寒い時期になると普段よりも血圧が上昇する患者さんが増えて来ます。自治医科大学の苅尾教授は、10℃の気温変化で血圧が10mmHg以上変動する病態を「気温感受性高血圧」と名付けています。足元の気温低下がより強く影響し、血圧上昇に伴って心血管イベントが発症しやすくなります。早朝の足元の冷えには特に注意しましょう。
西伊豆健育会病院の早朝カンファ 2021年12月(仲田和正医師)で、ニューイングランド ジャーナル オブ メディスン 2021年11月号の総説「塩と血圧」についてのまとめが紹介してあります。
10項目の重要な要点を挙げてありますが、その中の3項目をとり上げてみます。
①「食塩の1/4を塩化カリウム」で脳卒中14%、心血管疾患13%、死亡率12%減少し、高カリウムなし
⑦ポタシウム(=カリウム)スイッチでナトリウムとカリウム保持。食餌のカリウム増やすとスイッチがオフになりNa減少し血圧が低下する
⑨血圧低下に(食物)線維重要:大腸バクテリアが線維発酵しGタンパク質共役型受容体を活性化して高血圧を防ぐ
①:北京大学の医師達の研究結果です。代替食塩(塩化ナトリウム75%、塩化カリウム25%)と塩化ナトリウム100%(普通の食塩)での食生活を平均4.74年追跡して得られた結果です。
⑦:以前からカリウム摂取を増やすと血圧が下がり塩感受性(塩摂取で血圧が上昇すること)も著明に低下することが知られていました。最近、ポタシウム スイッチという概念が提唱されています。腎臓の遠位尿細管細胞にNCC(ナトリウムークロライド共輸送体)と呼ばれる共輸送体タンパク質がありWNKキナーゼによって調節されています。 食塩(塩化ナトリウム)の摂取が多くても血液中のカリウムが低ければNCCでこのポタシウムスイッチが作動してカリウムを再吸収しますが、同時にナトリウムも再吸収してしまいナトリウムが体内に貯留し高血圧が起こります。逆に食事中のカリウムが多いとこのスイッチは働かず、塩化ナトリウムの再吸収が抑制され塩過敏性が緩和されて血圧が下がるのです。代替塩で血圧が下がる理由はこれにあります。
⑨:大腸のバクテリアは食物線維を発酵させて短鎖脂肪酸を作りますが、この短鎖脂肪酸が腎臓で Gタンパク質共役型受容体を活性化させて、抗高血圧反応を起こすのです。塩分が多い食事で短鎖脂肪酸を作る腸内細菌が減少するそうです。(以上 西伊豆健育会病院 早朝カンファ からの抜粋引用)
高血圧患者さんは1日の食塩6g以下の減塩食が勧められていますが、低カリウムにならないような注意も必要です。最近、低カリウム血症と共に全身の浮腫が生じた患者さんがおられました。⑦のポタシウムスイッチが入ったのではないかと推測しました。低カリウムを生じる原因は無くなっているので少量のカリウム製剤で経過をみています。
日本で発売されている代替塩(減塩しお)はどの商品も塩化カリウムほぼ50%なので、1日10g摂るとアスパラカリウム錠15錠分のカリウム摂取となります。アスパラカリウム錠は、1日通常3~9錠処方となっており、症状により1日30錠まで増量可能の薬です。重篤な腎機能障害・副腎機能障害、高カリウム血症などでは禁忌(処方してはいけない)事になっていますので、代替塩(減塩しお)はよほど注意して使用する必要があります。「減塩しお」ではなく「藻塩」だと16gでアスパラカリウム錠の1錠と同じカリウム量ですので、通常の藻塩使用量ではカリウム過剰の注意はまず不要です。
先の北京大学の研究では代替塩摂取グループでの高カリウム血症は生じなかったようですが、腎機能障害やもともと高カリウム血症のないグループだったのでしょうか。
平成南町クリニック 玉田

新型コロナウイルス オミクロン株による感染拡大が懸念されているこの頃です。感染力は強いが、肺炎発症リスクは少なく、重症化率は低いので「全人類へのクリスマスプレゼントになるかもしれない」との意見もあります。正確な実態が早く知りたいです。日本でもこの株による感染拡大に対処するために、3回目のmRNAワクチン接種が始まっています。感染防御への効果は疑問のようですが「重症化を防ぐであろう」ので有用とされています。しかし、以下のような警告があることも知っておく必要があります。(江部康二医師のブログ「糖尿病徒然日記」12月6日の内容を再掲します。)
日本での新型コロナウイルスPCR検査陽性者は、現在かなり減少していますが、通常のコロナウイルス(いわゆる風邪)と同じく、私たちが感染するリスクは常にあり感染予防に留意する必要は変わりません。
私の誕生日は10月なので、柿 葡萄 無花果 蜜柑などの果物が豊富な季節であり多くの果物が一度に味わえて、子供頃はとても嬉しかったのを覚えています。成人になってからも果物は大好きで、毎日必ず何かの果物を食べていました。ところが最近は果物が欲しくて堪らないことは無くなり、何日も果物を食べずに過ごす事もあります。年齢的な味覚嗜好の変化というよりも、おそらく低糖質食生活に慣れたからだと思います。また低糖質食だとビタミンCの必要性がかなり減るのでビタミンCの豊富な果物を体が欲しないのかもしれません。

のことです。癌細胞がブドウ糖を利用できなくなり消滅したと考えられるのですが、この結果は信じられないほど良い結果です。(治験登録締切り後なので参加できなかった当院通院中の患者さんがおられました。) 通常は睡眠中に血中ブドウ糖濃度は低下しケトン体は上昇するが、年齢が高くなるとケトン体の上昇が少なくなるという観察事実の紹介もあり、年齢が上がるとケトン体が減少するので発癌しやすくなるのではないかという同教授の仮説も紹介されました。
あるブログに、「枇杷の実を小鳥が食べない なぜだろうか 甘い実なのに種が大きいからか」 という意見があり、それに対して、「いえいえ 鳥たちは枇杷の実を食べていますよ。」いう応答がありました。