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ケトン体が人類を救う

宗田マタニティクリニック院長 宗田哲男 著『ケトン体が人類を救う』光文社新書(2015年11月20日発行)の、「あらかじめのまとめ」で書かれている、現在の栄養学の間違っている6つの神話を紹介します。

1.カロリー神話
血糖値とカロリーには、何の関係もないにもかかわらず、カロリー制限で糖尿病を治そうとする矛盾。糖質量に注目して管理すれば薬を使わなくても血糖値を管理できる。

2.バランス神話
バランスよくと言って、炭水化物を60%も摂らせ、蛋白質、脂肪はそれぞれ20%。この栄養比には(日本糖尿病)学会も認めるように、なんら根拠がない。金科玉条となってすべてを拘束している。

3.コレステロール神話
必須栄養素を満たすには、肉や卵やチーズはもっとも簡単な食品だが、肉や脂肪は「コレステロールが上がるから食べ過ぎないように」と教えられている。この考えはついに公式に否定された。(厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2015年4月改訂」で食事からのコレステロールの摂取抑制目標を撤廃)

4.脂肪悪玉説(肉・動物性食品悪玉説)

5.炭水化物善玉説(野菜・植物性食品善玉説)
肥満は脂肪が原因とほとんどの人がそう信じているが、これこそ間違いで、肥満は糖質過剰摂取で起こる。

6.ケトン体危険説
ケトン体が危険な物質であるというのは、20年前の知識。前世期の遺物。ケトン体は胎児、新生児のエネルギー源であって、健康とアンチエイジングのエネルギー源である。食事の糖質を減らすと血中のケトン体が上昇して、糖尿病専門医は「危険だ」「子どもの知能が低下する」と大騒ぎをする。しかし胎児は高ケトン環境にあり、ケトン体が危険な物質ではなく、胎児は糖質を必要としていない。

宗田医師は専門の産科において「妊娠糖尿病」を低糖質食で管理し、インスリンを使用しないで安全な出産を実践しています。ケトーシス(生理的ケトン体上昇)とインスリン作用が欠落している時の糖尿病ケトアシドーシスとは異なる状態であり、これらを混同する間違いを指摘しています。
上記の6つの神話には入れてありませんが、次の間違い神話も付け加えたいです。

脳はブドウ糖しかエネルギーとして利用できない説
脳細胞は主としてブドウ糖をエネルギー源としますが、通常でも20%はケトン体を使用しています。(ハーバー生化学) 完全脂肪食(エスキモー)数週間後には脳は50~75%のエネルギーを脂質(ケトン体)から得る事ができます。(ガイトン臨床生理学)
新しく判明した事実を理解して、それまでの誤った内容を素直に反省する勇気を持ちたいものです。

平成南町クリニック 玉田