122

 

2020年に流行が懸念される感染症

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7月13日に倉敷中央病院で、国立国際医療研究センター・国際感染症センターの忽那賢志(くつな さとし)先生の「2020年に向けたグローバル時代の感染対策」という教育講演がありました。日本から海外への1年間の観光客数は過去20年間1800万人弱で不変だが、海外から日本を訪れる観光客は最近5年で急増し2017年には年間2900万人弱になっている。人の移動が増えて海外からの感染症が日本に持ち込まれることが多くなっているとのことです。
注意すべき新興感染症について概説がありました。そして2020年東京オリンピック(7月24日開幕~8月9日閉会)に流行が懸念される感染症として、
蚊が媒介する感染症:デング熱 チクングニア熱 ジカ熱など、髄膜炎菌感染症、麻疹・風疹・おたふくかぜ・水痘、インフルエンザ(熱帯・亜熱帯地域からの持ち込み)、感染性腸炎(ノロウイルス、サルモネラ、病原性大腸菌O157)が挙げられるとのことです。他に注意すべき新興感染症としては、
結核 MERS(中東呼吸器症候群) SFTS 鳥インフルエンザ スーパー耐性菌による感染症(海外での入院治療歴でリスク増大)が紹介されました。
海外との往来で新興感染症に遭遇する機会は増えており、特定の医療機関以外でも新興感染症を診る可能性があり、第一線の診療所でも海外渡航歴は医師が確認すべき事柄であり患者さんからの申し出を待っていてはいけないと注意されました。
いつも感じていることですが、介護施設など集団生活の場では集団感染を防ぐため、発端になる人の発見に留意しなければならないと肝に銘じています。講演会で挙げられた疾患のうち、日常的に可能性の高い集団感染に結核症があります。
常々疑問に思っている「結核を否定するのにどの程度の検査をすればよいか」を質問しました。忽那先生の回答は、「診断と感染対策に分けて考える。 診断については完全に否定することは非常に困難。感染対策については個室管理 N95マスクが基本」というものでした。 結核を一応否定する最低限の検査項目・回数について尋ねましたが、単純明解な回答はありませんでした。
結核に関する検査の内容・頻度と結核症を否定できる可能性の割合についての研究論文を調べてみなければならないと感じました。

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ロコモティブシンドローム到来を遅らせるぞ!

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6月16日に宮島弥山の頂上(標高535m)まで行って来ました。登りましたと言いたいのですが途中まではロープウェイなので「行って来ました。」です。ロープウェイの終点獅子岩駅(標高433m)から一旦山を下りそれから上がって行くので140mを登ったことになります。それでも途中で何度か息が切れました。
山頂手前の「消えずの霊火堂」で家内安全を祈願し、「くぐり岩」を通り山頂に到着しました。山頂には巨石群があります。展望台から四方360度の視界が開けています。鹿はいませんでしたが人に慣れた烏が来訪者からの食べ物を狙って近寄って来ます。

しばらく休憩してから、下りは徒歩のみで厳島神社まで「下山」しました。段差の大きな石段が続く坂道が殆どで、かなり足に負担がかかりました。つま先が小さな石や木の根に何度となく引っ掛かりそうになり、足を引きずるような歩き方になっていたと反省しています。
宮島へは幼稚園の頃から遠足などでよく訪れていましたが、弥山山頂まで行ったのは初めてです。天候に恵まれ幸運でした。
本年秋に古希を迎えますので来年の夏には富士山の山頂を目指す計画です。学生時代に8合目まで登りましたが、下から吹き上げる激しい風雨となり山頂を断念した経緯があります。
それにしても加齢による足腰の衰えを自覚するようになりトレーニングの必要性を痛感しています。私の祖父は105歳まで生き、102歳ころまで独りで出歩いていました。

その祖父は70歳を契機に独自の柔軟体操(今で言うストレッチ)を始めていました。「晴耕雨読」をモットーに植林地の枝払いなど山を歩き回っていたのを覚えています。祖父を見習い私もストレッチ・筋肉トレーニングを行い、ロコモティブシンドロームになるのを避けることは不可能でしょうが、できるだけ遅くなるよう心がけたいと思っています。

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湿布剤による光線過敏症  市販薬にも注意!

