効果を実感した治療 ~DBS 脳深部刺激療法~

私は当院で作業療法士として勤務しており、回復期リハビリテーション病棟から一般病棟への異動に伴い、この4月からニューロモデュレーションに関わらせて頂いています。

ニューロモデュレーションセンターには手術、定期検査、刺激調節、電池交換などあるゆる目的で患者様が入院してこられます。私たち作業療法士はこれらの目的で入院された患者様の手の検査や入院中のリハビリを担当させて頂いています。

ニューロモデュレーションに関わらせて頂いて私が最初に驚いたのは、その治療効果です。私が初めてそれを目にしたのは、検査を行うタイミングの一つであるOFF検査でした。薬やDBS刺激を止めた状態(OFFの状態)と、薬や刺激の効果が得られているベストな状態(ONの状態)の運動機能や日常動作を比較することで、その効果を判別する検査です。
患者様によって変化は様々ですが、薬や刺激を止めることによって、振戦やジスキネジアなどの症状が増強したり、起き上がりや歩行などの動作が難しくなる方もいます。即ちこれは薬や刺激によって症状が抑えられ、活動が行いやすくなっているということであり、治療の効果を表しているのです。これまでにもパーキンソン病の患者様を担当させて頂く機会はありましたが、その時の印象は今でも強く心に残っています。

ところで皆さんは、作業療法士の“作業”が何を意味するかご存じでしょうか?
「食事をする」「顔を洗う」「着替えをする」「料理をする」「文字を書く」など、皆さんが日常生活を送る上で行っていること全てが“作業”にあたります。
先述したように、ニューロモデュレーションセンターでは、入院患者様にリハビリを行わせて頂いています。その際、「箸が使いにくい」「文字が上手く書けない」「ボタンがなかなか留められない」など、作業を行う上での不自由さや困難さが聞かれることが多くあります。私たち作業療法士は身体機能の改善を図ると共に、患者様一人一人の生活に合わせて、必要な“作業”がより円滑に行えるようサポートさせて頂いています。

ニューロモデュレーションセンターに来られる患者様の多くは、長年その症状と共に生活してこられた方が多く、中には、私の作業療法士としての経験年数を何倍も上回る歳月を症状と共に過ごされてきた方もいらっしゃいます。そのため、最新の治療や薬物療法など知識が豊富な方が多く、治療効果への期待もより一層高いように感じます。
約4ヶ月間ニューロモデュレーションに関わらせて頂き、自分が担当をさせて頂いた患者様の症状が改善したり、それを嬉しそうに話してくださる患者様をみると心底嬉しく感じます。
私自身、ニューロモデュレーションに対する知識や経験はまだまだ浅く未熟ですが、患者様によりよい治療を提供し、患者様の期待に応えられるよう、今後も研鑽に努めていきたいと思います。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 作業療法士
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