「パーキンソン病に対する脊髄刺激療法の治療効果」へのご協力のお願い

2017年4月1日~2019年3月31日の期間中に当科において
バースト刺激が行える刺激装置用いて脊髄刺激療法を受けられたパーキンソン病の患者さんおよびそのご家族の方へ

―「パーキンソン病に対する脊髄刺激療法の治療効果」へのご協力のお願い―

1. 研究の概要
1) 研究の背景および目的
パーキンソン病は、ふるえ、筋のこわばり、動作が緩慢になる運動症状に加え、嗅覚低下、睡眠障害、便秘・頻尿などの自律神経症状、気分障害、幻視・妄想などの精神症状、認知機能低下、痛みなどの非運動症状が出現し、緩徐ながら進行する全身性の病気です。非運動症状のうち、痛みは、腰痛、下肢痛、上肢・肩痛が一般的によくみられますが、多くの患者さんが慢性の痛みを抱えており、痛みによって日常生活が障害されている場合も少なくありません。
パーキンソン病の患者さんの痛みの原因には、筋肉のこわばりや、姿勢異常からくる筋肉の疲労や炎症などの筋性の痛み、骨や関節の変形によって生じる骨・関節性の痛み、神経の圧迫・炎症などによる神経性の痛みが多くみられますが、脳内のドーパミン異常による痛みに対する感受性や痛みの認知の変化もみられ、パーキンソン病薬の内服のタイミングに合わせて痛みが増悪・軽減を繰り返す日内変動が生じる場合もあり、原因が多岐にわたり複雑であることが多いです。
パーキンソン病に随伴するこれらの痛みの治療には、通常の痛みの治療に加えて、ドーパミン補充などのパーキンソン病自体に対する薬物療法が効果的である場合があります。また、薬物療法でも調整が困難な痛みの日内変動に対しては、脳深部刺激療法(Deep brain stimulation: DBS)が有効であるとされています。
現在、パーキンソン病の運動症状と非運動症状の両方を緩和するために使用できる治療選択肢として、脊髄刺激療法(Spinal cord stimulation: SCS)にも期待が持たれています。SCSは難治性慢性疼痛に対する治療として有効な治療選択肢の一つですが、疼痛緩和とともに運動症状を改善することが示されています。痛みを合併しているパーキンソン病患者さんにおいても、SCSは痛みと運動症状の両方を緩和するための治療手段になりえます。近年、SCSのテクノロジーの進歩とともに、新しい刺激の波形を用いて治療を行うことができるようになりました。従来のSCSでは4~80ヘルツほどの矩形波で刺激を行っており、痛みの部位にSCSによる刺激感が出現することで痛みが緩和しておりました。新しい刺激波形のうち高頻度刺激は1000ヘルツと大変高頻度の刺激でSCSを行うことによって、患者さんがSCSによる刺激を感じることがなく疼痛緩和が得られます。また、バースト刺激という神経の発火活動に似せた刺激波形でSCSを行うことも可能となり、バースト刺激でもSCSによる刺激を感じることなく疼痛緩和が得られます。新しい刺激波形も行うことができるようになり、疼痛緩和の治療成績は向上しているため、パーキンソン病の運動症状に関してもさらなる治療効果の改善が期待されます。
本研究においては、痛みを伴ったパーキンソンン病患者さんに対するSCSの臨床データを分析することを目的としています。

2) 予想される医学上の貢献及び研究の意義
本研究は、SCSがドーパミンなどの薬物療法やDBSに抵抗性の痛みや運動症状に対して、新たな治療選択肢となりえるかどうかを検討する意義のある研究であると考えられます。

2. 研究の方法
1) 研究対象者
2017年4月1日から2019年3月31日まで当院で、バースト刺激が行える刺激装置を用いてSCS手術を受けられたパーキンソン病の患者さんです。

2) 研究期間
2017年4月1日~2020年3月31日

3) 研究方法
2017年4月1日~2019年3月31日の間に当院においてバースト刺激が行える刺激装置を用いてSCS手術を受けられたパーキンソン病の患者さんで、研究者が診療情報をもとに年齢・性別・既往・症状・血液検査結果・画像所見(CT・MRI)・運動症状・薬物内服状況や刺激条件などの治療情報・合併症に関するデータを選びます。
SCSの治療の流れは通常の診療に基づいて行われます。薬物療法や他の保存的な治療で治療効果がない慢性疼痛の患者さんは、まず疼痛部位をカバーするように経皮的棒状リードの電極を留置し、7日―10日間の試験刺激を体験します。この際、刺激パターンは高頻度(1000Hz)トニック、低頻度(4-40Hz)トニック、バースト刺激のそれぞれ刺激パターンを2-3日行い、それぞれの刺激波形によって、鎮痛効果が得られるかどうかを判定するとともに、歩行などのパーキンソン病の運動症状の評価も行います。低頻度刺激またはバースト刺激の鎮痛効果が良好であり、かつ患者さんがSCSシステムの植込みを希望した場合に、約1カ月後にSCSの本植え込みが行われます。この際バースト刺激を行う機能を搭載した刺激装置の植込みを行い、SCSの治療を開始します。
診療カルテをもとに患者さんが好む刺激波形や、鎮痛効果、運動症状の改善を解析します。

4) 使用する情報
この研究に使用する情報として、カルテから以下の情報を抽出し使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報を削除して使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。
・患者基本情報:年齢、性別、既往、症状
・血液検査、画像所見(CT、MRI、核医学検査)
・治療情報(疼痛アンケート、運動症状の情報、薬物内服状況、刺激条件の情報)
・合併症に関するデータ

5) 情報の保存、二次利用
この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後5年間、倉敷平成病院脳神経外科内で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。なお、保存した情報を用いて新たな研究を行う際は、臨床研究審査専門委員会にて承認を得ます。承認された後にホームページ等で研究内容の公表を行い、拒否機会を設けます。
一定の期間保存が必要な理由は、研究終了後も論文作成やデータ確認を行う事が想定されるためです。
廃棄の際には、個人情報に十分注意して、電子情報はコンピューターから完全抹消し、紙媒体(資料)はシュレッダーにて裁断し廃棄します。

6) 研究計画書および個人情報の開示
あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。
また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。
この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。

この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。また、あなたの情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、2020年3月31日までの間に下記の連絡先までお申し出ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者の皆様に不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先(研究責任者):倉敷平成病院 脳神経外科 上利 崇
住所:岡山県倉敷市老松町4-3-38 電話番号:086-427-1111(代表)

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