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5月なのに真夏日になった日もあります。紫外線がますます増えてきていますので光線過敏症に過敏にならざるを得ません。2016年6月17日の本ブログで薬剤部からの「湿布の適正使用」でも記載されていますが、湿布剤での光線過敏症についてまとめてみます。湿布剤によるものは外因性光線過敏症のうち光アレルギー性皮膚炎に分類されます。ケトプロフェン以外にジクロフェナクを含む湿布剤にも光線過敏症の注意が記載されており、どちらも市販薬があり要注意です。

ケトプロフェン・ジクロフェナク(非ステロイド性消炎鎮痛剤の1種)含有湿布剤の 添付書(薬会社の薬説明書)や市販薬使用上の注意 の記載事項
《禁忌(使用してはいけない人・状況)》①本剤への過敏症の既往のある患者 ②アスピリン喘息またはその既往のある患者 ③以下の薬剤や成分を含む製品に過敏症の既往のある患者 ★チアプロフェン酸(内服薬 光線過敏症起こしうる) ★スプロフェン(チアプロフェン酸の異性体):外用塗布剤(軟膏・クリーム剤) ★フェノフィブラート:高脂血症治療薬 ★オキシベンゾン:日焼け止め剤や化粧品に含有 光線過敏症・発癌性環境ホルモン作用のリスクあり ★オクトクレリン:耐水性日焼け止め製品に含有 ケトプロフェン併用で光線過敏症のリスク増加 ④光線過敏症の既往歴のある患者 ⑤妊娠後期の女性
《注意》 重篤な接触皮膚炎・光線過敏症が発現することがある 重度の全身性発疹に進展する例の報告がある 損傷部位に使用しない
《副作用》 光線過敏症:使用後数日から数か月を経過してから発現することがある

湿布剤を使用してから数か月後に皮膚炎を発症することがあるので、夏になり半袖・半ズボンで直接日光を浴びて気付くこともあります。処方する際に注意点を説明はしていますが、毎回は説明していないかもしれません。市販薬にも光線過敏症の頻度が高い湿布薬がありますので、成分表や使用上の注意(いずれも小さい字で書かれています)をよく見るようにしましょう。

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《補足》 外因性光線過敏症の分類
光毒性皮膚炎(日焼け症状)  初回曝露でも発症(アレルギー無関係)
ソラレン コールタール サイアザイド薬 テトラサイクリン
光アレルギー性皮膚炎(紅斑・水疱) 初回曝露では発症しない 全身に発症する可能性がある
貼付剤・外用薬(光アレルギー性接触皮膚炎) ケトプロフェンは頻度多い  ジクロフェナク
内服薬 クロルプロマジン サイアザイド薬 テトラサイクリン シプロフロキサシン その他多種あり

模倣の名人 Great Imitator

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出席はできませんでしたが本年3月3日の岡山胸部疾患研究会講演会のテーマは「結核」と「肺癌」でした。
岡山県医師会報 平成30年4月10日発行1475号に要旨が載せてあります。岡山県保健福祉部健康推進課 感染症対策班の佐藤友季氏の情報提供の要約は以下のとおりです。
岡山県で平成28年度に新たに結核症として登録された患者数は208人で人口10万人あたり10.9(結核罹患率)であり、全国の13.9より少なく、また全国と同じく減少傾向にある。岡山県の結核患者は70歳以上の高齢者が約7割(全国は6割)で、次のような理由で6人に1人の割合で受診や診断の遅れがある。
(注釈:症状出現から受診・診断を経て結核登録までが3ヶ月以上を遅れとする)
高齢者結核の特徴:咳などの典型的な結核の症状が少ない、合併症が多く症状が複雑、空洞形成割合が少なくなど画像が非典型的、認知症・寝たきりなどで症状を訴えられない
かかりつけ医を受診される高齢者の結核早期発見のために、症状がなくても年1回は胸部X線写真検査を(患者さんに)勧めて頂きたい。
岡山県として結核医療相談・技術支援センターを南岡山医療センターと岡山県健康づくり財団附属病院に委託設置しているので積極的に活用して頂きたい。(引用終わり)

当院では、ピースガーデン倉敷特養に入所されている方やグランドガーデン南町に入居されていて当院を受診されている方に年1回は胸部写真を撮影しています。また住民検診や人間ドックなどを受けておられない高齢の受診者の皆様にも症状はなくても年1回の胸部写真をお勧めしています。咳が1ヶ月以上長く続いていた方には肺結核症を除外するために胸部写真を撮っています。
私たち医師としましては、診断の遅れ(受診から結核登録までが1ヶ月以上)をなくすために常に「結核」を疑うことが必要です。結核は「模倣の名人」と呼ばれるように、リウマチやSLEなどの自己免疫疾患やベーチェット病などの自己炎症性疾患の症状・所見を示したり、また一般の細菌性肺炎の画像所見だったりすることがあるので常に疑っておかないと診断ができません。開放性肺結核の診断が遅れると集団生活の場や医療・福祉施設では集団感染となってしまうので細心の注意が必要です。
補足:肺結核や喉頭結核は、空気感染(気流にのり長時間浮遊する飛沫核に含まれる病原体による感染)をおこす疾患です。空気感染を起こす疾患には麻疹(はしか)、水痘(水疱瘡)、播種性帯状疱疹のウイルス感染症もあります。本年3月下旬に確認された沖縄での麻疹が拡大しており、さらに他県への拡大が懸念されています。

