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「糖質過剰」症候群

光文社新書の「糖質過剰」症候群(新川新道整形外科病院 副院長 清水泰行医師著)を読みました。
高血糖・インスリン過剰・インスリン様成長因子(IGF―1)過剰・最終糖化産物(AGEs)がキーワードです。
これらが様々な疾患の原因や誘因になっているという大胆な仮説です。インスリンやインスリン様成長因子の過剰は、インスリン受容体やインスリン様成長因子受容体の抵抗性を増やして作用を減弱してしまいます。これらの原因は言うまでもなく過剰な糖質摂取です。おそらく正しいと感じます。
以下のような疾患が挙げられています。
肥満 糖尿病 メタボリックシンドローム 認知症 パーキンソン病 うつ病やその他の精神疾患 心臓・脳の血管疾患 非アルコール性脂肪肝 各種の癌 子宮筋腫・子宮内膜症 月経困難症 不妊症 妊娠糖尿病 前立腺肥大症 白内障・緑内障・加齢黄斑変性・近視 骨粗鬆症 変形性関節症 脊柱管狭窄症 黒色表皮腫 脱毛症 乾癬 ニキビ 片頭痛 難聴 逆流性食道炎 甲状腺機能低下症など。

糖質過剰の中でも果糖の毒性について力説してあります。100%天然果汁は危険な飲物と認識すべきです。

糖質は脳への依存性があり過剰摂取がなかなか是正できません。甘いお菓子の誘惑は誰しも感じているでしょう。危険を知りつつ過剰には気を付けたいものです。病気に罹る危険性を最も少なくするには糖質をなるべく摂らないようにすることになります。(必須アミノ酸や必須脂肪酸はありますが、必須糖質はありません。)糖質制限でケトン体が増えケトーシスになりますが、これとインスリン不足時のケトアシドーシスは別物です。

糖質とは、炭水化物から食物線維を除いたものです。糖質には糖類(単糖類=ブドウ糖・果糖・ガラクトース、二糖類=砂糖・麦芽糖・乳糖)と、三糖類(オリゴ糖など)、多糖類(でんぷんなど)および糖アルコール(キシリトールなど)があります。糖質は、ごく一部を除き過剰に摂取すれば「糖質過剰」を起こしうるものです。

平成南町クリニック  玉田