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倉敷平成病院 総合美容センター通信

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2024.12.10婦人科コラム

倉敷平成病院 女性アスリート外来(婦人科)へようこそ

今回、整形外科部長の平川宏之先生が立ち上げられた「スポーツリハビリテーションセンター」と連携して、婦人科で「女性アスリート外来」を開設いたしました。

 

スポーツ外来を受診される女性アスリートの方には無月経や生理痛(月経痛)、月経前症候群(PMS)、また女性特有のコンディション調整のための月経周期調節(月経移動)に悩んでいらっしゃる方も多いと伺っています。当外来では競技種目、試合や合宿・練習日程を考慮しながらアンチドーピングにも配慮した診療を行っています。

 

女性アスリートが健康で競技を長く続けられるように、婦人科専門医、公認スポーツファーマシスト(薬剤師)、管理栄養士がチームを組んでサポートします。競技レベルを気にする必要はありません。お気軽にご相談ください。

 

女性アスリート外来の三主徴

女性アスリートが悩んでいる婦人科の問題としてよく取り上げられているものは、無月経、利用可能なエネルギー不足(以下エネルギー不足)、骨粗しょう症があり、これは「女性アスリートの三主徴」とも呼ばれています。

 

女性アスリートの三主徴

 

無月経の原因は多岐にわたりますが、女性アスリートでは運動量と食事のバランスが取れていないためのエネルギー不足と考えられています。エネルギー不足は以前、摂食障害とされていましたが、現在では考え方が改められています。エネルギー不足による過度な低体重は無月経を引き起こし、無月経による低エストロゲン状態は骨粗しょう症を誘起します。そして、疲労骨折を起こし、選手生命に影響しかねないことに…。

 

女性アスリートの無月経は、日常行っている婦人科の無月経に対する診療とは対処が異なります。3か月以上生理が止まっている場合や14歳になっても初潮が来ていない場合は、ご相談ください。

 

月経痛や月経前症候群(PMS)

女性アスリートにとって月経痛は大きな悩みの種になっています。大切な日に下腹痛が重なると成績にも影響してしまいます。その時だけか、長期的に月経調節するかで使用する薬の種類は異なりますが、ピルを用いることでほとんど解決することが可能です。

 

また、月経前の体重増加、腰痛、下腹痛、イライラ、うつ状態のような気分の落ち込みが続く場合にはP PMS(月経前症候群)を疑います。これも女性アスリートにとっては大きな問題になります。

 

アンチドーピングの観点から、日常の婦人科診療の様に漢方薬を使うことができないので、主に超低用量ピルを用いて治療します。ちなみに、ピルは女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の合剤のことです。薬の作用で中枢性のホルモンに作用して排卵を抑制するので、結果的に月経をコンパクトにすることができます。その結果、月経にまつわる痛みや気分不調、ニキビなどの症状も抑えられます。最近はジエノゲスト(ピルとは別の保険ホルモン治療)という黄体ホルモン単剤を用いての治療もできるようになりました。

 

このような症状で悩んでいる方も、まず女性アスリート外来へご相談ください。

 

月経移動

多くの女性アスリートが「月経周期とコンディションには関連がある」と感じているようです。とりわけ、月経終了後にコンディションが良いと自覚する方が多くみられます。しかし、国立スポーツ科無月経の原因は多岐にわたりますが、女性アス女性アスリートにとって月経痛は大きな悩みの種学センターの調査によると一概にそうとも言えず、かなりの個人差も見られています。当外来では、受診される方それぞれに合わせてコンディションの良い状態でトレーニングや試合に臨めるよう配慮しながら診療を進めます。

 

欧米アスリートのピル使用率

 

 

アスリート外来コンディションが良い時期はいつですか?具体的には、月経移動の目的(短期or一時的なのか、持続的or長期にわたってか?)やアスリート個人の体調・特性に合ったピルを用いて調節することになります(様々な種類のピルがあります)

 

報告によって差はありますが、2008年の段階で欧米の女性アスリートの約8割がピルを使用していました。基本的な考え方は、「ピルを飲んでいる間は生理が来ない、服用をやめると3日前後で生理になる」です。月経痛やPMSの改善が見込まれることも有力な選択肢になると思います。

 

よくある質問

Q1.ピルは何歳から飲めますか?

A1.生理が始まって落ち着いてきていれば"OK"です。

若い頃からピルを使用することに抵抗があるかも知れませんが、初潮から6か月経っていれば飲むことが可能です。 初潮を迎える頃はホルモンバランスが乱れがちな時期であるため周期が不順になることも多くあります。ご相談ください。

 

Q2.婦人科にかかったら必ず内診が必要ですか?

A2.もちろん"NO"です。原則的に内診をすることはありません。子宮や卵巣に疾患(病気)が疑われる場合には、ご本人と相談しながら診察、検査などをする場合もあります。

 

さいごに

私達は女性アスリートの支援を積極的に行っています。小・中・高等学校の部活動から大学生、本格的にスポーツをされている方まで、競技レベルを問わず対応いたします。月経困難症(月経痛)、無月経、貧血など、女性特有の問題を抱えていらっしゃる方、PMS(月経前症候群)などでパフォーマンスを十分に発揮できずにお悩みの方はご相談ください。冒頭にも申し上げましたが、先ずは気になることがあれば、「お気軽に相談していただく」ことが肝要かと思います。スタッフ一同真摯に対応します。

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