パーキンソン病に対する新しいデバイス治療―L-ドパ持続皮下注射療法(ヴィアレブⓇ)―

パーキンソン病に対するデバイス治療はL-ドパ持続経腸療法(LCIG)と脳深部刺激療法(DBS)が主流ですが、新たにL-ドパ持続皮下注射療法(ヴィアレブⓇ)が開始となりました。

ヴィアレブⓇは皮下にカニューレ(細い針)を留置して、専用の薬液ポンプから切れ目なく薬を投与する治療法で、安定したL-ドパ血中濃度の維持が期待されます。皮下投与のため、食事などの影響を受けにくいとされています。また患者様の個々のニーズに合わせた用量調整が可能です。DBSやLCIGと異なり外科的手術を要さない治療法ですが、2-3日毎のカニューレ刺し換えや、毎日の薬液交換を患者様または介護者の方に行って頂く必要があります。カニューレ刺入部の皮膚トラブルや薬液量増加に伴う幻覚出現リスクもあるため、導入には慎重な適応判断と準備が必要です。

当院でも2024年よりヴィアレブⓇを導入することとなりましたが、用量調整やカニューレ交換の手技指導のため入院での導入が必要と考え、医師・看護師・薬剤師・臨床工学技士・医師事務作業補助者など、多職種でヴィアレブ導入に向けた勉強会やパスの作成を行っています。

パーキンソン病は進行に伴い、頻回な服用がとなり、1回のあたりに服用する薬の錠数も増えるため患者様の負担が大きくなります。DBS, LCIG, ヴィアレブⓇの使い分けについてはまだ指針はありませんが、私見としましては薬剤で幻覚やジスキネジアなどの副作用が出やすい方、若年で薬剤量を増やしたくないような患者様はDBSを検討すべきかと考えております。
倉敷ニューロモデュレーションセンターはパーキンソン病患者様のトータルケアを目指しています。ヴィアレブⓇという治療の選択肢が増えることで患者様のQOL向上の一助に繋がればと思います。

センター長 牟礼英生

 

センター長
牟礼 英生



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