パーキンソン病とフレイル

サルコペニアとか、フレイルという言葉を耳にすることが増えています。両者とも加齢に伴う機能低下を意味していますが、サルコペニアが筋肉量減少を主体として筋力、身体機能の低下を主要因とするのに対して、フレイル(Frailty:虚弱)には移動能力、筋力、バランス、運動処理能力、認知機能、栄養状態、持久力、日常生活の活動性、疲労感など広範囲な要素が含まれています。そして、しかるべき介入により再び健常な状態に戻るという可逆性が含まれているのが大きな違いです。

パーキンソン病の方は、痩せている方が多いです。振戦や筋固縮、自律神経障害からの代謝亢進、発汗、不眠、頻尿などで消費エネルギーが高まるからと考えられます。また、薬の副作用や嚥下機能低下による食事摂取量の減少なども考えられます。痩せる→疲れやすい→運動量が減る→筋肉が減る→動きにくい→外出・運動しない→食欲が落ちる→摂取量が減る→痩せる→→・・・とまさにフレイルの状態に陥りやすいと言えると思います。

【フレイルの評価】
1. 体重が減少
2. 歩行速度が低下
3. 握力が低下
4. 疲れやすい
5. 身体の活動レベルが低下

これら5つのうち、3つが当てはまるとフレイルとみなされます。※

高齢者でもそうでなくても、疲労感、嚥下機能の低下などで食が細くなったり、食事そのものに対して関心が薄れ、食事を抜く回数が多くなったり、毎日同じものを食べ続けたりと、食生活が乱れることは多くあります。

「不規則な食生活」「メニューの偏り」「孤食」そんな食生活を長く続けると、体を健康な状態に保つために必要な栄養が不足して、低栄養となり、元気に活動することが出来なくなる=フレイルになる、というのは目に見えていますね。

3食規則正しく、バランスよく、特にタンパク質や野菜のおかずをしっかり食べることが大切です。入院された時には、病院の食事量、バランスを覚えて帰り、目安にしていただくようお話しします。ひとりひとりに合わせて、ご飯の量の調整や補食の提供も検討しています。

パーキンソン病であるとフレイルリスクが高い、ということを考慮して、食事面からニューロモデュレーションセンターのサポートが出来るよう、管理栄養士も頑張っていきます。

管理栄養士 A子




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