パーキンソン病の薬と吸収

パーキンソン病は大脳のドパミン神経が脱落してドパミンという神経伝達物質が欠乏することで様々な症状が出現します。その欠乏したドパミンを補充するため、ドパミンの前駆物質であるL-ドパを投与します。L-ドパは主に十二指腸から小腸の上部で吸収され、脳に達するには血液脳関門を通って移送されて、ドパミン神経細胞に取り込まれてドパミンとなります。中枢神経にドパミンが運ばれるとパーキンソン病患者さんの運動障害の改善につながります。

このL-ドパは食事や飲み物によって、小腸からの吸収量や吸収時間に差が出たり、脳への移送に影響を受けたりすることが知られています。L-ドパがその吸収部位である十二指腸から小腸の上部に達するまでの時間経過が大切で、胃から排泄される時間が長引くほど吸収が悪くなって症状改善が得られにくくなると考えられています。便秘していたり、脂肪の多い食事を摂ると食べ物も薬も胃からの排泄時間が長くなり吸収量低下が起こります。このため便秘は解消しなくてはいけませんし、腸の蠕動運動を促す薬を併用することがあります。便をしっかり出して、食べ物や薬が胃から大腸までスムーズに流れていくようにすると吸収がよくなり、薬の効果が得られやすいというわけです。錠剤を粉砕したり、空腹時やレモン水などの酸性の飲料と一緒の服用もいいようです。

また、タンパク質がドパミンの効き目を悪くするという意見もあり、海外では日中にタンパク質を極力控え、夕食にまとめて食べるという方法もあります。しかし、高齢者はサルコペニアになりやすく、特に動きの悪いパーキンソン病の方には筋肉量低下は大問題なのでタンパク制限は行わない方がいいでしょう。

薬の効果を高めるため、吸収についても意識しながら、食事面からもニューロモデュレーションセンターのサポートが出来るよう、管理栄養士も頑張っていきます。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 管理栄養士
A子



関連記事

  1. パーキンソン病に対する新しいデバイス治療―L-ドパ持続皮下注…

  2. 食事は規則正しく?いえ臨機応変に。

  3. パーキンソン病の症状について

  4. 社会医療法人榮昌会吉田病院 脳神経外科 友金 祐介先生が倉敷…

  5. パーキンソン病WEB市民公開講座を開催しました

  6. 舞鶴医療センター脳神経外科 大井雄太先生が倉敷ニューロモデュ…

最近の記事

PAGE TOP