DBS患者家族会 開催報告

11月16日(土)、倉敷ニューロモデュレーションセンター主催の「DBS患者家族会」が当院リハビリセンターを会場に開催されました。患者28名とご家族29名、合計57名の皆様にご参加いただきました。初めての開催ということもあり、岡山県を中心に近隣県から患者さんとご家族を対象として行われました。

DBS患者家族会の目的は、DBS手術を受けられた患者さんやご家族同士の交流を深めるとともに、術後の経過や今後の対応について医療提供者や介護者を交えて情報を共有することです。

講演プログラム

最初に牟礼英生センター長が「パーキンソン病のDBS後について考える」というテーマで講演を行いました。パーキンソン病の進行を早期・進行期・後期に分け、それぞれの症状と治療法についてわかりやすく説明しました。また、DBS手術の効果について、振戦やジスキネジア、薬剤の減量が術後15年間で5割以上改善を維持する一方、姿勢障害や嚥下障害などの体軸症状には改善度が低いというDBSの課題についても触れられました。
さらに、パーキンソン病におけるACP(アドバンス・ケア・プランニング)についても詳しく解説されました。ACPは人生会議とも呼ばれ、将来の変化に備えて患者さんを主体に、ご家族や医療従事者が繰り返し話し合い、意思決定を共有するプロセスを指します。特にパーキンソン病においては、進行に応じた対応が求められることから、疾患に特化したACPの必要性について具体例を挙げて説明されました。
続いて、野村副主任(作業療法士)「パーキンソン病と付き合う~生活の工夫~」をテーマに講演を行いました。パーキンソン病患者が日常生活で感じる動作上の困難について事例を挙げながら、リハビリテーションの観点から改善策を提案しました。例えば、歩きにくい場合には腰や足の動きを意識する、動作過程を単純化するなど、日常生活を工夫しながら継続する重要性をわかりやすく説明しました。

グループワークと交流
最後、グループ別に、参加者全員で自己紹介を含め、「DBS治療の良かった点・悪かった点」や「将来に向けた思い」について意見交換を行いました。グループ内での対話が進む中、患者さんとご家族同士の交流が深まり、会場内は終始活気にあふれていました。

アンケート結果と今後の展望
アンケート結果では、次回の開催を希望する声が多く寄せられました。今回の患者家族会が有意義であったことを受け、定期開催を検討していく予定です。
今後も倉敷ニューロモデュレーションセンターでは、多職種が連携し、患者さんとそのご家族に充実したサポートを提供できるよう努めてまいります。

臨床工学技士
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