「視床手術計画時の拡散テンソル画像を用いたトラクトグラフィの作成と有用性の検討」へのご協力のお願い

2017年4月1日~2020年3月31日の期間中に
当科において視床手術を受けられた本態性振戦や手のジストニアの患者さんおよびそのご家族の方へ

―「視床手術計画時の拡散テンソル画像を用いたトラクトグラフィの作成と有用性の検討」へのご協力のお願い―

1. 研究の概要
1) 研究の背景および目的
 本態性振戦や書痙・動作特異性ジストニア(楽器演奏など)の手のジストニアで薬物療法が困難である場合、脳の深部にある視床という場所を手術することで症状改善することが可能です。視床には振戦やジストニアの異常な神経回路が集積する部位があり、この異常ネットワークに対して破壊もしくは電気刺激を行うことで神経活動を変化させます。視床を破壊する手技は高周波熱凝固(radiofrequency coagulation: RF)、電気刺激する手技は脳深部刺激療法(deep brain stimulation: DBS)と呼ばれ、どちらも定位的脳装置を用いた定位的脳手術により、視床の特定の部位に対してピンポイントに精度の高い手術が行われます。
近年3.0テスラを中心とする高解像度MRIの撮像により、脳組織が明瞭に描出できるようになり、定位的脳手術においてもMRIで標的部位を正確に決定し、その部位に対して手術を行うことが主流となっております。例えば、パーキンソン病や痙性斜頸や全身性ジストニアの患者さんの標的核としては視床下核や淡蒼球内節という脳深部の基底核という脳組織ですが、これらの標的核は高解像度のMRIにより大変精細に描出することが可能であるため、十分な精度で定位脳手術が行えています。一方で、振戦や手のジストニアの患者さんの標的核は視床の外側部位の亜核が選択されることが多いのですが、視床内の亜核の描出は困難であるため、MRIガイド下のみで精度の高い手術を行うことは困難です。そのため、現在視床に対する定位的脳手術では、MRIで明瞭に描出される脳深部の他の脳組織(前交連-後交連)を目印とし、その目印からヒトの平均的な解剖学的位置関係に基づいて間接的に標的部位の位置座標を計算しており、手術の精度としてはまだ改善すべき問題があります。
高解像度MRIから得られる画像の中に、拡散テンソル画像という撮像技術があり、拡散テンソル画像から神経線維の走行を描出するトラクトグラフィという画像を作成することが可能です。視床手術においてもすぐ近傍を走行する錐体路という運動神経のトラクトグラフィを描出し、この運動神経を回避して手術を行うことで、手術の安全性を高めています。
この拡散テンソル画像を用いた神経線維の走行を描出するトラクトグラフィにより、視床の亜核も分離できないかどうか、またトラクトグラフィによって視床の標的部位を決定することで視床手術の精度向上に繋がるかどうかを評価するのが今回の研究の目的となります。
当科において視床手術を受けられた患者さんのカルテや画像検査などの診療情報より、患者さんの背景因子(年齢や病状など)、手術計画時の標的部位の位置座標と、拡散テンソル画像を用いたトラクトグラフィから想定される標的部位の位置座標、視床手術後の治療成績などの情報を収集し検討を行います。視床内の最適な標的部位を術前計画の段階で同定可能かどうか検討を行います。で立てることが可能かどうかを割り出すとともに、従来の手術方法以上の手術精度が行えるようになることを目指しています。

2) 予想される医学上の貢献及び研究の意義
本研究は、拡散テンソル画像を用いたトラクトグラフィから視床外側の亜核を描出することで、視床手術の術前計画において、MRIガイド下直接的アプローチによる標的部位の決定を行い、従来の手術方法以上の精度で手術が行えるようになるために意義のある研究となります。

2. 研究の方法
1) 研究対象者
2017年4月1日から2020年3月31日まで当院で、視床手術を受けられた本態性振戦や書痙・動作特異性ジストニア(楽器演奏など)などの手のジストニアの患者さんが対象となります。

2) 研究期間
2017年4月1日~2020年3月31日

3) 研究方法
2017年4月1日~2020年3月31日の間に当院において振戦や手のジストニアに対して、視床に対して脳深部刺激療法や、高周波熱凝固を行った患者さんで、研究者が診療情報をもとに年齢・性別・既往・症状・血液検査結果・画像所見(CT・MRI)・薬物内服状況・治療情報・合併症に関するデータを選びます。
術前に行う手術計画を立てるMRIからテンソル画像を用いてトラクトグラフィを作成し、トラクトグラフィから推定される視床の標的部位を決定します。手術後のCT、MRIから熱凝固部位や電極の位置を割り出し、トラクトグラフィによって推定される標的部位と実際の手術部位とで位置の相違があるかどうかを検討します。また治療効果(振戦症状やジストニア症状の改善率)や、薬物内服状況、DBSの刺激状況(電力消費量など)で相違があるかどうかを解析します。
本研究で使用するトラクトグラフィは実際の手術の術前計画には使用いたしません。

4) 使用する情報
この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報を削除して使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。
・患者基本情報:年齢、性別、既往、症状
・血液検査、画像所見(CT、MRI、核医学検査)
・治療情報(症状の改善、薬物内服状況、刺激条件の情報)
・合併症に関するデータ

5) 情報の保存、二次利用
この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後5年間、倉敷平成病院脳神経外科内で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。なお、保存した情報を用いて新たな研究を行う際は、臨床研究審査専門委員会にて承認を得ます。承認された後にホームページ等で研究内容の公表を行い、拒否機会を設けます。
一定の期間保存が必要な理由は、研究終了後も論文作成やデータ確認を行う事が想定されるためです。
廃棄の際には、個人情報に十分注意して、電子情報はコンピューターから完全抹消し、紙媒体(資料)はシュレッダーにて裁断し廃棄します。

6) 研究計画書および個人情報の開示
あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。
また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。
この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。

この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、2020年3月31日までの間に下記の連絡先までお申し出ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先(研究責任者):倉敷平成病院 脳神経外科 上利 崇
住所:岡山県倉敷市老松町4-3-38 電話番号:086-427-1111(代表)

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