令和6年10月24日(木)にアッヴィ合同会社主催【DAT診療 Update Seminar in 倉敷】がオンラインで開催されました。当院より脳神経内科高尾院長、菱川部長、倉敷ニューロモデュレーションセンター牟礼センター長が登壇しました。
第1部は特別講演として、座長は岡山脳神経内科クリニック院長柏原健一先生、演者は横浜市立大学附属市民総合医療センター脳神経内科診療講師木村活生先生が努めました。木村先生はパーキンソン病(PD)のデバイス補助療法(DAT)の新たな治療であるホスレボドパ・ホスカルビドパ水和物皮下持続注入療法(CSCI)の治療工夫と精神症状への対応についてご講演頂きました。木村先生は脳神経内科医の立場からCSCIにおけるメリットデメリットや脳深部刺激療法(DBS)との比較、精神症状や長期治療へのアプローチ方法を分かりやすく丁寧に講演されました。
第2部はディスカッションとして、高尾院長、菱川部長、牟礼センター長と岡山赤十字病院脳神経内科部長武久康先生が加わり、各討論テーマに沿って脳神経内科や脳神経外科の立場から話をされました。DAT療法の留意点や治療におけるリスクマネジメント対策、CSCIとDBSの使分け、CSCI導入時の経験や今後の対応について活発な討論となりました。
PDにおけるDATは CSCI、DBS、レボドパ・カルビドパ配合経腸用液療法(LCIG)、があります。
CSCIは2023年7月に世界に先駆けて日本で承認されましたが、この1年で1000名以上が使用されました。2016年に承認したLCIGが1000名に達した年数が約4年、DBSは全国で500-600件/年のため、CSCIは多くのPD患者に積極的に使用されています。CSCIは24時間一定速度で持続的に投与することができ、手術を必要としませんが、PDにおけるウェアリングオフやジスキネジアなどの運動症状軽減に効果があります。しかし皮膚トラブルや精神症状といった副作用があります。
当院はすべてのDATを経験しており、特にDBS治療を積極的に行っています。CSCIも数件実施しており、DBSの前にCSCIを行っています。今回CSCIについて新しい知識を得る機会となりとても有意義な講演となりました。今後の治療に活かしていきたいと思います。
臨床工学技士 T
DATとは、デバイス補助療法(device aided therapy)の略です。