【脊髄刺激療法の新たな刺激②~BurstDRTM刺激~】

脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation: SCS)は、慢性疼痛に対する治療選択肢として広く用いられています。2025年10月のブログではSCSの概要を紹介しましたが、第2弾となる今回は BurstDR™刺激 について取り上げます。
① BurstDR™刺激とは
BurstDR™刺激は、ダーク・デ・リダー(Dirk De Ridder)博士が約10年にわたり研究を重ねて開発した刺激方式で、体内の自然な神経発火パターンを模倣した「バースト(断続的)」パルスを用いる点が特徴です(図1)。名称の「DR」は、開発者であるDe Ridder博士の頭文字に由来しています。
② BurstDR™刺激の特徴と効果
BurstDR™刺激は、身体的な痛みだけでなく、痛みに伴う情動的苦痛にも作用することが報告されています1)。体幹・四肢、あるいはその両方に生じる難治性慢性疼痛に対して有効性が確認されています。主な特徴として、以下の点が挙げられます。
・ トニック刺激に対する優越性3)
・ パレステジア(しびれ感)の軽減4)
・ トニック刺激よりも多くの患者が好む傾向4)
・ デバイスまたはシステムに関連する有害事象の報告4)
③ 開発者との対談
2023年の第62回日本定位・機能神経外科学会では、開発者であるDe Ridder博士と直接対談する貴重な機会をいただきました(図2)。
BurstDR™刺激の開発経緯、設定条件、そして今後のSCSの展望について伺い、SCSに長年携わる者として非常に意義深い時間となりました。BurstDR™刺激は、慢性疼痛治療におけるSCSの可能性をさらに広げ、従来の刺激で十分な効果が得られなかった患者にも新たな選択肢を提供する重要な刺激プログラムといえます。(第62回日本定位・昨日神経外科学会参加報告
④ 新たな刺激装置の登場
昨年より、BurstDR™刺激に対応した新しい刺激装置が販売開始されました(図3)。※参考サイト主な特徴は以下の通りです。
・ iPhoneとBluetoothを用いたワイヤレス操作
・ 遠隔診療への対応
・ 刺激電池の小型化
・ 充電式による長期植込みが可能

当院では、国内で販売されているすべてのSCS治療に対応しています。今後もSCS治療に関する最新情報を発信していきます。

【参考文献】
1. De Ridder et al. Mimicking the brain: evaluation of St Jude Medical’s Prodigy Chronic Pain System with Burst Technology. Expert Review of Medical Devices. 2015;12(2):143–150.
2. Deer T et al. Success Using Neuromodulation With BURST (SUNBURST) study: Results From a Prospective, Randomized Controlled Trial Using a Novel Burst Waveform. Neuromodulation. 2018;21(1):56–66.
3. De Ridder et al. A 2-center comparative study on tonic versus burst spinal cord stimulation. The Clinical Journal of Pain. 2015;31(5):433–437.
4. De Ridder et al. Burst spinal cord stimulation. Neurosurgery. 2010;66(5):986–990.

倉敷平成病院 臨床工学科 主任 臨床工学技士(CE)
髙須賀 功喜
平成19年 広島国際大学保健医療学部臨床工学科卒業
学会・資格等
・ニューロモデュレーションサポートプロバイダー
・パーキンソン病療養指導士
・3学会合同呼吸療法認定士
・日本救急医学会認定ICLSインストラクター
・日本定位・機能神経外科学会
・日本ニューロモデュレーション学会 など



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