脳腸相関~パーキンソン病と便秘~

先日、「脳腸相関」についての話を聞く機会があり、興味深かったので紹介します。脳と腸は迷走神経でつながっています。腸には脳と同じくらいの神経細胞があり、腸は第2の脳とも言われています。

パーキンソン病では神経伝達物質の中でも運動に関係するドーパミンがメインに減少し、手足のふるえや筋肉の硬直などの特徴的症状があらわれますが、ドーパミン減少の影響でセロトニンやアドレナリンも減少してしまうことがあります。セロトニンが減少すると、不安やイライラを感じやすく、アドレナリンが減少すると、やる気や意欲がわかなくなります。

そのセロトニンは90%以上が腸で作られていて、腸と脳をつないでいる迷走神経を伝わって脳に影響を与えます。セロトニンが脳で上手く働くとドーパミンの過剰分泌や枯渇を制御し、適度に調整してくれます。腸内環境のいい人は脳へセロトニンをうまく伝達出来ているため、不安やうつ病にもなりません。

パーキンソン病治療の基本は減っているドーパミンを増やすことなので、お薬を飲むことになります。しかし、長くパーキンソン病だと便秘期間も長くて腸内環境が悪く、腸内のバリア機能が破綻し、悪玉菌が増えて善玉菌が減ります。腸内にパーキンソン病の治療薬であるレボドパを分解する酵素が増えてしまい、体内へ薬が吸収されず薬の効果が薄れてしまうというのです。

パーキンソン病の患者さんに便秘が多いという話を以前のブログにも書きましたが、実はパーキンソン病の運動障害が現れる20年も前にすでに便秘は始まっているとのことでした。パーキンソン病だから便秘になる、というより、便秘だからパーキンソン病になる、と言えてしまうのです。現在60歳以上の100人に1人ともいわれるほど、パーキンソン病は増えています。便秘でパーキンソン病を発症するリスクは4~4.5倍にもふえるとのことなので、これからは、食物繊維、発酵食品、水分を積極的に摂り、ストレスを溜めないことで便秘解消、腸内環境改善に取り組んだ方がよさそうですね。

食事面からニューロモデュレーションセンターのサポートが出来るよう、管理栄養士も頑張っていきます。

倉敷ニューロモデュレーションセンター 管理栄養士
A子



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