パーキンソン病で薬が上手に飲めないときは?

今回はニューロモデュレーションセンターに関わる言語聴覚士から「摂食・嚥下障害」についてお届けしたいと思います。

早速ですが、チェックをしてみましょう。
・食事中によくむせる
・食事中でなくとも突然むせる、咳き込む
・飲み込んだ後も口腔内に食物が残っている
・ご飯よりも麺類を好むようになったり、咀嚼(そしゃく)力低下や歯科的問題で噛まなくてよいものを好むようになる
・食事の後、がらがら声になる
・食べるとすぐ疲れて、全部食べられない
・体重が徐々に減ってきた
・毎日飲んでいた薬を飲みたがらない
・水分をとりたがらない(尿量が減った)
・発熱を繰り返す
・夜間、咳き込むことがある

これらの症状がある方には、摂食・嚥下障害の可能性が考えられます。
摂食・嚥下は食物を認識してから口に運び、取り込んで咀嚼(そしゃく)して飲み込むまでのことを指しています。
このいずれかがうまくいかない状態が摂食・嚥下障害です。

パーキンソン病では病期の経過中90%程度に音声・構音障害が出現するとされています(2019年8月14日のブログ参照)
が、話すことと食べることは同じ口を使いますから、摂食・嚥下障害にも深く関係します。
さらに、パーキンソン病の嚥下障害の特徴として、むせない誤嚥が多い、wearing-offやON-OFFにより変動がある等の報告もされています。

さて、パーキンソン病の患者さんは脳内に不足しているドパミンを補充するために内服が重要です。
多くの場合は一種類ではなく、効果の異なるさまざまな薬が組み合わされて使われます。
薬の種類が多いと、どうしても飲み込みにくくなりますが、服薬しやすくする工夫があります。
まずは、一つ一つの薬を丁寧に飲むことが大切です。
次に、上を向いた状態で飲むと、むせたり、誤嚥の可能性がありますので、できるだけ下を向いた状態で飲みましょう。
また、薬を飲む前に、冷たい水を一口飲んで、のどの奥を刺激しておきます。こうすることでゴックンが誘発されやすくなります。
薬をこまかく砕き、ゼリーやプリンなどにまぜて、のどごしのよい状態にして飲むのも良いでしょう。
また、とろみ剤や服薬補助ゼリーなども市販されているので、それらを活用すると安心です。
最後に、多めの水分で飲むことも大切です。薬が飲めたと思ってからも、もう数口ほど追加して飲み物を飲むようにしましょう。

こうした薬を飲みやすくする工夫は、薬の効果に影響をあたえる場合もありますので、
事前に医師や薬剤師に相談してから行いましょう。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 言語聴覚士 H

倉敷ニューロモデュレーションセンター 言語聴覚士
H



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