Dr. G 徳田安春先生による症例検討会

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magnifier1_doctorNHK番組「ドクターG」出演されている徳田安春先生(地域医療機能推進機構 本部顧問)による症例検討会が4月19日 岡山でありました。今回は医学部学生(6年生)も5人参加しての「問題立脚型学習」という形式でした。この学習方法は講演(講義)中心の勉強法ではなく、一般開業医(診療所医師)のモチベーションを上げるのに最適な方法とのことです。

症例の症状・略歴から可能性の高い疾患を想定し、それらを鑑別するために必要な検査を参加者が提案していきます。得られる限りの詳しい薬歴を基本にします。次いで、身体所見(診察結果)が講師から知らされます。提案した検査の結果が示され、最終診断をする という手順の症例検討です。いわば、日常の診察現場で行っている診断方法と同じ手法で症例検討を行う訳です。

今回は2症例でした。1例目は若い時から統合失調症を合併している施設入所の80歳男性例です。受診の6ヶ月前に自宅で転倒し左大腿骨骨折に対する手術を受けています。その後に施設入所となっています。3日前から微熱、1日前から高熱と意識レベルが低下して受診です。嚥下機能低下、筋固縮、振顫など薬剤性パーキンソニズムが考えられる状況でした。発熱と意識レベル低下は嚥下性肺炎ということでしたが、抗精神薬・抗認知症薬・(抗コリン薬の影響での)緩下剤など多数の薬剤を服用していたことが、最大の問題点でした。多数の薬剤が処方されているのは、副作用打消しのための更なる処方が重なった結果であり、これを「処方のカスケード」と呼びます。また、自宅では厳密な服薬ができていなかったにも関わらず、施設入所後は厳密に服薬し始めた為に、在宅時には認めなかった薬剤性パーキンソニズムを来したようです。

この患者さんは、肺炎の治療と共に減薬を行い、嚥下障害なく元気に退院されたとのことでした。

私も薬歴は詳しく訊くよう努めていますが、中にはなぜその薬が始まったか、いつから始まったか覚えておられない方もあります。減薬を考慮した場合、開始された理由がはっきりしていないと心配が残ります。この症例検討を通して、自分自身の処方内容が「処方のカスケード」になっていないか振り返りつつ処方しなければと自省しました。また、この症例検討で、服用している抗精神薬の全体量が過量でないかどうかを「クロルプロマジンン換算値」で評価することを学びました。

2例目は、1ヶ月前からの微熱、1週間前からの高熱と1ヶ月で5kg体重減少、中等度の寒気、寝汗、全身倦怠のある51歳男性です。病歴・家族歴・職歴・生活歴・環境歴・渡航歴・薬剤歴からは高熱をきたす感染症は否定的でした。感染性心内膜炎は、3セットの血液培養2週間で陰性であり否定的でした。身体所見として比較的徐脈(39.2℃で脈拍90)、眼球結膜黄染、肝脾腫があり、一般検査では血沈亢進、CRP軽度上昇、軽度の貧血・白血球減少・血小板減少と黄疸を示していました。追加検査でフェリチン高度上昇があり高熱と汎血球減少から血球貪食症候群が疑われました。症状の経過からは悪性リンパ腫が疑われますが、全身CTではリンパ節腫大なしでした。しかし可溶性IL2の上昇があり、悪性リンパ腫の可能性が否定できず、骨髄生検と皮膚生検を行い、血管内リンパ腫と診断されました。呼吸機能には問題なく肺動脈病変を形成するは至っていなかったと評価されました。

高熱で受診される方は、冬季は特に多くおられますが、①悪寒戦慄を伴う発熱がある ②2週間以上の発熱が続く 場合には重症感染症や感染症以外の発熱を考えて対処すべきとの教訓でした。また、診療所で血液培養を行うことは少ないけれども、①の場合には特別な検査と考えないで積極的に血液培養を行う事が勧められるとのことでした。当院でも考慮したく思います。(採血自体は、一般の採血検査と同じです。)

平成南町クリニック 医師