パーキンソン病の治療の一つに「脳深部脳刺激療法(DBS)」があります。これは、視床下核という脳の深い場所に細い電極を挿入し、電気刺激によって脳の働きを整えることで、ふるえや動きにくさを改善する治療法です。お薬だけでは十分に症状がコントロールできない場合や、薬の副作用が強く出てしまう場合に選択されることが多く、効果が高い治療として行われています。一方で、その効果を最大限に引き出すためには、患者さんごとに合わせた「刺激調整」が欠かせません。
11月14日、「パーキンソン病におけるDBS調整のエッセンス~これからDBS調整を始める先生のために~」と題して、牟礼センター長が講師を務め、DBS調整に興味を持っておられる脳神経内科の先生方に向けたWeb講習会を行いました。DBSは手術をすれば病状が根治する治療ではなく、その後の刺激調整や薬物療法の調整が治療結果に大きく影響してきます。特に、パーキンソン病治療の専門である脳神経内科の先生方にもDBS調整について御理解いただく事で、よりよい治療が行えると考えてメドトロニック社のご協力のもとに実施しました。
講習会では、実際の症例を医師用タブレット画面で示しながら、具体的な調整過程を紹介しました。DBS調整は、実はお薬の量を調整することとよく似ています。医師用タブレットの操作は慣れてしまえば、それほど複雑ではありません。刺激調整と薬剤調整は互いに影響し合うため、脳神経内科と脳神経外科の先生方が同じ理解を持ち、連携することが治療の質を高めることに繋がると思われます。
講演後のアンケートではこれまで実際のDBS(深部脳刺激)調整を学ぶ機会が少なく、今回の講演で具体的な調整方法を理解する上で非常に勉強になったという声が多く寄せられました。一方で、どのような症例に対してどのような調整を行うべきかについては、まだ十分に把握できない、多忙な外来診療の中での刺激調整の実施は困難といったご意見も頂きました。幸いにも講演内容は総じて非常に参考になったとの御評価が多く、今後もこのような会を積極的に行うことで、パーキンソン病治療のさらなる充実につながると感じられました。

















