下腿のむくみ

カテゴリー: 平成南町クリニック | 投稿日: | 投稿者:

下腿から足背にかけての浮腫みを訴える方は多くおられますが、原因を6つに大別して考えます。急性か慢性か、押えても痕の残らない非圧痕性か痕の残る圧痕性か、圧痕性なら40秒以内に元に戻るか戻らないか。それぞれについて局所性と全身性の原因を考えます。

下腿の慢性の浮腫みで最も多いのは慢性静脈不全です。全人口の30%にみられるようです。特徴は、初期には片側性が多く圧痕性ですが、晩期には弾力を伴い非圧痕性となります。足背浮腫を伴うことは少ないとされます。夕方~夜に悪化し臥位で改善(起床時改善)、長時間立位(座位)で悪化し、歩行や下肢拳上で改善。経過が長いと1日中浮腫が続きます。対策は、下肢拳上や弾性ストッキングによる下肢圧迫です。利尿薬は使用しません。

これ以外で局所性原因の浮腫には静脈閉塞による浮腫があります。下肢深部静脈血栓、下大静脈閉塞(肝硬変や腫瘍・腎嚢胞などによる圧迫)などがあります。深部静脈血栓は放置すると肺塞栓を起こすことがあるので厳密に診断する必要があります。

さらに、リンパ浮腫(非圧痕性)による浮腫もあります。1%の原発性リンパ浮腫と99%を占める二次性リンパ浮腫があります。リンパ管に関わる既往症や疾患の場合が殆どですが、横紋筋融解などの筋腫脹によるリンパ浮腫、最近の蜂窩織炎後や肥満によるリンパ浮腫もあります。炎症性浮腫には蜂窩織炎による局所性の浮腫があります。

一方、全身的な原因による浮腫には、Na過剰によるもの(うっ血性心不全 腎不全 薬剤)、低アルブミン血症によるもの(低栄養 ネフローゼ症候群 肝硬変など)があります。頻度は少ないですが、毛細血管透過性亢進による浮腫も考慮する必要があります。この原因には、血管性浮腫(遺伝性、好酸球性)・血管炎・薬剤性(Ca拮抗薬 ACE阻害薬・インスリンを増やす薬剤)・アナフィラキシー・POEMS症候群・RS3PE症候群などがあります。また、甲状腺機能低下症(橋本病) 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の時の粘液水腫(非圧痕性)もあります。

全身性浮腫で注意すべきものにビタミンB1欠乏による浮腫(圧痕性)があります。細動脈拡張と細静脈収縮による浮腫で、脚気心などの心不全を伴わない場合もあるので要注意です。ビタミンB1欠乏は、栄養不良がなくてもループ系利尿薬による排泄亢進やアルコール・制酸剤・タンニンあるいは十二指腸上部空腸病変などでの吸収障害が原因で起こります。

浮腫のようですが浮腫でない「脂肪浮腫」もあります。当然非圧痕性であり、上半身や足背には無く臀部・大腿・下腿が腫れているように見えるだけです。

浮腫み→利尿薬ではありません。多岐にわたる原因を見極める必要があります。

 

(文光堂 「さらに!一発診断100」 「もっと!一発診断100」 などを参考にしました。)

平成南町クリニック  玉田