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尿の電解質から判ること

血液(血清)中のナトリウムNa、カリウムK、カルシウムCa、マグネシウムMgなどの電解質異常がないかどうかは一般的検査として日常的に行います。異常値だった場合は、その是正が必要かどうか、原因は何かを考えて治療を行います。原因を追究することなくただ補正のみを行えばいいというものではありません。原因を区別する場合に役立つのが尿中の電解質です。また、高血圧治療の基本として食塩制限がありますが、1日に何グラムの食塩を摂取しているかを、尿のNa、クレアチニンCr、体重、年令から推定計算できます。

低Na血症の原因鑑別 
まず尿浸透圧で区別しますが、尿のNa、K、尿素窒素BUN、Ca、Crで概算できます。
次に、尿Na濃度で区別して行きます。(最終診断には別の項目が必要です)

高K血症・低K血症の原因鑑別
腎臓からのK排泄量を評価することによって原因を絞り込むことができます。
尿のK、Crと 血清K、Cr、血糖、BUN を調べて計算します。
治療がうまく出来ているかどうかの評価にも役立ちます。

高Ca血症・低Ca血症の鑑別
正確には蓄尿でのCa濃度が必要ですが、原因の区別に役立ちます。

自尿の採れない場合には、導尿が必要になりやや侵襲的検査になってしまいますが、電解質異常の原因を考えながら治療する方がより早く治せるはずです。特に意識障害や脱力発作、重篤な不整脈などの緊急事態に際しては尿の電解質も是非調べましょう。
平成南町クリニック  玉田