パーキンソン病のデバイス補助療法について、牟礼センター長と菱川望先生のオンライン講演会報告

2023年5月22日にアッヴィ合同会社主催【岡山県PD講演会~Device Aided Therapyの過去・現在・未来~】がオンラインで開催され、当院牟礼センター長脳神経内科部長菱川望先生が講演を行いました。パーキンソン病(PD)のデバイス補助療法(DAT)として外科的治療の脳深部刺激療法(DBS)と内科的治療のレボドパ・カルビドパ経腸療法(LCIG)があります。今講演会は既存のDAT療法と新たなDAT療法について実施されました。

牟礼センター長は「アダプティブDBSの臨床像について」としてDBSの新たな刺激治療方法である【アダプティブDBS】について、刺激調整方法や臨床使用状況について詳しい内容でした。菱川望先生は総合ディスカッションにて2名のPD患者、1名はDBSを実施した患者、もう1名は今後DAT療法を行うにはどれを選択するべきか提示し、パネリストとディスカッションを行いました。
宇多野病院臨床研究部長の脳神経内科大江田知子先生より「進行期PD治療におけるレボドパ持続皮下注入療法」として、これから日本でも治療が開始予定である新たなDAT療法である【レボドパ持続皮下注入療法】について国際共同第Ⅲ相試験データについて詳しい内容を話していただきました。
 PDにおけるDAT療法において深く勉強できた講演会となりました。PD治療は日々、様々な薬剤や治療が誕生しています。引き続き、講演会を通じてPD治療に関わる方々に還元できるよう努めて参ります。

※デバイス補助療法 (DAT:Device Aided Therapy)
パーキンソン病の治療を5~10年続けているうちに、ウェアリングオフやジスキネジアなどの運動合併症が出てくるなど、十分な治療が難しくなることがあります。
従来の薬物療法を行っても十分な効果が得られない場合に検討されるのが、デバイス補助療法(DAT:Device Aided Therapy)です。DATには、専用ポンプとチューブを使って薬剤の吸収部位である小腸に直接持続的に薬剤(L-ドパ)を送り届けるL-ドパ持続経腸療法と、手術により脳の深いところに細い電線を挿入し、電気信号(パルス)を送ることによって脳を刺激し症状の改善をはかる脳深部刺激療法(DBS)があります。パーキンソン病に対しての具体例としては、脳深部刺激療法(DBS)、レボドパ・カルビドパ配合経腸用液療法、ホスレボドパ・ホスカルビドパ水和物持続皮下注、アポモルヒネ皮下注といったものがあります。

レボドパ持続皮下注入療法についての説明(外部サイト)

※菱川望医師(倉敷平成病院脳神経内科部長 山陽新聞掲載)

臨床工学科 主任
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