そうだったのか! 緑内障の真実

深作眼科 深作秀春著「緑内障の真実」光文社新書 2022年6月30日初版第1刷を読みました。

緑内障を「眼圧が高くて視力・視野が減少する疾患で、正常眼圧の場合もある」と認識していましたが、ほとんど間違いであり、以下のことに気付かされました。(以下 すべて同書からの引用です)

〇緑内障の本質は網膜視神経節細胞複合体の障害で、様々な原因で起こる視神経障害を含む病気の集まりである症候群と言える

〇正常眼圧10~20mmHgは、角膜の厚みが600ミクロンのドイツ人の測定結果である。日本人は平均550ミクロンであり個人差があるので測定眼圧値を角膜の厚みで補正する必要がある(正常眼圧だから緑内障は進行しないはずで大丈夫というのは誤り)

〇日本人では(進行期に診断されることが多いが)高眼圧緑内障は3割で、残りの7割は正常眼圧の緑内障
正常眼圧で緑内障になる原因は、視神経への機械的圧迫(強度近視を含む)、血流障害(全身疾患を含む)、ミュラー細胞(視神経細胞を保護するグリア細胞)のグルタミン酸トランスポーターの機能異常などがある

〇合剤点眼薬は点眼回数を減らせるが保存剤ベンザルコニウム濃度が高く角膜上皮障害のリスクがある

〇閉塞隅角緑内障への安易なレーザー照射治療は却って悪化させたり角膜上皮障害を起こすので不可

〇点眼や緑内障手術が効果を発揮できずに視力低下進行がある人でも、ナイアシン(ビタミンB3)を主体とするサプリメントで視力の回復が得られる場合がある。他のサプリメントとしては、総合ビタミンB、ビタミンE、ビタミンA、 ビタミンD、ビタミンC、亜鉛、アスタキサンチン、セレン、コエンザイムQ、Lアルギニン(アミノ酸の一種で血管内皮細胞が産生する一酸化窒素の原料になる)、Lシトルリン(アミノ酸の一種でLアルギニンに変化する)などがある

著者は、これらのサプリメント治療で (P294) 従来の医学的知識である「失われた視神経機能は二度と回復しない」との医学常識が、実は間違っていたことがわかりました。 と強調されています。 (引用終わり)

クリニックに受診されている方々で緑内障治療中の方は多くおられます。診断や経過の評価は当院ではできませんが、緑内障に対しての生活習慣改善やサプリメント効果の紹介等での関与はできるのではないかと考えています。

平成南町クリニック  玉田