倉敷ニューロモデュレーションセンターの取り組みと公認心理師の役割について

第60回日本定位機能神経外科学会が1月22日と23日に開催されました。新潟で開催される予定でしたが、コロナウィルスの影響により、発表はオンラインのみになりました。私は「パーキンソン病と多職種連携」のシンポジウムで当院の取り組みについて発表を行いました。今回は発表した内容から当院の取り組みと公認心理師の役割について簡単に紹介したいと思います。

倉敷ニューロモデュレーションセンターでは、パーキンソン病患者さんの治療や家族のサポートを医師、看護師、リハビリ、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、栄養士、臨床工学技士、公認心理師などの多職種で行っています。手術(脳深部刺激療法)を受けたパーキンソン病患者さんは刺激の調整、歩きにくさ、飲み込みにくさ、認知機能の低下、刺激装置の充電や患者用コントローラー操作の難しさなど様々な問題が出てくるため、多くの専門家が関わる必要があります。また、チーム内で回診やカンファレンスを行うことで患者さんや家族の希望、今後の治療についての話し合いを行っています。

チームの一員である公認心理師は手術前後に認知機能や精神機能を把握する検査を主に行っており、最近では手術後の介入に力を入れています。手術を受けた後にせん妄(術後せん妄)が出現する患者さんには、心理師がすぐに対応しています。術後せん妄とは、手術後1~3日経ってから、急激に錯乱、幻覚、妄想状態になることをいいます。患者さんには脳活性プログラムを行い、医師、看護師、リハビリと協力しながら日中活動のスケジュール作成や環境調整(自室内の配置の変更、部屋移動など)を行っています。また、気分の落ち込みや意欲の低下が出現する患者さんに対してはカウンセリング、気分転換になる活動を一緒に行っています。手術後は刺激や薬の調整があるため、入院が長くなりやすい傾向がありますが、患者さんが安心して入院生活を送ることができるように心理師としてサポートしていきたいと思います。DBS調整に心理師が関わっている施設は多くないため、学会でも心理師の取り組みが話題になりました。

 

初めてのオンラインでの学会発表は、普段とは違う色々なことを経験することができました。今後もセンターから色々な情報を発信していきたいと思います。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 公認心理士
W.T
学会・資格等
公認心理士



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