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【看護だより】vol.40 「かっこいいママ」で、あるために ~大切な思いと私の信念~

【看護だより】vol.40 「かっこいいママ」で、あるために ~大切な思いと私の信念~

日々、仕事をしていると子育てと仕事に悩む事があります。娘の成長過程をもっと近くでみたいなと、思う事がよくあります。しかし、娘は「看護婦さんをしているママはかっこいいよ!」と、言います。その言葉を聞くと、かっこいい看護師ってなんだろうと考えさせられます。

便利さやスピーディーさを求める反面で人の手のぬくもり、言葉の優しさ、眼差しの温かさが消えてしまっていると感じる現在です。合理的、効率ばかりを考え忙しい日々の中で、人との関わりにおいて微笑みかけ、優しい言葉がけを行うことは、一人の人間として扱われていると言う尊厳であり、看護の現場ではそれを相手に伝え届ける事が出来ると感じています。

病院は、介護施設とは違い自宅での生活に近い環境を提供することは困難です。しかし、人生の辛かったこと、苦労したこと、悔しい思いをしたこと、嬉しかったことなど人生経験の豊かな患者さんに対し残された人生を感動の人生にしてもらいたいと思っています。患者さんは人格を持った人として暖かい看護を受けることで「生きててよかった」または最期に「ありがとう」と感じていただける力を看護は持っていると信じています。そこには、真の看護があると感じ微力ではありますが、信念を持って働いています。

先日、90代の終末期の患者さんと出会いました。入院までは在宅で過ごしていたが今回は、全身の衰弱が著明で寝たきりとなりました。栄養状態も悪く全身のむくみ、循環も悪く手足が冷たくなっていました。積極的な治療が悪影響を及ぼすため緩和治療に移行となりました。私は、患者さんに「人生で一番嬉しかった事は?」と言うと「ジュースが飲めた」と言われました。今まで飲水制限を守り生活をしていたが好きな時間に好きな量を飲める事がうれしかったと言われました。冷たくなった患者さんの手を触り「苦しいところはない?」と聞くと「あなたの手はいつも暖かい。ありがとう、気持ちがいいね」と言われ、今までの人生での経験をゆっくりと話されました。私は最期を迎えようとしている患者さんのボールのようにパンパンに重だるくなった手の苦痛の除去を温罨法ではなく自分の手で暖めることで私の気持ちも伝わったのではないかと思っています。それが、私が交わせた最期の言葉となったが最期を病院で迎える患者さんに対しゆっくりとした穏やかな時間が過ごせる環境を作ることは医学が発展し高性能なロボットが出来ても人間にしか出来ない看護だなと思いました。改めて「看護師と言う仕事は素敵だな」と思いました。「娘にあいたいなー!」と、思うことはありますが看護と仕事を両立しいつまでもかっこいいママでいられるように、そして仕事が楽しいと感じることが自己満足で終わらないように患者さんが笑顔で日々楽しいと感じてもらえ、退院後の生活も不安なく退院を迎えられるように、これからも私らしい看護を提供していきたいと思います。

 

3階西病棟 S