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血管炎

なかなか治らない指先のごく小さな皮膚潰瘍の方がおられましたが、膠原病内科でクリオグロブリン血症性血管炎あるいは強皮症(膠原病の一種)の疑いと診断されました。
一般的な内臓疾患に比べ血管炎やまれな膠原病の診断名を思いつくのは難しいです。
2月14日に第3回倉敷リウマチフォーラムで倉敷中央病院の内分泌代謝・リウマチ内科の西村啓佑先生の「不明熱に潜むリウマチ・膠原病疾患」の講演会がありました。急速に肺病変が進行して致死的になる膠原病(抗MDA5抗体陽性の無筋症性皮膚筋炎)や失明などの重大な状態になってしまう血管炎(巨細胞性動脈炎)などの注意すべき疾患の解説を分かりやすくして頂きました。結核症などの感染症に伴う血管炎や筋炎もあるとのことで血管炎・膠原病を疑っても感染症による病変の除外が必要である事を強調されていました。
血管炎や膠原病は皮膚症状を含む多彩な症状や所見が見られますが、発熱や風邪様症状のみが続いていて典型的な症状が揃わない時期に疑うのは、経験がないとなかなか困難と思われます。逆に様々な症状・所見が多く有り過ぎて多種類の疾患を考えてしまうこともあります。最近では膠原病に特異的な自己抗体の検査ができるようになっていますが、それらが陽性になる疾患を知っていてその疾患を思い浮かべることが出来なければ役立ちません。
日々の診療の中で、原因のはっきりしない発熱や風邪様症状が続く方の診断がつかないまま本当の原因を見逃している可能性もあります。一般内科では血管炎の患者さんや頻度の少ない膠原病の患者さんに出会う事が稀なので、講演会や症例集などで多くの疑似体験を得たく思っています。

平成南町クリニック 玉田