食事で抗炎症

怪我や発熱で細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入すると、免疫細胞がそれを除去し、身体を守り、治そうとします。そのときに起こるのが炎症性反応で、身体を健康に保つために必要な反応です。しかし、炎症の反応が強く出すぎると、免疫細胞が健康な細胞まで攻撃して炎症が悪化することがあります。内臓や血管で起きた慢性的な炎症は自覚しづらいのですが、動脈硬化、糖尿病、ぜんそく、関節リウマチ、認知症など、さまざまな病気につながる原因にもなります。

パーキンソン病の場合は、脳内の炎症がαシヌクレインという物質の沈着を起こし、それが原因となって脳の神経細胞が変性するので、やはり炎症が関わっているといえます。脳の炎症はうつなどの精神的症状や認知機能の低下などの原因になったり、慢性炎症に対しコルチゾールが過剰に分泌されると海馬の萎縮につながります。

炎症が起きたときにその炎症を鎮める作用のことを「抗炎症作用」と言います。痛みや発熱などの急性炎症は薬で炎症を抑えたり、修復することも可能ですが、慢性炎症によって損傷を受けた臓器は修復が難しいとされているため、慢性炎症をなるべく起こさないようにすることが大切です。その対策のひとつは日々の食事の工夫です。

海外では野菜、果物、ナッツ、魚介類を多く食べる方が慢性炎症を抑えやすいと言われており、「抗炎症食」という考え方があります。抗炎症力の高い食材は以下のとおりです。
・野菜   ブロッコリー、スプラウトなど、葉物野菜
・果物   ブルーベリー、イチゴ、オレンジなど
・魚    EPA、DHAを多く含む 鮭、サバ、イワシなど
・油    エクストラバージンオリーブオイル、アボカド、ナッツ、亜麻仁油など
・緑茶
そして加工食品や高脂肪の肉、高糖分の菓子、アルコールは控えめに、というものです。地中海食と近い考え方だと思います。
とはいえ、偏ったものだけ食べていてもいけません。主食、タンパク質、野菜をバランス良く、規則正しい時間に食べ、水分をしっかりとりましょう。
睡眠不足や運動不足、ストレスをためすぎるのもダメです。炎症を起こしにくい食生活を意識してみてはいかがでしょうか。

食事面からニューロモデュレーションセンターのサポートができるよう、管理栄養士も頑張っていきます。
※写真はイメージです(写真AC)

管理栄養士
A子



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