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感染予防抗体価

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4月に医療関連の学校や大学校・大学に入学される方々が、麻疹や風疹ワクチン接種のために当院を受診されています。医療機関での実習や研修の予定がある場合、感染予防できる抗体量を持っている必要があります。一般的には発症予防に充分な抗体価(抗体価陽性)があれば良いです。しかし医療関係者は各自が麻疹などを発症してなくても、ウイルスに感染してしまうと患者さんや利用者さんに麻疹などを感染させてしまう危険性が生じます。そこで感染予防に必要な抗体量(発症予防の抗体量よりも多い)を持っていることが望まれます。
2014年9月に「医療関係者のためのワクチンガイドライン第2版」が日本環境感染学会から出されました。
対象となるウイルスは、B型肝炎・麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘の各ウイルスです。
B型肝炎ウイルスについては、患者さんに接触したり血液や体液に接触する可能性がある場合を除いて特に注意書きのない教育機関が多いようです。
麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘の各ウイルスについては図1のフローチャートに基づいて免疫状態証明書の提出を求めています。感染予防に必要な抗体価は「基準を満たす抗体価」で示されています。(表1)
これらの疾患に罹ったことがあると終生免疫が生じると考えられていましたが、実際には抗体価は時間と共に低下していくことが判っています。終生免疫があると思われていたのは、実は時々ウイルスに曝露されて抗体価が再上昇していたからなのです。疾患自体が殆ど流行しなくなるとウイルス曝露がなくなり抗体価が維持されなくなる可能性は十分あります。まだまだ水痘や流行性耳下腺炎の流行はあります。風疹も地域的に流行は起こっています。麻疹はまだ根絶されてはいませんが流行はかなり減っています。
ワクチンを2回接種すれば感染防止抗体量ありと判定して抗体量測定は必須とされていませんが、実際に2回接種してもどうしても抗体陽性にならない人も存在します。また、陽性になっても数年以上経過すると抗体価は減少して、発症予防抗体価は維持できていても感染予防抗体価に達していない場合があることが判明してきています。「MRワクチン2回接種後(第2期、第3期)の血清抗体持続に関する検討  小児感染免疫 第29巻 No1、2017年」 本論文は6年後の検査結果の検討ですが、論文筆者はさらに長期間の検討を要すること、MRワクチンの3回目接種の検討も必要と結んでいます。
当院を受診された方の中に麻疹ワクチン2回接種後11年後でしたが、上記の内容を説明して麻疹抗体価を測定してみるようお勧めした方がおられます。抗体価は陽性でしたが基準に達していなかったので麻疹ワクチンを1回追加接種としました。ワクチン接種歴によらず全ての抗体価を検査するよう求めている医療関連教育機関もありました。
私見としましては、罹患歴やワクチン接種歴に関係なく抗体価を測定して、感染防止抗体価(基準を満たす抗体価)がない場合に、ワクチン接種歴に応じて追加ワクチンを1回ないし2回接種するのが合理的だと考えています。それらの費用は現在全て実習予定者本人負担ですが、実習生自身の発症を防ぐ目的以上に患者さんや利用者さんへの感染を防ぐことが第一の目的なのですから、教育機関が負担したり補助したりすべきではないでしょうか。

 

(図1)

(表1)

 

 

 

 

 

 

 

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血管炎

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なかなか治らない指先のごく小さな皮膚潰瘍の方がおられましたが、膠原病内科でクリオグロブリン血症性血管炎あるいは強皮症(膠原病の一種)の疑いと診断されました。
一般的な内臓疾患に比べ血管炎やまれな膠原病の診断名を思いつくのは難しいです。
2月14日に第3回倉敷リウマチフォーラムで倉敷中央病院の内分泌代謝・リウマチ内科の西村啓佑先生の「不明熱に潜むリウマチ・膠原病疾患」の講演会がありました。急速に肺病変が進行して致死的になる膠原病(抗MDA5抗体陽性の無筋症性皮膚筋炎)や失明などの重大な状態になってしまう血管炎(巨細胞性動脈炎)などの注意すべき疾患の解説を分かりやすくして頂きました。結核症などの感染症に伴う血管炎や筋炎もあるとのことで血管炎・膠原病を疑っても感染症による病変の除外が必要である事を強調されていました。
血管炎や膠原病は皮膚症状を含む多彩な症状や所見が見られますが、発熱や風邪様症状のみが続いていて典型的な症状が揃わない時期に疑うのは、経験がないとなかなか困難と思われます。逆に様々な症状・所見が多く有り過ぎて多種類の疾患を考えてしまうこともあります。最近では膠原病に特異的な自己抗体の検査ができるようになっていますが、それらが陽性になる疾患を知っていてその疾患を思い浮かべることが出来なければ役立ちません。
日々の診療の中で、原因のはっきりしない発熱や風邪様症状が続く方の診断がつかないまま本当の原因を見逃している可能性もあります。一般内科では血管炎の患者さんや頻度の少ない膠原病の患者さんに出会う事が稀なので、講演会や症例集などで多くの疑似体験を得たく思っています。

