すくみ足で転倒しないために!歩行で意識することと介助方法~パーキンソン病患者説明会より~

すくみ足は転倒する大きな要因です。すくみ足という症状を知り、対策をしっかり考えることで日常生活で転倒する頻度も減ってくるはずです。

●すくみ足が出現しやすい場面
①歩行を開始する時
止まっている状態から歩行開始時に1歩目が出にくくなります。
②身体の向きを変える時
方向転換の際に足が出にくくなります。特にその場での方向転換で出現しやすいです。
③歩いている時
気が散ったりすると足が止まってしまったりします。
④椅子などに近づいた時
目的の場所が見えたり、近づいた時に足が出にくくなります。

●すくみ足が出現している時の状態
①踏み出した足が踵から接地していない
つま先から接地してしまい、上半身が前方に倒れやすくなります。
②突進歩行になる
前方に突進するような歩行になり、ブレーキがきかなくなります。
③上半身が前方に倒れそうになる
上半身が前に進もうとしているが足がついてこず、前方へ倒れそうになります。
④焦ってしまう
足が出ないことにより焦りが生じてしまいます。

すべて当てはまる人もいれば、そうでない人もいると思います。
自分のすくみ足を理解するために、しっかり思い出して整理してみましょう。

●すくみ足対処法
①大股歩行
すくみ足が出現している時は歩幅がかなり小さくなっています。普段から大股歩きを意識しましょう。
②踵接地を意識する
踵接地をしっかり行うとすくみ足は出現しません。意識して行うことですくみ足が軽減することがあります。
③片足立ちをする
手すりなどを持って片足を上げます。上げた足を前方に踵から接地することで歩行開始しやすくなります。
④リズムをとる
1.2.1.2とリズムをとると足が出やすくなります。理想は60秒で100回程度のペースが歩きやすいと言われています。
⑤横に体重移動する
横に体重をよせると反対側の足が上がりやすくなります。足が上がればそのまま前方に踏み出すことで歩き出せます。
⑥目印をまたぐ
またぎ動作で足が出やすくなります。床にテープなどを貼ると歩きやすくなります。

人によってやりやすい対処法は変わります。
自分に1番効果のある対処法を理解しておくことが重要です。

●すくみ足が出現した時の対処法
①一旦立ち止まる
強引に歩こうとすると転倒してしまいます。一旦立ち止まってから対処法を実践して歩行開始して下さい。
②手すりなどを持つ
支持物になるような物があればすぐに掴んで下さい。安定した状態で対処法を実践しましょう。
③落ち着いて深呼吸
焦りは判断を鈍らせてしまいます。一度深呼吸して冷静になりましょう。
④対処法を思い出す
自分流の対処法を持っておくと、すくみ足が出ても焦ることはないです。

●すくみ足の介助方法
①前方介助
前からリズムをとってあげると歩行しやすくなります。
②側方介助
少し横揺れするように介助することで足が出しやすくなります。
③後方介助
前方への転倒リスクが高いためおすすめしません。

●すくみ足を予防するための運動
①アキレス腱をしっかり伸ばす
踵から接地するためにはアキレス腱の柔軟性が必要です。普段からストレッチして起きましょう。
②足をしっかり上げて片足立ち
支持物などに手を添えて足を上げる練習を行いましょう。しっかり足を上げる感覚を自分で掴んでおくことが大事です。

●歩行補助具について
①杖歩行
立って、手を下ろした状態で手首のあたりの高さに設定します。すくみ足や突進歩行がある場合は不向きです。
②ノルディックポール
立って腕を身体につけ、肘を90°曲げた状態から握りこぶし1個分下の高さに設定します。歩行中の姿勢を維持しやすく、ウォーキングには最適です。
③歩行器歩行
身長÷2+5~10cmの高さに設定します。すくみ足や突進歩行が強い場合は必ずブレーキ付きのものにしましょう。

この内容は2024年5月11日に倉敷平成病院で開催されたパーキンソン病患者説明会で講演した内容になります。また近日公開予定のパーキンソン病パンフレットにも記載していますのでチェックしてみて下さい。いろいろな対策を考え、実践して自分にどれが合っているを確認することで転倒は確実に減っていくはずです。自分のすくみ足対策をしっかりと考えておきましょう。
理学療法士 新免利郎

理学療法士
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