パーキンソン病と上手につき合うために 管理栄養士の厳選レシピ01~筋拘縮~

パーキンソン病の方が日々の暮らしを少しでも快適に過ごせるよう、症状に応じた「食事の工夫」や「続けやすいレシピ」を管理栄養士がシリーズでお届けします。
第1回は、多くの方が悩まれる 筋拘縮 に焦点をあてました。

パーキンソン病では、ドーパミンの減少によって手足の震え、動作が遅くなる、バランスが悪くなる、そして筋肉のこわばりなどが症状として現れます。ドーパミンは脳と筋肉の連携を円滑にし、スムーズな動きを促す役割を持っています。しかし、パーキンソン病の進行によりドーパミンが減少することで体の動きをスムーズにする神経系がうまく機能しなくなり、その結果、筋肉を適切に緩めることができず、常に緊張が続くため、動きが悪くなり、これが筋肉のこわばりの原因となるのです。筋肉のこわばりは歩行や姿勢に影響し、すくみ足や動作緩慢につながります。持続すると運動量が減り、筋肉がさらに硬くなることで転んだり、着替えや食事などが難しくなるなど生活面にも影響が出てきます。

さて、筋肉は血液から酸素と栄養を取り入れています。血液の流れが悪い部分にある筋肉や関節などでは栄養が不足し、老廃物が溜まり、それが筋肉のこわばりや痛みとして症状に現れると言われています。ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足すると、血行不良から筋肉の緊張が起こりやすくなります。また、たんぱく質が不足すると筋肉量が減り、身体を支える力が弱くなって姿勢の悪化、筋肉のこわばりにつながることもあります。
ということは、血流を良くして筋肉にしっかり栄養を届けると、筋肉のこわばりを少しでも軽くすることができるのではないかと考えてもいいのではないでしょうか。そのために調べてみました。
○ビタミンE
抗酸化作用を持ち、血流を改善し酸素や栄養素を全身に運ぶ。
【多く含む食品】ナッツ類、かぼちゃ、うなぎ
○マグネシウム
筋肉の収縮と弛緩を調節し、筋肉の緊張を和らげる。
【多く含む食品】ナッツ類、海藻、玄米
○ビタミンD
カルシウムの吸収を助け、筋肉の合成促進、炎症抑制にも関与する。
【多く含む食品】鮭、きくらげ、日光浴もおススメ。
○ タンパク質(アミノ酸)
筋繊維の材料。不足すると修復力が落ち、硬くなった筋肉が戻りにくくなる。
【多く含む食品】肉、魚、卵、大豆製品
○ビタミンB群
代謝や血流を促進。神経機能をサポートし、筋肉の緊張緩和にも役立つ。
【多く含む食品】豚肉、納豆、玄米

もちろん、ひとつの食材に偏らずバランスよく食べることが大切です。上記の食材のいいところを集めて、「鮭とかぼちゃ、ほうれんそうのサラダ」なんていかがでしょう。美味しい食事で筋肉が緩まるといいなと期待しています。

食事面からもニューロモデュレーションセンターのサポートが出来るよう、管理栄養士も頑張っていきます。

「鮭とかぼちゃ、ほうれんそうのサラダ」
【材料】(2人分)
生鮭(切り身):1切れ(約80g)
かぼちゃ:1/8個(約100g)
ほうれん草:1/2束
クリームチーズ:15g
ナッツ(くるみ、アーモンドなど):大さじ1
オリーブオイル:大さじ3
酢:大さじ1
砂糖:大さじ1
醤油:小さじ1
塩、こしょう:少々

【作り方】
①かぼちゃは種とワタを取り、1cm角に切る。ラップをして電子レンジで約3分加熱しやわらかくする。ほうれん草はさっと茹でて水気を絞り、3cm幅に切る。ナッツは粗く刻み、クリームチーズは食べやすい大きさに切っておく。
②鮭に塩、こしょうを振り、フライパンで両面焼き、中まで火が通ったら皮と骨を取り除いて食べやすい大きさに切る。
③ボウルにオリーブオイル、酢、砂糖、しょうゆ、塩、こしょうを入れてよく混ぜ合わせる。かぼちゃ、ほうれん草を入れて和える。
④鮭、ナッツ、クリームチーズを入れさっくりと混ぜたら皿に盛り付けてできあがり。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 管理栄養士
A子



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