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犬・猫に咬まれた傷

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今年は戌年ですね。「戌」の意味は植物などが枯れて休息をとる時期を表し、命を繋ぐ縁起の良い年を意味しているそうです。方角や時刻を意味する「戌」の読みがイヌなので、同じ読みの犬を宛てて「犬年」とすることも多いですね。さて、犬と言えば我が家では5歳の柴犬を飼っていて毎日癒されて暮らしています。しかし、柴犬に咬まれてしまう事例が、夏井 睦先生が主催されているサイトの「新しい創傷治療」の治療症例として度々登場しています。犬や猫に咬まれた時の傷の手当てについて夏井先生が工夫されている方法を以下に紹介します。

咬傷の傷口は普通小さく奥が深い傾向があります。犬や猫(ヒトもそうですが)の口の中には雑菌が多くいて、咬まれた傷は必ずそれらの菌で汚染されています。傷口が塞がってしまうと傷内部で菌の繁殖が進み治りにくい感染を成立させてしまいます。場合によっては血液中に菌が侵入して命を失うこともあります。

治療の原則は傷の中の浸出液を外へ出してしまうことです。洗浄し縫合して抗生物質で感染予防をしたくなりますが、適切な方法ではありません。傷口を閉じないようにし、且つ中の液体を外に出す(ドレナージと言います)ようにする必要があります。

傷の中に異物(ゴミやかけら)があれば取り出し洗浄(水道水で十分です)します。そして縫合用のナイロン糸を2本~数本束ねて折り曲げ「Uの字」の下の方を傷の中に入れます。糸の両端がほつれない様にテープで束ねておき、傷口の近くで糸の束を皮膚に貼り付けます。この時に絆創膏などで直接貼り付けると糸が抜けてしまう事が多いので、次の方法で貼り付けます。まず傷口のすぐ近くに、1×2cm位の大きさに切ったハイドロコロイド包帯を貼り付けます。そして糸の束をもう一枚のハイドロコロイド包帯で挟むように貼り付けます。こうすると1週間以上糸は抜けずに固定できます。もっともこのナイロン糸ドレナージを必要とするのは3日~数日間です。炎症が治まって感染徴候(腫れ・発赤・痛み)が無ければ糸を抜き取ります。ガーゼをリボン状にしたものを傷内に入れておくドレナージ方法もありますが、傷口部分が乾いて蓋になっている場合が多いので不適切です。傷口は浸出液を吸い取りかつ傷に固着しない被覆材(プラスモイストなど)で密封しないように被います。

この間、できれば抗生剤を内服します。どのような抗生剤を使用するかは、侵入したであろう菌の種類を考えて決めますが、咬傷の場合は嫌気性菌にも効果のあるラクタマーゼ阻害剤とペニシリン剤の合剤を使用することが多いです。免疫低下があると考えられる受傷者にはマクロライド系抗生剤を併用することもあります。

咬傷で問題とすべき細菌は以下のものがあります。

○コリネバクテリウム・ウルセランス  猫が多い 犬もある ジフテリアに近似(ジフテリア菌=コリネバクテリウム・ジフテリア) 抗菌薬→マクロライド系(エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン)、アミノベンジルペニシリン(つい最近の報道:屋外で野良猫に餌を与えていた60代女性で救急搬送3日後に死亡)

○パスツレラ・マルトシーダ  猫に多い 犬もある 抗菌薬→オーグメンチン(臨床検討例:70代女性。入院2日前に下腿打撲部を犬が舐めた。1日前に発熱・打撲部色調変化・水疱。入院翌日死亡)

○パスツレラ・カニス 犬に多い 抗菌薬→オーグメンチン

○エイケレナ・コロデンス ヒトに多い  抗菌薬→オーグメンチン

○バルトネラ・ヘンゼレ  猫に多い 猫ひっかき病の原因菌のひとつ  抗菌薬→アジスロマイシン

○カプノサイトファーガ・カニモルサス 犬・猫  「昨日元気で今日ショック」の場合の病原体の1つ 抗菌薬→オーグメンチン

○他のカプノサイトファーガ属菌 6種 内5種はヒト口腔内に存在 抗菌薬→オーグメンチン

 

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