パーキンソン病に対するDBS手術は、視床下核と呼ばれる神経核に電極リードを留置し電気刺激を行うことで異常な神経活動を抑制する治療法です。
近年、刺激電極や刺激プログラミングの高度化に伴い、従来の円筒型リードで1本のリード先端に4つのコンタクトがリング状に設置されている4極リードから真ん中2個のコンタクトがさらに3つのセグメントに分割され、合計8つのコンタクトになった指向性リード【画像1】が使用可能となり副作用を最小限に抑えつつ、刺激による治療効果を発揮することが期待できるようになりました。
術直後は微小破壊効果と呼ばれる、刺激をしなくても電極リードを留置するだけで一時的に症状の改善効果が得られることがあります。しかし患者さんにより持続期間は異なるため、多くの場合はその効果は3カ月程度であろうと考えられています。
当院では術後3カ月後に入院して至適電極を選定するコンタクトスクリーニング検査(以下:CS検査)を医師の指示の下、臨床工学技士が担っています。
CS検査は各刺激電極の治療閾値(刺激効果が得られる最低電流値)と副作用閾値(副作用が出現する最低電流値)を確認します。
CS検査では電極留置部位の解剖学知識も必要です、また、高度医療機器を操作管理する上で臨床工学技士が今後も貢献できる分野であると考えています。
現在は、CS検査から得られた至適電極の情報に加えてパーキンソン病の病態生理から得られるベータオシレーション活動を基準に至適電極を選定する方法【画像2】や、
ソフトウェアモジュールElementsを用いて患者さん特定の解剖学的構造内のリード位置を可視化することでプログラミングや至適電極を選定する方法【画像3】に取り組んでいます。
これらのデバイスの進歩により、従来に比べて患者さんの症候に応じた最適な医療を提供できることが可能になってきています。
臨床工学技士がCS検査に携わることで、患者さんの治療に微力ながら貢献できるように努めたいと思います。
【臨床工学技士がDBSコンタクトスクリーニング検査に携わって】
臨床工学技士
S・T