はじめに

認知症疾患医療センター

はじめに

「もの忘れ外来」は、アルツハイマー病や脳血管性認知症に代表される認知症の専門外来です。認知症は進行性の病気です。また、鑑別診断が大変重要です。治療法は内服と脳活性化リハビリテーションを組み合わせて長期的にフォローしています。

 認知症は決して特別な病気ではなく、長生きすれば誰でもかかる可能性がある病気ですが、まだまだ社会的に「認知症」をボケととらえる方も多く、病気とは十分に認識されていません。 そして、ボケたら治らないということが通説となっています。
しかし、当院での、脳リハビリテーションと内服の実施により、完全に元に戻すことは困難であっても、進行を遅らせることや、早期であれば改善も可能であることが分かってきています。

 認知症の初期症状はもの忘れです。認知症の方は、自分の物忘れに気がついても自発的に病院を受診されることはほとんどありません。そのため、早期発見が困難となります。
それだからこそ、ご家族の方に早く気がついていただきたいと思います。
病院を早期に受診することで、ご本人に病気のことをご理解いただくことができますし、ご家族とも今後の生活・予想される様々な事象についてご本人の意思を確認しながら決定することも可能となってきます。

 少しでもおかしいなと思われたら、まずは専門医、「もの忘れ外来」を受診することをお勧めいたします。

認知症とは

 いったん正常に発達した知能が、脳障害によって進行性に障害された状態です。 もの忘れを含む様々な知的能力の低下により、仕事や社会生活が出来なくなった状態です。 単なるもの忘れと認知症とは違います。

  1. 記憶・思考・判断・理解などの障害
  2. 日常生活に支障がある
  3. 意識の混濁はない
  4. 慢性、進行性である
  5. 脳疾患による症候群である

単なるもの忘れと認知症の違い

  単なるもの忘れ 認知症のもの忘れ
記憶 1.体験の一部を忘れる
2.食事に何を食べたか忘れてしまう
1.体験全体を忘れる
2.食べた事自体を忘れてしまう
見当識 1.人の名前が出てこない
2.場所は分かる
3.月日は分かる
1.人の顔を忘れてしまう
2.場所が分からない
3.月日が分からない
判断力 判断はできる 判断ができない
進行性 進行しない ゆっくり進行する

認知症は、大きくアルツハイマー認知症(AD)と脳血管性とに大別されます。
その他にもビタミン不足や感染症、慢性硬膜外血腫や正常圧水頭症など外科手術で治せるものも含まれます。

アルツハイマー型認知症(AD)について

内科学的な障害は全くなく、脳(萎縮)の病気です。脳の障害された部位に応じて、様々な症状を現します。必ず現れるのがもの忘れなどの記憶障害です。
多くの場合、そのもの忘れが、体験したことも忘れてしまうようになりますが、特に初期では「年のせい」と思われがちです。

発症の時期もはっきりしないので、いつとはなしに始まり、だんだんとなだらかな下り坂を転がるように進行します。直接に命を奪うものではありません。

認知症疾患医療センターとは

当院は、岡山県認知症疾患医療センターの指定を受けています。

倉敷平成病院物忘れ外来では、臨床心理士または、認知症専門看護師が問診を行っています。また、医師・看護師・言語聴覚士・臨床心理士・診療放射線技師・臨床検査・介護福祉士などがチームを組んで「アルツハイマー勉強会」を定期的に実施。研究テーマを定め継続的に行っています。

脳機能研究所(東京工業大学名誉教授 武者利光代表取締役・川崎市)が開発した脳波測定を利用しての早期認知症の鑑定と内服・脳リハビリテーションの治療効果の測定を実施しております。

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