原発性アルドステロン症

ketuatu高血圧症の5~20%は、原発性アルドステロン症によると言われています。

アルドステロンはホルモンの一種で副腎皮質から分泌されていますが、副腎皮質の病変により過剰に分泌されているのが原発性アルドステロン症です。 アルドステロンが過剰に分泌されると、ナトリウムが体内に貯留して体液増加で高血圧になり、低カリウム血症、代謝性アルカローシスや臓器障害(脳出血・脳梗塞・心筋梗塞・心肥大・腎不全など)を起こします。次のような高血圧症の場合に本症が多いとされます。
① 血圧が160/100mmHg以上 ②治療抵抗性 ③低カリウム血症を伴う ④副腎腫瘍がある ⑤40歳以下で脳卒中を起こしたことがある ⑥両親が本症 ⑦糖尿病を伴う
副腎病変を切除することによって高血圧を治癒させることが出来るので、診断を確立することは重要です。

1週間続く咳で当院を受診された38歳の男性の血圧が171/113でしたので原発性アルドステロン症を疑い、血中のレニン・アルドステロンを測定しました。アルドステロン値が273.5ng/dLで200以上、レニン活性1.0ng/mL/hで1以下、アルドステロン/レニン比が273.5で200以上でした。低カリウム血症はみられませんでしたが、副腎皮質ホルモンのコルチゾール値は正常範囲であり、原発性アルドステロン症の可能性が非常に高いため内分泌専門外来を受診して頂きました。
画像検査では副腎に腫瘍性病変は認められなかったのですが、内分泌の確認検査で原発性アルドステロン症が確定しました。左右の副腎静脈からのカテーテル採血検査を行って、どちらの副腎がアルドステロンを過剰分泌しているかを確認し、その副腎を切除する治療選択肢もありますが、その方は手術療法を希望されずその検査は未施行です。確定診断後、抗アルドステロン作用薬とカルシウム拮抗薬による降圧治療を受けておられます。

高血圧症は原因不明の本態性高血圧症と、原因の明らかな二次性高血圧症に分けられます。できるだけ原因を明らかにしながら高血圧治療をおこなっていきたいと考えています。

平成南町クリニック 医師