パーキンソン病とレム睡眠行動障害(RBD)

パーキンソン病を発症する前に現れる症状として、便秘、嗅覚異常、睡眠障害があります。過去のブログで便秘(2021.6)、嗅覚(2022.6)に触れましたので、今回は睡眠障害についてのお話です。

睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠に分けられます。
夢を見るのはレム睡眠の時です。起きている時は手足が自由に動くのに対して、レム睡眠期には筋緊張が低下して体がゆるんでいるので、夢を見ている時にも手足は動かないのが普通です。ところがレム睡眠行動異常症(RBD)の人では筋緊張を抑制する神経の働きが低下して筋肉がゆるまず、夢を見ていても体が動かせる状態になり、見ている夢に合わせて体が動いてしまうのです。しかも、その夢が怖い夢だったりするので、大声を上げたり、起き上がったり、殴ったり蹴ったりケガをすることもあります。本人は夢の内容をはっきり覚えています。
近年、このレム睡眠行動異常症の人はパーキンソン病やその関連の病気を発症する確率が高いことがわかっています。ある調査によると、50歳以上のレム睡眠行動異常症患者さんの約38%が、平均12.7年でパーキンソン病を発症したと報告されています。

レム睡眠行動異常症は、心身に過度なストレスがかかることや、疲労や過度のアルコール、不規則な生活習慣など、身体に負担がかかったときに発症しやすくなると言われています。日常生活の中で、心身に負担をかけ過ぎていないかを見直し、ストレスをためこまないことや、リズムの整った健康的な生活習慣を心がけていくことも大切です。朝は早く起きて夜はなるべく早く寝る、起きたら朝日を浴びる、寝る3時間前には夕食を済ませる、寝る直前までパソコンやスマホを触るのをやめるなど、良質な眠りのために出来ることから始めましょう。
食事面では、睡眠を促すメラトニンというホルモンを増やすために、キャベツや白菜、トマト、ケールなどの野菜や、メラトニンの生成に関わるトリプトファンを含むたんぱく質(魚・肉・卵・大豆製品など)、ビタミンB6(まぐろの赤身・さんま・バナナなど)、ナイアシン(まぐろの赤身・鶏ささみ・干しいたけなど)、マグネシウム(ナッツ類・ひじき・大豆など)を食べるとよいと言われています。睡眠に良いからといって、ひとつの食材だけを食べるのではなく、色々な食品を組み合わせてバランス良く摂ることが大切なので注意しましょう。

一緒に寝ている人がいれば指摘されて気づくことができますが、1人で寝ていると就寝中の様子を知ることは難しいですよね。自分の大声で目が覚めたり、睡眠中ベットから落ちて朝起きたらケガをしていた、などの症状があればレム睡眠行動異常症の可能性が考えられます。一度受診して検査をしてみるといいかもしれません。

食事面からもニューロモデュレーションセンターのサポートが出来るよう、管理栄養士も頑張っていきます。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 管理栄養士
A子



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