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高アンモニア血症

糖質制限食は高血糖を防ぐのみでなく様々なメリットがありますが、高蛋白食になる場合が多いので注意も必要です。肉などの高蛋白質食品を摂った後で、頭痛・嘔気・だるさや軽度の意識障害などの体調不良が繰り返し起こる時には、稀な疾患ですが尿素サイクル異常症も考えられます。蛋白質代謝産物であるアンモニアが尿素に変換されずに高アンモニア血症になっているかもしれないのです。先天的な酵素障害が原因ですが、成人になるまで症状が出ないこともあるようです。大多数の人にとっては、蛋白質を多く摂ることは望ましい状況であり、糖質の摂り過ぎで食後のだるさや頭痛が起こることが多いのですが、そうでない事もあると知っておきましょう。

高アンモニア血症の原因として最も多いのは肝臓障害ですが、非肝臓性として上述の尿素サイクル異常症の他に、ウレアーゼ産生菌による尿路感染症や薬剤の影響があります。各種てんかん・躁状態の治療や片頭痛の予防に使われるバルプロ酸ナトリウム(デパケンなど)では、約半数に無症候性の高アンモニア血症が起こっているとの指摘もあります。肝性脳症などを考えた時には測定するアンモニア濃度ですが、測定対象を広げた方が良さそうです。なお、アンモニア測定時には、アンモニア濃度に影響する食後や運動後を避けてアンモニア専用容器に採血し採血後すぐに上清を分離しなければなりません。

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平成南町クリニック  玉田