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オミクロン株対応ワクチンは有用なのか?

9月12日に厚生労働省はファイザー社とモデルナ社のオミクロン株対応ワクチンを特例承認しました。
この2価ワクチンは、今の日本においては殆ど検出されない起源株とオミクロンBA.1株のそれぞれのスパイクタンパクをコードするmRNAを人体に注入するものです。

アゴラ言論プラットフォーム2022年8月24日で、元名古屋大学小児科教授の小島勢二氏が「オミクロン対応ワクチンの実力」と題してコラムを書いています。モデルナ社の資料において、2価ワクチン接種後のBA.1に対する平均中和抗体価は2372で、起源株対応ワクチン接種後の1473に比べ1.6倍であったが、BA.4/BA.5に対する平均中和抗体は727で期待する上昇はなかったと。 感染者数と発症者数は2価ワクチン後11人(3.2%) 5人(1.5%)であり、起源株ワクチン接種後の5人(1.8%) 1人(0.4%)よりも多かった。オミクロン株対応ワクチンへは期待外れであった。オミクロン対応ワクチンの接種が始まる今秋には、さらに別の変異株が流行する可能性も高く、難しい判断が迫られていると結んでいます。

ファイザー社は2022年8月段階に、55歳以上の1200人でのデータとして、2価ワクチンは起源株対応ワクチン接種後に比べBA.1に対する抗体価が1.56倍多く、BA.4/BA.5に対する抗体価も上昇していたと発表していますが、なぜかBA.4/BA.5に対する抗体価の数値の発表はしていません。

厚生労働省 医薬審査管理課長の吉田易範氏は、9月18日の部会後記者説明にて「起源株・BA.1対応ワクチンはBA.4,BA.5に対しても抗体かは上がる」とだけ述べ、具体的数値には言及していません。

北里大学の中山哲夫特任教授は、オミクロン対応ワクチンへの期待はというNHKの質問に答えて(2022年9月5日NHK首都ナビ)「いまは感染者が減らず、死亡者が増えている。オミクロン株対応のワクチンなので、重症化予防と同時に、感染を抑え込み、穏やかであっても感染者数が減少傾向を示す期待ができると思う」と返答しています。「期待する」のは自由ですが、実際の臨床的データに基づいたデータがなければ医学的に判断できません。また、2社のワクチン添付書の効果効能欄には、「SARS-CoV-2による感染症の予防」としか書かれていませんので、それ以外の効能、即ち重症化抑制や有症状期間の短縮などを暗示的にでも効果として言うのは薬事法違反です。そして、それ以前の疑問として、2社ともに2価ワクチン接種の臨床データを一切公表していないにも関わらず効果効能に「SARS-CoV-2による感染症の予防」を記載することがどうして許されたのでしょうか? 添付文書の臨床疫学データは起源株ワクチンについてのみです。

9月13日のANNニュースで、日本小児感染症学会理事長の森内浩幸長崎大学大学院教授は、2価ワクチンの解説で、「BA.1に対する抗体価の上昇が従来株ワクチンの1.56倍、1.75倍あったが、それがそのまま感染を防いだり発症を防いだり重症化を防ぐ数値として反映されるものではなく、それを明らかにしたデータは出ていない」と述べています。そして「しかし(BA.1は)BA.5によく似たウイルスなので、これまでのワクチンよりは期待できる」と感想を述べています。(データは無いので単なる感想です。マスコミに登場される感染症専門家の多くは実際のデータは示さずに「期待できる」という感想だけ言うのですね)
NEWSポストセブン2022年9月11日にも記載してありましたが、「そもそも中和抗体の値が増えるからといって、感染防止に直結するとは限らない。ウイルスの種類によっては、抗体がかえって感染を助長させ、重症化を招くこともあり、新型コロナがこのタイプに変異したことも否定できない。」 まさにその通りと思います。

我々人類は、大昔からコロナウイルスに対抗するのに抗体上昇(液性免疫)よりも細胞性免疫を獲得する戦略をとってきています。その方が、抗体依存性感染増強(ADE)を回避できるからだ思われます。

mRNAを肩の筋肉に注入して、そこでのみスパイクタンパクが産生され局所で免疫細胞が抗体産生を行う、注入されたmRNAはほどなく分解されDNAに組み込まれることはない と言う触れ込みで始まったmRNAワクチンです。しかし、ワクチンによって生成されたスパイクタンパクが帯状疱疹皮疹部や血管病変部に証明されています。ワクチン接種後も感染後と同様にスパイクタンパクによって血管病変が生じ血栓症などを引き起こしているという事実が集積され始めました。また、ワクチン後の自己免疫疾患増加の理由としての「スパイクタンパクを発現した細胞を自らのキラーT細胞が攻撃する」という仮説が現実味を帯びてきています。

まだ解っていない副作用もあると思えば、小児へのmRNAワクチン接種は慎重にも慎重さが望まれます。
アゴラ言論プラットフォームで、 小島勢二氏は、
2022年9月15日 「5歳から11歳のこどもに新型コロナワクチン接種を推奨する根拠は?」
2022年9月17日「 5歳未満の小児に新型コロナワクチンの接種は必要か?」
を解説しています。是非閲覧してください。

平成南町クリニック 玉田


追加
「コミナティRTU筋注」の添付文書の21.承認条件 21.4に以下の文章があります。
本剤の接種に際し、
本剤の有効性及び安全性については今後も情報が集積されることを踏まえ、
あらかじめ被接種者又は代諾者に
最新の有効性及び安全性に関する情報が文書をもって説明され、
予診票等で文書による同意を得てから接種されるよう、
医師に対して適切に説明すること。

接種を希望される方は、「最新の有効性及び安全性に関する情報」を文書で確認されますようお願いします。